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更新日:2020年6月17日

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第1章人権問題の基本認識 人権推進指針策定の趣旨

荒川区では、平成11年10月に新たな「基本構想」を議決し、「憲法に保障された基本的人権を侵害されることなく、すべての人が自由平等であり、平和で社会的公平が保たれる地域社会の実現」を基本理念のひとつと定め、区民と区が共に力を合わせて、その実現を図ることとしています。
このように、すべての人々の個人の尊厳が守られ、基本的人権が尊重される地域社会を築くことは、区民の誰もが望むものであり、私たちが生き生きとした社会生活を送る上で欠くことのできない基礎をなすものです。
現在の社会においては、人権意識が浸透してはいるものの、なお、高齢者や障害者などの社会的弱者や女性、あるいは外国人に対する差別や偏見が見られ、また学校におけるいじめ、エイズ感染者への差別や偏見など、新たな人権にかかる問題が発生しています。
荒川区が、平成10年に実施した「区政世論調査」においても、行政が積極的に取り組むべき人権問題として、「いじめ・体罰など子どもへの差別」、「障害者に対する差別」など、多くの事項が挙げられており、区民が様々な分野にわたる人権問題の解決に向けた取り組みを望んでいることが明らかになっています。
また、平成11年には、人権擁護団体や地域団体等に対し、聴き取り調査を実施いたしましたが、この調査でも、各団体から人権に関する様々な課題が提起されております。
このような状況を踏え、荒川区では、平成12年11月、庁内に「人権推進指針検討委員会」を設置し、荒川区における人権問題の現状を明らかにし、今後の人権推進の方針とそれに基づく基本的な施策の方向を明らかにするため、「荒川区人権推進指針」を策定することとしました。

国外の動き

国際連合は、昭和23年(1948年)に「世界人権宣言」を採択し、『すべての人類社会の構成員固有の尊厳と、平等で譲ることのできない権利を承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎である』ことを宣言しました。
宣言から50年を経た今日、この宣言の基本的な考え方は、国際社会において幅広く支持され、人々の間に定着しつつあります。
この間、国連は、「国際人権規約」をはじめ、「人種差別撤廃条約」、「女性差別撤廃条約」、「児童の権利条約」など、差別の解消を目的とした23におよぶ人権に関連する条約や宣言を決議し、加盟国に批准・承認をもとめてきました。
しかし、こうした国連や国際社会の努力にもかかわらず、いまだに地球上には、民族紛争による人種差別や女性差別による人権侵害など、解決しなければならない数多くの人権問題が存在しています。
このような現状を踏まえ国連は、1994年に、「人権教育のための国連10年」(1995年から2004年)を定め、加盟各国に対して人権教育と人権確立を目指す取り組みの強化に努め、「世界人権宣言」の理念や精神を実現させる責務を果たすことを求めています。

国内の動き

国内では、昭和21年(1946年)に日本国憲法が制定されて以来、基本的人権を保障するための様々な取組みが行われてきました。
近年においても、男女雇用機会均等法の改正や男女共同参画社会基本法の制定、児童買春・児童ポルノ処罰法の制定、外国人登録法の改正、犯罪被害者保護法の制定、ストーカー行為規制法の制定、児童虐待防止法の制定など、人権を保障するための法整備が図られております。
また、平成9年(1997年)には、「人権擁護施策推進法」が施行されるとともに、国連の決議を受けて、「人権教育のための国連10年・国内行動計画」が制定され、人権教育の推進や各分野別重要課題への対応が明らかにされています。
加えて、国の「人権擁護推進審議会」は、平成11年7月に、『人権が共存する人権尊重社会を実現するためには、人権啓発を一層推進し、国民一人ひとりに人権尊重の理念について正しい理解が十分定着するよう努めることが重要である』との「教育及び啓発に関する答申」を行いました。
さらに、平成12年11月には、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が成立し、区市町村に対し、「住民に最も身近な行政を担当する立場から地域の実情を踏まえたきめ細かい人権救済及び啓発活動を推進するよう」求めています。

