荒川ゆうネットアーカイブ
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荒川ゆうネットは、平成16年から22年までに開設されていたサイトです。
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ページタイトル:歴史探訪 荒川区の伝統技術
このページでは、荒川区に残る伝統技術や、職人さんを紹介しています。
情報提供協力:荒川区教育委員会
荒川区教育委員会発行「あらかわ職人マップ」より
日本の手工業と荒川区の匠
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「荒川区に残る伝統技術」
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●べっ甲
イラスト:べっ甲鼈甲の歴史は古く、正倉院御物の杖や琵琶の一部に玳瑁の甲羅が使われていることからも明らかです。本格的な鼈甲細工が始まった のは、安土桃山時代の長崎といわれ、それが江戸に持ち込まれ、基礎が作られていったといわれています。当初は甲羅をそのまま使うなど、細工も簡単でしたが、元禄期に「貼り 合わせ」(製品の形と斑の位置を決めて、2〜3枚の甲羅を水と熱で張り合わせる)の技法が伝えられ、複雑な造形もできるようになりました。鼈甲は主に、簪や櫛、印籠などの装身具に利用されていました。
●木版画
イラスト:木版画約1200年前、木版を利用し、衣服の文様を表した「蛮絵」が正倉院に所蔵されていますが、木版画が一般に普及しはじめるのは江戸時代。菱川師信が「浮世絵」を製作し、この段階で下絵を書く絵師、これを版木に彫る彫師、紙に摺る摺り師の分業体制が確立。当時は墨一色の簡単なものでしたが、次第に多色摺りへと変わっていきます。明和2年(1765年)には、鈴木春信によって「錦絵」が開発され、色彩は10色以上となり、技術は飛躍的に伸びていきます。その後、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、安藤広重らの絵師により、多彩な表現方法が生まれ、技術面もそれに伴い、完成の域に達しました。
●すだれ
簾は「万葉集」や「枕草子」に書かれていることからもわかるように、かなり古くから使われてきました。簾に縁をつけた高級なものは「御簾」とも呼ばれ、平安時代から宮廷や貴族の屋敷、神社、仏閣などで、部屋の間仕切りや日よけに用いられました。主な技術は江戸前期に確立したと言わています。江戸簾は、竹、萩、御業、蒲、よし、などの天然素材の味わいをそのまま生かしているのが特徴。「百科園涼み」「簾ごし美人図」「風俗三段娘」など、浮世絵師・喜多川歌麿の作品にもしばしば登場しています。
●仏壇
仏壇といえば、箱型の置仏壇を思い浮かべますが、本来は、寺院などで仏像を安置する台座のことを指していました。木のほかに、土や石でも作れられていたそうです。仏壇が普及し始めたのは江戸時代。元禄のはじめ、指物師が仕事の合間に桑や欅などの堅木材を使い、独自の技術・技法によって比較的あっさりとした、飾りの少ない仏壇を作ったのが始まりとされています。黒檀や紫檀など、唐木材が使用され始めたのは1840年頃。最初に使ったのは、江戸仏師の三代目・安田松慶だといわれています。
●木彫(仏像・建築・仏壇彫刻)
イラスト:木彫一説によれば、木彫りは6世紀の仏教伝来とともに始まったといわれています。平安時代から鎌倉時代には多くの仏像が彫られました。しかし、室町時代には、仏像を必要としない禅宗が全盛期を迎え、代わりに寺社の柱や欄間などに装飾を施す「建築彫刻」が発達。桃山時代から江戸時代には、世に知られる名工・左甚五郎が活躍しました。建築彫刻は、最初は大工が手がけていたのですが、江戸時代になると、棟梁たちの中から専門の「宮彫師」も現れます。木彫に使われる材料は、欅、桧、桜、樟などです。
●提灯
イラスト:提灯「手に提げる灯火具」ということから、提灯の文字が当てられるようになりました。江戸時代、携帯用灯火具として流行。さらに、照明としてだけでなく、挨拶や合図、また、店舗のシンボルや装飾にも利用されました。提灯作りは当時から分業化されており、竹骨を作る職人をはじめ、紙を作る職人、提灯の上下の曲げ物を作る職人、紙を張る職人、絵文字を書く職人、桐油を引く職人など、多くの人が関わって出来上がります。
●江戸紙切り
イラスト:江戸紙切り紙を鋏で切り、形を作る日本の伝統的な芸のひとつ。影絵から生まれたともいわれています。縁起物から、似顔絵、動物、植物、昆虫まで、お客さんからのリクエストに応えて切り出すこともあります。軽妙な話術とハサミの技術を兼ね備えた芸人さんは、紙切り師、紙切り芸人などと呼ばれます。
●桧皮葺(柿葺・銅葺)
