敷地面積が1,000平方メートル以上における住宅系建築物の容積率を緩和する制度 制度の運用
制度の運用
東京都は、建築基準法第52条第8項本文()書きに基づき東京都都市計画審議会の議を経て、次のように定めました。
- 適用する区域は、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域又は商業地域で都市計画で定めた容積率が500%以下の区域とする。
- 容積率割増の上限の数値は、都市計画において定められた容積率の数値の1.2倍までとする。
- 容積率の上限の数値の算出方法は、「Vr=Vc(1+0.4(3/(3-R)-1))」とする。
Vr:容積率の上限の数値
Vc:都市計画において定めた容積率の数値
R:建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計をその延べ面積で除した数値
荒川区における制度の運用
運用の詳細は、次のとおりです。
- (1)第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域、商業地域で都市計画で定めた容積率が500%以下の区域にあること。(法52条8項1号、東京都告示第885号)
- (2)敷地内に政令で定める規模以上の空地(道路に接して有効な部分が政令で定める規模以上であるものに限る。)を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上であること。(法52条8項2号)
これらの規定における政令で定める数値等については、以下のアからエのとおりである。
- ア 法52条8項に規定する建築物の容積率の上限の数値の算定方法(令135条の14、東京都告示第885号)
次式により得られる数値とする。
Vr=Vc(1+0.4(3/(3-R)-1))
Vr:容積率の上限の数値
Vc:都市計画において定めた容積率の数値
R:建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計をその延べ面積で除した数値
- イ 法52条8項2号の政令で定める空地の規模(令135条の16・1項)
次式により得られる数値とする。
空地の規模=100%-建ぺい率限度+20%
建ぺい率限度:法53条の規定による建ぺい率の最高限度
- ウ 法52条8項2号に規定する道路に接して有効な空地の部分の規模(令135条の16・2項)
道路に接して有効な空地の部分の規模は、イの「空地の規模」に2分の1を乗じて得たものとする。この道路に接して有効な空地の部分とは、次の(ア)、(イ)及び(ウ)に該当するものをいう。
- (ア)道路に面していること。
- (イ)敷地の奥行の2分の1の範囲にあること。
- (ウ)道路境界線から2メートル以上、隣地境界線から4メートル以上の幅を有すること。ただし、建築物と道路との間に工作物が設置され道路からの見通しが妨げられる場合等工作物の設置により道路に接して有効な空地の部分の有効性が損なわれる場合は、これに該当しない。
- エ 法52条8項の政令で定める敷地の規模(令135条の16・3項)
- (ア)法52条8項の政令で定める敷地の規模は、次の数値であること。
- A 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域:2,000平方メートル
- B 近隣商業地域又は商業地域:1,000平方メートル
- (イ)建築物の敷地が(ア)Aの地域と(ア)Bの地域にわたる場合においては、その全部について、敷地の属する面積が大きい方の地域に存するものとして(ア)の規定を適用することとする。
- (ウ)建築物の敷地が(ア)Aの地域又は(ア)Bの地域とこれらの地域として指定されていない区域にわたる場合においては、その全部について、(ア)Aの地域又は(ア)Bの地域に存するものとして(ア)の規定を適用することとする。
法52条8項の運用にあたっての留意事項
本制度の運用にあたっては、以下の点に留意の上、交通、安全、衛生等の居住環境の悪化が生じないよう十分配慮してください。
- (1)前面道路の幅員が12メートル未満である建築物の容積率は、別途、法52条2項の規定により制限される。
- (2)敷地が容積率の異なる用途地域にわたる場合等は、各々の割増後の容積率を按分計算して適用する。
- (3)敷地が本規定による特例が適用される地域と適用されない区域にわたる場合においては、本規定が適用される地域に属する敷地の部分については本規定による特例が適用され、本規定が適用されない区域に属する敷地の部分については本規定による特例が適用されないものとして、各々の容積率を按分計算して適用する。