荒川区における人権問題の現状

荒川区では、平成11年9月から11月の間に、人権擁護団体や各施策と関係のある地域団体等に人権に関する課題や要望について聴き取り調査を実施しました。
この調査では、団体から偏見などによる人権侵害の実態が依然として存在していることなど、人権に関する様々な課題が提起されました。また、障害のある人や高齢者、さらには子ども、在日外国人など、それぞれの区民が自分の持っている力で「自立」して生きられる地域社会づくりへの強い要望を持っていることなどを知ることができました。
この調査によって得られた各団体等の意見・要望や各種の資料などによる荒川区における分野別の人権問題の現状は、以下のとおりです。

(1)こども

子どもの人権に関する社会的課題としては、大量伝達手段の発達による情報の氾濫、性の商品化など、様々な問題が提起されており、「児童の権利に関する条約」の締結から5年以上が経ちましたが、条約の理念についての社会的認知度は、まだまだ低いと言わざるを得ない現状にあります。
また、学校における「いじめ」や「不登校」などの問題も全国的に多発しており、本区においても皆無とは言えない状況にあります。こうした問題は子どもたちの心身を傷つけるだけでなく、成長過程での深刻な状況をつくりだし、時には青少年による犯罪のひとつの要因となっているとの指摘もあります。
さらに、家庭などにおける親や大人による子どもへの虐待も重大な社会問題として捉えなければなりません。児童相談所に寄せられた東京都内の児童虐待についての相談件数は、年々増加傾向にあり、区内でも、児童虐待の相談事例があります。「児童虐待防止法」が定められるなど法体制の整備も進められておりますが、社会全体で子どもの人権を守っていくための早急な対応が求められています。

(2)障害者

障害者に対する自立支援や生活しやすい環境づくりなどのバリアフリーの考え方に基づく取り組みが進むとともに、障害者に対する理解も浸透してきました。また、法制度において精神障害が福祉施策の対象に位置付けられるなど、精神障害施策も充実の方向にあります。
しかしながら、障害者の抱える問題は、障害者の年齢や障害の内容、程度などによって様々であり、障害そのものによる負担だけではありません。交通手段や建物などの物理的なバリアによって、障害者が自由に行動するには、まだまだ不十分な現状です。また、偏見や差別によって賃貸住宅への入居を拒まれたり、働く場が十分に確保されていないなど心理的バリア(障壁)の問題も残されています。
障害のある人も障害のない人もお互いに相手を尊重し、地域の中でともに生き生きと暮らしていける社会の実現のために、障害者の自立を支援するきめの細かい多様な施策や仕組みづくりとともに、障害者に対する理解を深めようとする姿勢が求められています。

(3)女性

近年、女性の地位向上と男女平等社会の実現に向けて様々な取組みがなされてきました。しかし、人々の意識や行動、社会習慣や慣行の中には、いまだに女性に対する差別や偏見、「男は仕事、女は家庭」といった男女の役割に対する固定的な考え方など、多くの課題があります。
また、女性の働く権利をも侵害しかねないセクシュアル・ハラスメントや、夫やパートナーなどから家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス)などの女性に対する暴力は、これまでプライバシーの問題として被害がなかなか表面化しにくかったため、社会の重大な問題として認識されていませんでした。女性に対する暴力は、女性の人権及び基本的自由の享受を妨げ、侵害するものであり、その根絶にむけ、あらゆる世代に対し女性の人権への理解を深めるための意識啓発や関係機関の連携を促進する必要があります。
女性が性差による不利益を受けることなく、女性も男性もそれぞれの個性や能力が十分発揮できる社会の実現が求められています。

