金工

更新日:2019年8月11日

裁鋏(たちばさみ)

石塚昭一郎(いしづかしょういちろう)さん(長太郎)

昭和9年生まれ(南千住五丁目3番12号)
当初裁鋏(ラシャ切鋏)は、明治の文明開化で洋服とともに輸入されたが、その後日本の職人によって作りあげたものである。特に刃の部分の裏側に鋼をはりあわせる技法は、刀鍛冶の伝統的技法が生かされている。石塚さんは、裁鋏の始祖、吉田弥十郎(銘:弥吉)の直弟子・石塚長太郎の孫で、3代目を継いでいる。銘は長太郎(ちょうたろう)。
昭和60年度に荒川区登録無形文化財保持者、平成12年度に荒川区指定無形文化財保持者に認定。

金切鋏(かなきりばさみ)

田中清介(たなかせいすけ)さん(茂盛光)

昭和16年生まれ(町屋三丁目25番7号)
板金工の専門工具「金切鋏」を昔ながらの総火造りでこしらえている。金切鋏は、刃の曲げ具合によって区分けされ、直刃・柳刃・エグリ刃などの種類がある。さらにそれぞれ、厚切り・薄切りがあり、寸法の違いを加えると数十種にわたる。
田中さんの父・茂吉氏は、金切鋏の祖・安藤入道盛房の系譜を引く足立区千住「盛久」で修業し、昭和26年から現在地で開業した。田中さんは、昭和32年からその父について修業し、技術を修得。
平成3年度、荒川区登録無形文化財保持者に認定。同21年度、荒川区指定無形文化財保持者に認定。

鍛金(たんきん)

菅原悦夫(すがわらえつお)さん(友夫)

昭和13年生まれ(町屋四丁目36番14号)
菅原さんは岩手県で生まれ、18歳の時に上京して小川友衛氏に師事して技術を修得した。北千住の神永製作所に勤めた後に、独立して現在に至る。銀や銅、真鍮などの金属板を金槌で打ち出して、器を制作する技術である。菅原さんは急須や水滴をはじめ、洋食器などの実用品を制作している。
平成7年度、荒川区登録無形文化財保持者に認定。平成28年度、荒川区指定無形文化財保持者に認定。

桶谷輝明(おけたにてるあき)さん(靖山)

昭和18年生まれ(西日暮里一丁目12番21号)
鍛金とは、熱した薄い金属の板を金槌などで叩いて、器物を成形する技術のことをいう。桶谷さんは、父・清作氏(故人・元荒川区指定無形文化財保持者)の下で、昭和36年から修行を積んだ。その技法は平田禅之丞(1772安永元年没)を祖とする平田派の流れをくむ。金属の中でも銀を素材として扱い、和食器(急須、茶筒、ぐい飲み、菓子入れなど)や装身具(指輪、ブローチ、ペンダントヘッドなど)を制作する。銘は、靖山(せいざん)。
平成12年度、荒川区登録無形文化財保持者に認定。平成30年度、荒川区指定無形文化財保持者に認定。

長澤武久(ながさわたけひさ)さん

昭和13年生まれ(荒川三丁目7番4号)
銀・銅・真鍮の板を打ち出し、鍛えて茶器や食器を製作する。長澤さんは、昭和32年、都立工芸高校金工科を卒業後、京都生まれの鍛金師である父・金次郎氏(元荒川区指定無形文化財保持者)の下で仕事の手伝いを始めた。鍛金に必要な打つ・切る・削るなどの基本的な作業工程をマスターし、一人前になるには20年の修業が必要だという。後継者に、子息の利久氏がいる。
平成7年度に荒川区登録無形文化財保持者、平成10年度に通産省認定伝統工芸士として認定。

長澤利久(ながさわとしひさ)さん

昭和43年生まれ(荒川三丁目7番4号)
銀・銅・真鍮の板を叩いて成形し、和食器を製作する。長澤さんは荒川区荒川出身で、祖父・長澤金次郎氏(故人、京都府出身、号巧益、元荒川区指定無形文化財保持者)、父・武久氏(荒川区登録無形文化財保持者)に続く三代目。高校卒業後、2年ほど別の仕事に就き、その後、父・祖父の下で修業を始め、技術を修得した。茶器類(急須・やかん・茶筒など)や菓子皿、酒器などを作る。1枚の地金から製造する技術を保持しているが、急須は数多く生産するため、一部工程を下職に発注し製造している。この他、製品の修理も行う。
平成30年度、荒川区登録無形文化財保持者に認定。