- (4)(2)及び(3)の場合における空地の規模の算定に係る建ぺい率限度については、当該敷地全体に係る法53条の規定による建ぺい率限度であること。また、これらの場合における敷地規模については、荒川区における制度の運用の項にある(2),エ(イ)及び(ウ)が適用される。
- (5)他の制度との併用について
- A 令2条1項4号に規定する自動車車庫等の用途に供する部分、及び法52条6項に規定する共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積を延べ面積に不算入とする措置は、本規定による特例と併せて適用される。また、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されない住宅の地下室を有する場合は、当該部分の床面積を含んだ容積率が指定容積率の1.5倍以下でなければならない。
- B 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成6年法律第44号)12条の規定による特定施設の容積率制限への不算入措置については、本規定と併せて適用することが可能。
- C 高度利用地区内においては、法59条1項の規定において高度利用地区に関する都市計画において定められた内容に適合することとされており、高度利用地区に関する都市計画の容積率の最高限度の数値をさらに割増することはできない。また、都市再生特別地区内においても同様の取り扱いである。
- D 市街地の整備改善に資するため、必要に応じ、本規定による特例と、総合設計制度(法59条の2・1項)、一団地の総合的設計制度(法86条1項)、連担建築物設計制度(法86条2項)、一団地型総合設計制度(法86条3項)又は連担建築物総合設計制度(法86条4項)を併せて適用することが可能であること。ただし、総合設計制度については、その運用の考え方が本規定と同様の場合もあることから、本規定の考え方と重複しない範囲において併せて適用することが可能である。
法52条8項の規定が適用される住宅
- (1)構造、設備等により住宅の用途に供される目的で建築されていること。
- (2)事務所等を兼ねるいわゆる兼用住宅は含まれない。
- (3)住宅の用途に供する部分の床面積の合計の延べ面積に対する割合を算出する場合にあっては、当該延べ面積には、住宅の用途に供する地階の部分の床面積、共同住宅の共用の廊下及び階段の用に供する部分の床面積並びに自動車車庫等の床面積も含まれる。
- (4)住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合については、原則として住宅の用途に供する部分(以下「住宅の部分」という。)の床面積の合計をもとに算出することとなるが、住宅の用途に供する部分とその他の用途に供する部分が複合している建築物に係る住宅部分の床面積の算定にあたっては、原則として以下の取り扱いとする。
- A 住戸の用に供されている専用部分は、住宅部分として取り扱う。
- B 共用部分のうち、専ら住戸の利用のために供されている部分は、住宅部分に含めて取り扱うこと。(例えば、一定の階の専用部分の全てが住宅の用途に供されている場合の当該階の廊下、階段等の部分、住宅の入居者のための自動車車庫等の用途に供されている部分等は、住宅部分として取り扱うこと。)
- C 共用部分のうち、専ら住戸以外の利用のために供されている部分は、住宅部分に含めないこと。
- D B及びC以外の共用部分については、その床面積の合計に、当該建築物における住戸の用に供されている専用部分及び専ら住戸の利用のために供されている共同部分(以下「住戸の用に供されている専用部分等」という。)の床面積の合計と住戸以外の用に供されている専用部分及び専ら住戸以外の利用のために供されている共同部分の床面積との合計のうち住戸の用に供されている専用部分等の床面積が占める割合を乗じて得た面積を共用廊下等の部分の床面積に含めて取り扱うこと。
確認申請時の留意事項
法52条8項が適用される建築物については、規則第1条の3第1項の表一の(へ)項の規定により、建築確認申請に添付する図書に、敷地に接する道路、道路に接して有効な空地の部分及び敷地内における工作物の位置等を明示した配置図を要求しています。これは当該図書により道路に接して有効な空地の部分を適切に把握することを目的としたものです。
主な図書への記載事項
縮尺、方位、敷地境界線、法第52条8項第2号に規定する空地の面積、道路に接して有効な部分の面積及び位置、敷地内における工作物の位置並びに敷地に接する道路の位置
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