(4)高齢者

荒川区の65歳以上の高齢者の比率は、現在、総人口の19パーセントを超え、今後も増加することが想定されます。
高齢者の中には、長年培った知識や経験を生かして社会活動に積極的に参加する方も多い一方、一人暮らしで家に閉じこもりがちな方々や、心身機能の低下により自宅や病院・施設で介護を受けながら生活している方々もいます。これらの方々については、ともすれば、孤独死や家族による虐待、施設等での身体拘束など、人権侵害の状況が発生する恐れがあります。
また、高齢者は年齢を理由に就業対象から除外されたり、賃貸住宅の契約がしにくいといった状況もあり、元気な高齢者をはじめ社会全体として、見守りや介護を必要とする高齢者を支え、人権を擁護する取り組みが必要となっています。

(5)外国人

国際都市東京の中にあって、荒川区には多くの外国籍の人々が地域で生活しています。その多くが韓国・朝鮮の国籍を有する人々であり、その人数は他区に比べて多い状況にあります。また、歴史的背景を持つ中で、世代構成も現在では二世、三世が中心となっています。
法的在留資格の面では、新入国者と一定の違いが設けられていますが、社会的偏見によるいやがらせや、就労面における不利益な扱いなどの実態があります。また、参政権や無年金者などの課題について対応を望む声もあります。
荒川区で生活する多くの外国人との共生を図っていくため、民族や国籍の違いなどによって差別したり、偏見にとらわれたりすることのないよう外国人には日本の生活のルールを理解してもらうとともに、日本人も外国人の生活習慣を尊重するなど、人権意識を醸成し、文化交流や地域交流などにより豊かな地域社会づくりを進めることが求められています。

(6)同和問題

同和問題は、封建時代の身分制度や歴史的、社会的に形成された人々の意識に起因する差別が、さまざまな形で現われている社会問題です。
区は、この問題を解決するため区の実情に即した取組みを行ってきたところであり、教育や啓発によって、区民の同和問題に対する認識も変わりつつあります。また、地元の協力により実施してきた「荒川地区環境改善事業」は、道路、公園などの整備が進み、計画事業が概ね完了し、地域の生活環境も大幅に改善されました。
しかし、一方では就職にかかわる身元調査、インターネットを利用した差別的な文章の掲載など、依然として人権侵害の実態があります。また、同和問題を口実として不当な要求を行う「えせ同和行為」が存在し同和問題の解決の妨げとなっています。
同和問題の解決に向けて、引き続き教育・啓発を積極的に推進するとともに、その方法においても内容や手法の工夫が求められています。

(7)HIV感染者等

HIV感染者・エイズ患者は全国的にも東京都においても増加傾向にあり、身近な問題として捉えていく必要があります。同時にHIV感染者・エイズ患者、あるいはハンセン病患者やその家族は、病気の問題だけでなく、病気に対する誤った認識による社会の偏見にも苦しんでいます。
病気に対する正しい知識の普及や理解の促進の取り組みが求められています。

(8)様々な人権の現状

先にあげた課題以外にも、犯罪被害者や家族の人権、刑を終えて出所した人の人権問題などがあります。また、路上生活者や不法就労者の問題など、複雑な社会問題を含む課題があります。
最近では、臓器移植や尊厳死など医療分野における人権問題や、情報通信技術の進展による人権・プライバシーの侵害など、人権問題の態様も多様化しており、人権尊重の考え方が定着しつつある一方で、権利だけを主張するような風潮も生み出されています。
さらに、環境問題も生存権にかかわる重要な人権問題のひとつとして主張されるようになってきました。
一方で、平成10年度に区が実施した「区政世論調査」では、人権侵害の事例として、「学歴差別」や「職業差別」なども高い割合を占めており、これらの差別解消が依然として大きな課題となっております。
このように社会情勢の変化に伴い、人権の問題は多様化・複雑化しており、日常生活のあらゆる場面に発生してくる様々な人権問題についての論議を深めていくとともに、人権侵害に対し的確、迅速に対応できる取組みが求められています。

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