福士豊二(ふくしとよじ)さん

昭和19年生まれ(東日暮里四丁目26番10号)
福士さんは、青森県で生まれ、昭和34年(1959年)、15歳の時に上京し、鍛金職人の叔父・奈良勇蔵氏のもとで修行して技術を修得した。平成5年からは、奥山峰石氏(重要無形文化財保持者)のもとで打込象嵌等の技術を学んだ。銀板を打ち出して成形し、打込象嵌の技法を用いて、デザイン性の高い飾り扇や花器や酒器などを制作する。
平成11年度、通産省認定伝統工芸士に認定。平成24年度、荒川区登録無形文化財保持者に認定。

鋳造(ちゅうぞう)

菓子満(かしみつる)さん

昭和12年生まれ(西日暮里六丁目36番3号)
菓子さんの父・十平氏は台東区浅草の大賀房次郎氏に師事して技術を修得した。菓子さんは昭和35年に東京芸術大学を卒業、さらに専攻科に進学し、修了後父の跡を継いだ。
主に、真土型(荒木田土と青砂を半々に混ぜたもの)を用いて、美術工芸品や彫刻などの鋳造を行っている。鋳型に湯(金属を溶かしたもの)を流し込むまでの準備に何カ月も費やすといい、鋳型づくりの段階で出来上がりが大きく左右されるという。
昭和63年度、荒川区登録無形文化財保持者に認定。
平成20年度、荒川区指定無形文化財保持者に認定。

大江隆之(おおえたかゆき)さん

昭和32年生まれ(西尾久四丁目30番6号)
大江さんは、曽祖父の代から続く鋳造職人の4代目である。高校卒業後、大学に通いながら昭和50年から、父・源一郎氏(故人、元区登録無形文化財保持者)に付いて修業をはじめ、技術を修得した。主に神輿製作職人からの依頼を請けて、神輿の屋根にそびえる鳳凰や蕨手などの神輿の飾り金具を中心に鋳造を行う。  
素盞雄神社の本社神輿の飾り金具も大江さんが手がけたものである。
平成20年度、荒川区登録無形文化財保持者に認定。

鋳金(ちゅうきん)

松本隆一(まつもとりゅういち)さん

昭和22年生まれ(西日暮里六丁目43番8号)
鋳金とは、金属を溶解させ、それを鋳型に流し込み、仕上げ処理まで行う技術をいう。
松本さんは、昭和45年に多摩美術大学を卒業したあと、一時期会社勤めをしていたが、昭和50年に、堀川次男氏(故人、元荒川区指定無形文化財保持者)に師事し、鋳造についての技術を学んだ。同時に仕上げ処理の部分について、渡辺正氏(紫綬褒章・勲四等)に学び修業をつんだ。
昭和63年に伝統工芸日本金工展に入選した後、様々な賞を受賞し、平成13年度には、同展で文化庁長官賞を受賞した。現在社団法人 日本工芸会正会員。
平成12年度、荒川区登録無形文化財保持者に認定。

七宝

畠山弘(はたけやまひろし)さん

昭和28年生まれ(南千住五丁目43番4号)
 七宝とは金属の素地にガラス質の釉薬を盛り込んで、高温で焼いて彩色する技術。七宝作りは分業制で、保持者はデザイン(原案)の考案、盛り込み、仕上げを中心に行う。江戸時代に平田彦四郎が朝鮮半島から渡来した技術を学び、刀の装飾品製作に用いられたが、明治時代の廃刀令を機に、刀から勲章、徽章の飾り製作へと転換していった。
 畠山さんは、南千住に生まれ、父、吉雄氏の下で22歳より修業して技術を修得。28歳の時、父の後を引き継いで二代目となる。昭和53年からはオリジナル作品としてブローチやペンダントなどのアクセサリーを中心に手がけている。
 平成22年度、荒川区登録無形文化財保持者に認定。

荒川ふるさと文化館

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