イラスト:桧皮葺(柿葺・銅葺)屋根を桧皮で葺くこと。仕事は材料採取(皮剥ぎ)、材料加工(皮拵え)、屋根葺きの3つに大別されます。材料採取に従事する人はムキヤ・ヒワダヤ、材料加工を行う人はヤネヤと呼ばれています。また皮剥ぎ職人は桧皮剥手などともいわます。
●木地指物
イラスト:木地指物山中にあって椀・鉢・汁杓子・飯ベラなどを作り、暮しをたててきた職人がルーツ。椀や木鉢はロクロを使って仕上げるので「ロクロ師」とも呼ばれています。木地とは「漆を塗る目的で作った指物または挽物。塗り物の下地」のことです。木地師は、「手挽ろくろ」という道具を回し、材料を「ろくろ鉋」で削ったり、切ったり、形を整えながら、木地を作っていきます。この木地に漆などを塗って、品物が完成します。日本の漆器産地を活性化させる原動力になったのは、木地師であったと言っても過言ではありません。
●菓子木型
イラスト:菓子木型和菓子を成型する際に用いる木型のこと。落雁や練り物といった和菓子を作る道具として、江戸時代初期までに考案されました。最初は、円や三角形などの簡単な形でしたが、元禄年間(1688〜1703年)には、華麗な文様の木型が誕生したようです。江戸時代、上野や浅草にあった菓子屋は、木型を用いて、将軍や大名に納めるものから、日常的なお茶菓子まで、さまざまな菓子を製造していました。菓子木型は、菓子のデザインとは左右及び凹凸(おうとつ)が逆になるように彫って作ります。
●人形頭
イラスト:人形頭人形作りは、頭・髪・衣装などの分業制になっており、頭づくりとは、人形生地師によって作られた「人形生地」に目を入れ、胡粉とにかわを数回塗り、この間に目・鼻・口・耳などの細部を整え、上塗りの後、最後の面相描きをして仕上げる仕事をいいます。
●人形結髪
イラスト:人形結髪頭が完成した後、髪付けと言って、あらかじめ生地の頭部に彫ってある「毛掘り」と言う溝に、髪の毛を植え、櫛でとかしながら髪を結い上げる作業のことをいいます。
●犬張子
イラスト:犬張子犬張子の起源は、京都宮廷でお産に使われた「犬筥(いぬばこ)」だといわれています。これは美しい犬形の張子細工で、雌雄一対の箱となっており、安産のお守りや幼児の魔除けとして産室に置かれたりしました。愛子さまのお誕生の際、天皇陛下から贈られたということです。かつては和紙で作られていましたが、最近は焼き物でつくられたものが多くなっています。
●唐木細工
イラスト:唐木細工遣唐使によって唐より伝わった唐木(紫檀、黒檀など)を使用した、独特の風合い、重厚感、木目の美しさが特長の工芸品です。唐木細工は正倉院にも数多く残されており、平安中期には、細工物を作った記録も残っています。江戸時代になると、唐木指物が大坂で大量に作られ、庶民の間でも唐木製品が使われるようになりました。それが江戸にも伝わり、その盛況は明治以降まで続きました。
●桶
現在は、金属やプラスチックが主流ですが、水汲みや、洗面器、風呂桶いった製品は、さわらや杉、檜から作られていました。木製の桶には、肌触りやぬくもりが感じられ、耐久性においても定評があります。
●寄席文字・勘亭流文字
寄席文字、勘亭流文字は、ひげ文字や相撲文字などとともに「江戸文字」と呼ばれています。「寄席文字」は「ビラ文字」ともいわれ、紺屋職人が、ビラを頼まれて書いているうち、勘亭流と提灯文字を特有の書体を生み出したというのが起こりとされています。また「勘亭流文字」は、江戸中期、御家流の書家であった手習い師匠・岡崎屋勘六が、中村座の依頼で書いたのが最初といわれ、その独特の書体は江戸市民の評判となって、勘六の号から「勘亭流」の名がついたとされています。どの文字も少しずうつデフォルメされていたり、文字の隙間が少ないのが主な特徴です。
●金箔押し
イラスト:金箔押し器物の表面に漆を塗って、この漆を接着剤として金箔を吸い付かせる技法。日本独自の金箔の歴史は、奈良時代末期〜平安時代初期に始まったといわれており、以後、寺院や仏像、蒔絵、織糸に至るまで、数多くの美術工芸品に使われており、日本の金箔技法は、世界的にも評価されています。
●印章小箱
イラスト:印章小箱書簡など、署名の下に押す花押(書判)は、15世紀以降、武家の間に広まり、江戸時代になると、庶民の間にも普及していきます。明治時代になると、さらに印鑑の需要は高まりました。それと同時に印鑑を作る「印判師」が生まれ、印鑑を保管する「印章小箱」を作る専門職人が登場。さまざまな素材を使った小箱が作られるようになりました。
●金切鋏
金属を切る鋏のことで、板金工の七つ道具のひとつ。承平年間(約1000年前)に編集された「倭名類聚鈔」という日本最古の百科事典に、「鍛冶具」として記載されています。奈良・平安時代、金物の発展に伴い、鍛冶工が激増。それと同時に職人が使用する工匠具も大量に必要となり、鋏は相当の発展を遂げたようです。江戸時代には刀鍛冶、はさみ鍛冶が、余暇に作っていましたが、トタン板普及や板金細工の発達につれて、専門職人が現れるようになります。
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