更新日:2023年2月4日
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本日(令和5年2月4日)ゆいの森あらかわにおいて、 荒川区指定有形民俗文化財である三河島山車人形の稲田姫(いなだひめ)と熊坂長範(くまさかちょうはん)の組立作業が公開されました。素盞雄神社の天王祭(荒川区登録無形民俗文化財)で飾られている山車人形です。組立は、山車人形を保存している稲田姫保存会と荒川中央町会により行われました。先人から受け継がれている高度な組立技術は、荒川区登録無形民俗文化財に登録されています。
稲田姫は、記紀神話に登場するスサノオノミコトの妻クシイナダヒメです。 本山車人形には、頭(かしら)の箱に文久元年(1861)の墨書があり、製作年が明確なうえ、当初のままの形で残る名工・古川長延の作例として貴重です。豪華な打掛・袴をまとい左手に巻子状の持物を持ち、鏡を首に掛けた優美な人形です。
かつては曳き廻されていましたが、今は稲田姫保存会を構成する荒川四丁目西仲睦会・荒川文化会・大西町会・荒川宮地町会の4町会が、所有・管理し、年番で当番を務め神酒所に飾ることが慣例となっています。近年は三河島稲荷(荒川三丁目)に飾られ、3年に一度の本祭では、素盞雄神社の神楽殿に飾られます。
熊坂長範は、謡曲「熊坂」等で知られる平安末期の伝説的な大盗賊で、日本各地で伝承されています。この人物を模った本人形は、名工といわれた古川長延の作とされます。岩に座り大太刀をさし右手に薙刀を構えて大きく見得を切る姿は勇壮です。現在では動かすことはできませんが、玉眼を回転させると勇ましい目が現われるという二つの形相に変化するからくりの作例として貴重な人形です。かつては曳き廻されましたが、現在は荒川中央町会が所有・保存しており、素盞雄神社の天王祭の時に町会の神酒所に飾られています。
稲田姫の組立では 、稲田姫保存会の皆さんが、まず、胴部に、頭、腕、脚を取り付け、豪華絢爛な打掛、袴を着せて台座に据え置きました。最後に周囲に高欄を組み立てて、鏡を首に掛け、スサノオノミコトが恋したという美しい稲田姫が、約1時間の作業で完成しました。
熊坂長範像の組立では、荒川中央町会の皆さんの手で、まず、岩組とよばれる熊坂長範を置く台を組み立て、胴部を据え置きました。次に腕、顔などを胴部に取り付けていきました。続いて、着物を着せ、薙刀、太刀を持たせる等、約1時間かけて組み立て終わり、熊坂長範の勇ましい姿が現れました。
稲田姫を組み立てた髙村幸秀(たかむら ゆきひで)稲田姫保存会会長は「震災や戦火を乗り越えて保存された約150年前の人形を見てください。これからも人形を大切に保存したい。」と、熊坂長範を組み立てた金田博(かねだ ひろし)荒川中央町会会長は「この組み立て技術を後世に伝えていくのが私たちの使命です。」と話してくれました。
稲田姫の組立
稲田姫
熊坂長範の組立
熊坂長範
組立の様子
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