○財務会計関係規則の一部を改正する規則等の施行について(依命通達)

昭和63年3月28日

62荒総総発第238号

今般、荒川区予算事務規則(以下「予算事務規則」という。)荒川区会計事務規則(以下「会計事務規則」という。)荒川区契約事務規則(以下「契約事務規則」という。)及び荒川区事案決定規程(以下「事案決定規程」という。)の一部がそれぞれ改正され、昭和六十三年三月二十八日公布、同年四月一日から施行されることとなつた。

これらの規則等は、事務処理手続の簡素・合理化を図るとともに、支出負担行為その他の事案の決定区分や意思決定手続を適正なものに改めようとするものである。

ついては、これらの改正事項のうち、下記のものについて、解釈を定めたので、所属職員に周知徹底を図られたい。

この旨、命により通達する。

第一 予算事務規則関係

一 支出負担行為に関する事務の補助執行者が不在のときの臨時代行

(一) 上位者による臨時代行の廃止

改正前の予算事務規則第五条第二項の規定が削除され、改正後の予算事務規則別表に定める支出負担行為に関する事務の補助執行者(当該補助執行者の決定関与者を含む。)が、出張又は休暇その他の理由により、不在である場合に至急に当該支出負担行為(決定関与を含む。)に関する決定を行う必要があるときは、今後、事案決定規程に基づき、その者の直近下位の職にある者が臨時に決定を行うこととした。

(二) 臨時代行の濫用の防止

支出負担行為者に関する決定の臨時代行については、至急にそれを行う必要があるものに限るものであつて、臨時代行できるからといつて、みだりにこれを行つてはならないものであること。

二 歳出予算の一部の節間における部長による流用

(一) 流用の濫用防止

改正後の予算事務規則第二十三条第五項の規定により、部長は、企画部長に協議のうえ歳出予算の同一目内において、節の一部を相互に流用できることとした。しかし、流用は、あくまでも予算上の措置であり、可決成立した予算を安易に流用してはならないものであること。

なお、企画部長(財政課)に協議しないで部長決定した流用は、無効とする。

(二) 流用禁止科目及び人件費・物件費間の流用禁止

改正後の予算事務規則第二十三条第五項各号に掲げる予算科目については、部長が流用することのできない節(以下「流用禁止科目」という。)であるが、それ以外のものであつても同項ただし書の規定により人件費と物件費に係る各節間等の流用はできないこととした。

ついては、人件費と物件費とは、次のものをいう(一部の節については、流用禁止科目でもある。)

ア 人件費

一報酬、二給料、三職員手当等(三(一)職員手当等、三(二)時間外勤務手当、三(三)休日給夜勤手当、三(四)宿日直手当、三(五)退職手当、三(六)特別勤務手当)、四共済費、五災害補償費、六恩給及び退職年金、七(一)常傭賃金、十九負担金、補助及び交付金(業務経理負担金のみ。)

イ 物件費

(二)一般賃金、九旅費(九(一)職員旅費、九(二)特別旅費)、十交際費、十一需用費(十一(一)光熱水費、十一(二)食糧費、十一(三)賄費、十一(四)一般需用費)、十二役務費、十三委託料、十四使用料及び賃借料、十八備品購入費

第二 会計事務規則関係

一 諸支出金の申請等及び補助金の交付等に係る収入役協議

改正前の会計事務規則第二十九条第一号の規定により、国又は都から交付される諸支出金の申請については、すべて収入役の協議を必要としていたが、これを廃止し、資金管理の面から一件一千万円以上の申請についてのみ収入役協議を必要とすることに改めた。

また、改正前の荒川区支出負担行為手続規程(昭和三十九年荒川区訓令甲第六号)第三条第二項第二号及び第三号の規定により、一件五十万円以上の補助金の交付及び一件百万円以上の貸付金の貸付は、収入役に事前協議を必要としていたが、諸支出金と同様に一件一千万円以上の支出負担行為に係るものについてのみ収入役協議を必要とすることに改めた。

なお、収入役への協議に当たつては、収入役室出納係長を経由して行うものであること。

二 収支命令者が不在のときの収入通知及び支出命令に関する事務の委任

改正前の会計事務規則第五条第二項により、収支命令者に事故があるとき又はその者が欠けたときは、部長(課を置かない部にあつては、総務部長)が別に指定する者に収入の通知及び支出の命令に関する事務を委任すると規定されていたが、このうち「収支命令者に事故があるとき、又はその者が欠けたときは」を事案決定規程の表現と統一するため「収支命令者が出張又は休暇その他の理由により不在である場合において至急に収入の通知又は支出の命令をする必要があるときは」に改めた。

なお、収支命令者(課長)が不在の場合において、至急に収支命令する必要があるときは、部長は、種々勘案し、別の者を指定し、その事務を委任するものであるが、これについては、おおむね部の庶務担当課長が望ましいものであること。

三 起案用紙による歳入調定等

会計事務規則第百四十三条の規定による別記様式である調定額通知書(第四号様式(甲))を改正し、同様式に「納付期限」、「根拠法等及び処理方法」の欄を設けることとした。これにより、調定額通知書と対になつている歳入調定書(起案用紙に代わるもので、規則上の様式ではない。)においても同様の欄が設けられ、歳入調定決定書としての位置づけをより明確にしたものである。しかしながら、本様式による起案では、起案の経過、理由、説明等が十分達せられないときは、起案用紙(荒川区起案様式普通様式甲号)により起案することとする。この場合においては、調定額通知書のみを作成し、薄紙の歳入調定書の作成は、必要がないこと。

