更新日:2021年1月26日

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シックハウス症候群

本来、住まいは「くつろぎ」と「やすらぎ」の場所です。
ところが、室内の汚染された空気が原因となって体調不良を生じることがあり「シックハウス症候群」と呼ばれています。
特に新築・改装後の住宅やビルでは、建材や建築材料から化学物質が発生し、室内空気が汚染されやすいので注意が必要です。また、購入した家具などから発生することもあります。

症状

目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまな症状があります。これらの症状のほとんどは建物を離れると解消します。

また個人差があり、同じ部屋にいるのに全く影響を受けない人もいれば、敏感に反応してしまう人もいます。後述する「化学物質過敏症」では建物を離れても症状がよくなりません。

原因

1 換気不足

昔の日本の住宅はすきま風が入りやすく、換気が自然に行われていました。しかし現代では住宅の高気密高断熱化が進み、化学物質による空気汚染が起こりやすくなっています。特に窓を締め切ることの多い夏や冬は換気不足になりがちです。

2 生物による汚染

湿度が高いとカビやダニが繁殖しやすくなります。室内空気に含まれる細菌・カビなどの微生物や花粉、じゅうたんや畳、寝具などにあるダニの糞や死骸、ペットの毛やフケなどにより、アレルギー性の症状を起こすことがあります。

3 化学物質による汚染

室内には多くの化学物質の発生源があります。建材、壁紙、家具、じゅうたん、塗料などです。その他、石油ストーブやガスストーブからも一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質が放出されます。また、たばこの煙にも有害な成分が含まれています。

厚生労働省では現状13の化学物質に関する室内濃度指針値を定めています。
これは人がその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値です。

下記はその一覧です。

室内空気質指針値等(厚生労働省)
  揮発性有機化合物

濃度(マイクログラム/立方メートル)

主な発生源等 制定年
1 ホルムアルデヒド 100 合板、壁紙、接着剤 1997年
2 アセトアルデヒド 48 接着剤、防腐剤、喫煙 2002年
3 トルエン 260 接着剤、塗料 2000年
4 キシレン 200 接着剤、塗料

2000年

(2019年改訂)

5 エチルベンゼン 3800 接着剤、塗料 2000年
6 スチレン 220 断熱材、畳心材、樹脂 2000年
7 パラジクロロベンゼン 240 衣類の防虫剤、トイレの芳香剤 2000年
8 テトラデカン 330 灯油、塗料 2001年
9 クロルピリホス

1(小児の場合0.1)

防蟻剤 2000年
10 フェノブカルブ 33 防蟻剤 2002年
11 ダイアジノン 0.29 殺虫剤 2001年
12 フタル酸ジ-n-ブチル 17 塗料、顔料、接着剤、可塑剤

2000年

(2019年改訂)

13 フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 100 壁紙、床材、可塑剤

2001年

(2019年改訂)

 

総揮発性有機化合物

(TVOC)

400

暫定目標値

(上記13項目とは独立して扱う)

症状があるときは

症状の緩和

専門医にかかって適切な治療を受けましょう。

発生源の除去

換気の励行

外気が汚染されている場合を除き、もっとも有効で基本的な汚染物質の低減策は積極的な換気です。

  • 2ヵ所以上窓などを開け、空気の入口と出口をつくる。
  • 換気用小窓、ガラリ、換気口を利用する。
  • 補助的に換気扇等を利用する。

積極的に換気を行い、汚染物質をどんどん外に出しましょう。

発生源を除去

発生源を推定します。体調不良を生じるようになったきっかけを確認しましょう。

家具など、原因が容易に移動できるものであれば撤去します。壁紙などが疑われる場合は張り替えを検討してみるのも有効です。

吸着剤の使用

補助的に各種吸着剤、分解剤、封じ込め剤や空気清浄機等を使用する方法もあります。ただし、その効果にはばらつきがあります。身近な吸着剤としては、「炭」「お茶がら」「コーヒーの搾りかす」などがあります。これらは、引き出しや戸棚など狭い空間に有効です。

化学物質過敏症とは

化学物質過敏症とは、きわめて微量の化学物質に対して過敏に反応し、各種の症状を示す症候群をいいます。

一般的に発症のメカニズムは下記のとおりとされています。

  1. 過去に大量の化学物質に高い濃度で短期間さらされ、急性中毒症状が出現したことがあるか、化学物質に長期間さらされたことがある。
  2. 再度、極めて微量の、または同系統の化学物質にさらされた場合に症状が出るようになる。
  3. 一度、化学物質過敏症になるとその後きわめて微量の化学物質にも反応し、日常生活に支障が出る。

症状は目・鼻・のどへの刺激症状、嗅覚過敏、皮膚の紅斑、かゆみ、疲労感、頭痛、めまい、吐き気などです。アレルギー様症状と自律神経系の症状を主としています。

化学物質過敏症はシックハウス症候群と異なり、建物を離れても症状はよくならず、今まで症状が出なかったものに対しても、反応するようになることがあります。

現在のところ、客観的な診断基準や治療方法が確立されていないので、原因となる化学物質を避けることが賢明だと言われています。医学領域での今後の研究の進展が待たれます。

荒川区保健所で行っていること

シックハウスの相談をお受けするほか、必要に応じてご家庭を訪問し、換気方法等の助言をいたします。

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お問い合わせ

健康部生活衛生課環境衛生係

〒116-8502荒川区荒川二丁目11番1号

電話番号:03-3802-3111(内線:426)

ファクス:03-3806-2976

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