なお、部又は所に属する歳入の調定に関する事務は、会計事務規則第四条の規定により部長又は所長が行うこととされているが、部に属するもので、一件五百万円未満のものにあつては、課長が行えるよう事案決定規程別表に規定することとした。

第三 契約事務規則関係

一 所長又は校長による契約締結の請求

従来、主管課(所及び学校を含む。)において契約締結できない売買、貸借、請負その他の契約に関し、契約の締結が必要であるときは、運用ですべて部長(改正前の契約事務規則第九十八条第一項の規定では、部長、課長、所長又は校長となつており、誰に権限があるのか不明であつた。)が契約担当者に契約締結の請求をしていたところであるが、これを同規則の規定上も「課長、所長又は校長を削除し、部長のみが契約締結請求できるものとした。

ただし、一件の契約に係る金額が五百万円未満のものについては、課長が契約担当者に契約締結の請求ができるよう事案決定規程別表に規定することとした。

これに伴い、所長(保健所にあつては庶務課長)及び校長についても、課長と同様、一件五百万円未満のものについては、契約締結の請求ができるものとする。

第四 事案決定規程関係

一 従来、支出負担行為に関する事案の決定区分については、予算事務規則別表に規定されている事案のすべてを事案決定規程において規定していた。

今般、予算事務規則別表の全面改正に際し、これまでどおり規定することとすると、規定が複雑化し、かえつて決定権限の所在の理解が困難となるおそれがある。このため、協議先を明確にすることが必要な「補助金、分担金等の支出等に関すること。」及び「基金への繰出金及び会計間における補填的な繰出金の支出に関すること。」の二つの事案を除いては、すべて削除することとした。

なお、削除した支出負担行為に関する事案の決定に際しては、予算事務規則別表を参照すること。

二 臨時代行

(一) 不在の解釈

事案決定規程第七条及び第八条に規定する「出張又は休暇その他の理由により不在」(以下「不在」という。)の解釈は、次のとおりとし、この解釈は、財務関係規則における不在の解釈にも適用するものとする。

ア 「出張」には、研修目的のもの及び長期又は外国等遠隔の旅行を伴うものも含まれるものであること。

イ 「休暇」には、病気、怪我等による病欠又は休職及び職務免除による不在が含まれるものであること。

ウ 「その他の理由」には、その職にある者が死亡、退職、失職したが、後任者が決まらない場合を含むものであること。

(二) 臨時代行の表示

臨時代行により事案を決定(決定関与を含む。以下同じ。)した場合には、当該決定に係る起案文書等の押印欄の右肩に赤色で「代」と表示するものとする。

(三) 不在解消後の報告

臨時代行により事案を決定した者は、不在解消後、直ちに当該意思決定に係る起案文書等を回付するなどして、必ず本来的に決定すべき者に報告しなければならないものであること。

(四) 事務取扱等の任命による臨時代行の終了

本来的に決定すべき者が、死亡、退職、休職、長期又は遠隔の旅行等のため、その職の事務取扱、事務代理等が任命されたときは、臨時代行は終了し、その者が本来的に決定すべき者となる。

三 契約を伴う事務事業の実施に係る事案の意思決定手続

(一) 実施に係る事案の決定の意義

従来、本区においては、事務事業を実施するに当たり、既定のものはともかく新たな事務事業を実施する場合においても、当該事務事業に含まれる個々の契約その他の支出負担行為を必要とする段階に至って初めて、当該支出負担行為者の意思決定を文書(契約を必要とするものにあっては、購買・起工等決定書)により受けているケースが一般的である。

このような場合、例えば施設の建設や業務の委託をしようとするとき、その内容の概要の確定及び工事又は委託の方針の決定など事務事業の実施に係る事案の意思決定を文書により適正に行うことを怠っていることになる。

これは、事案決定規程が未整備であつたことによるほか、実施計画や予算で確定あるいは庁議での決定などが当該事務事業の実施決定であるかのように誤解をして、事務事業全体としての実施に係る意思決定を文書により行うことを省略しているものもあると思われる。実施計画や予算は、あくまで行財政上の方針であり、また、庁議での決定は、区の方針を確定するものであっても区の最終的な意思決定ではないので、事案決定規程別表に掲げる区分(別表に掲載されていないものについては、当該事案の結果の重大性)に応じて、それぞれ別に「区の意思決定」を行う必要がある。

本区においては、昭和六十四年一月から情報公開制度が実施されており、区民から事務事業の実施決定に関する文書の公開を請求されたときに、該当する文書が存在しないなどといった事態を招かないようにしなければならない。

(二) 起案用紙を用いた意思決定

契約を伴う事務事業の実施に係る事案については、新規、既定の別なく起案用紙を用いて必要事項を記入の上、意思決定を行うこと。この場合、契約締結請求又は購買・起工等の契約に関する意思決定は、別途行うこと。ただし、既存の事務事業の実施に係る事案のうち、経常的な事務に係る消耗品の購入等で主管課による契約が認められているものについては、契約方法決定書及び契約締結決定書をもって事案決定を行ったものとみなし、起案用紙を用いて意思決定を行うことは要しないものとする。

財務会計関係規則の一部を改正する規則等の施行について(依命通達)

昭和63年3月28日 荒総総発第238号

(平成19年3月29日施行)

体系情報
第8編 務/第3章
沿革情報
昭和63年3月28日 荒総総発第238号
平成5年5月13日 荒総総発第73号
平成19年3月29日 荒総総発第1764号