荒川区 ぐるぐるグルメ(中国)【錦州餃子 華味(きんしゅうぎょうざ はなみ)】
錦州餃子 華味 小川玉恵さん(母)・梅子さん(娘)
このコーナーでは荒川区内で召し上がれる世界各地の魅力的な家庭料理をご案内します。今回は旧小台通りで餃子をメインにした家庭料理を平成11年から営み、地元でも評判の店「華味」を訪れました。

■梅子さん:
遼寧省錦州は、北京の東北に位置する歴史のある町で、南は遼東湾に面しています。料理は北京料理で、家庭では日常的に餃子をよく食べます。錦州餃子という名前は、私たち家族が錦州出身なので記念に名付けたもので、料理名とは異なります。
残留孤児の父が埼玉県で肉親が見つかったのを機に、平成元(1989)年、母と私たち夫婦の4名で日本に移住し、最初はあらかわ遊園の傍に住みました。
今では日本にも慣れ、私も子どもが3人恵まれて7名の大家族です。
■玉恵さん:
錦州では夫も私も教師をしていて、私は小学校で長らく教鞭をとっていました。人口抑制施策の「ひとりっこ政策」が始まる前は、1クラス50人も居り1学年で8クラスもあって賑やかでしたよ。今よりももっと大らかな教育でしたね。
日本に戻ることになった夫に付いてきましたが、言葉も通じず職歴も活かせませんでした。パートの仕事を見つけましたが見よう見まねで仕事を覚えるしかなく当時は大変苦労をしました。中国では国民全員が国家公務員で、仕事も楽だったし失業の心配もなかったので、日本に来て環境の違いに驚きました。
反対に現在の中国では開放政策中で、私たちの年代は時代の波に付いていけず苦労されていると聞きます。
写真上:仲がよい母娘コンビ。
写真下:ショウウィンドウのレプリカ。
蝋細工は高いので紙粘土を餃子の皮で包んだ手作り。

■玉恵さん:
日本に来てから友人や近所の方を呼んだホームパーティで、餃子が美味しいと誉められ、家庭で食べるだけではもったいないから店を出してはどうかと何度か勧められたことがきっかけです。
確かに日本の餃子とは作り方も味も違いますが、家庭料理ですし商売などやったこともないので全てが手探りでした。
■梅子さん:
平成11(1999)年に商店街沿いのこの物件が売りに出たので2階を住居にし、1階は思い切って店を開きました。
宣伝方法も分からないので「○月○日オープンします」という手書きの張り紙を店の前に出しただけでしたが、口コミでお客さんが増え、現在も8割が近所の常連客です。一度テレビに紹介された時には行列が出来る程でしたが、私たちは地元のお客さんを大切にしたいので、それ以来テレビ取材はお断りしています。
写真上:旧小台通り商店街。味のある店が軒を連ねる。
写真下:「天ぷら 天ふじ」若奥さんの手作りマップも好評。

焼餃子は薄力粉とお湯で、水餃子は強力粉と水で手捏ねで仕込みます。
仕込んだあとは最低でも1日寝かせてから使用する事で食感も良く丈夫に仕上がります。

日本の餃子のようにニンニクを入れません。「たれ」ににんにく、醤油、黒酢などをアレンジして好みで食べます。錦州では米酢より黒酢がスタンダードです。もち米醸造の黒酢には高血圧や心臓病を予防する効果もあります。

錦州では白菜のみじん切りを入れます。大量に採れて貯蔵しやすく入手が簡単なせいもあるかと思いますが、キャベツよりアッサリと仕上がります。

市販の豚肉ミンチは粒が細かく食感が物足らないので焼餃子に使用する豚肉はブロックで仕入れ、厨房で少し大きめのミンチにし、紹興酒で臭味を消します。
水餃子用には豚肉以外に海老のむき身を入れます。

具材は上記に白菜、ニラのみじん切りを加えたシンプルなものですが、材料は吟味し良いものを仕入れています。味付けはオイスターソース、塩、ごま油、サラダ油などでラードや化学調味料は使用せずヘルシーです。
具材は、3日寝かせて味を馴染ませます。
焼餃子と水餃子では、皮、具材、調理方法などが全く異なりますので食べ比べてみてください。
メニュー(一部抜粋)
●錦州餃子(焼餃子)10個 500円
●三鮮水餃(水餃子)10個 550円
●ワンタン20個 650円
●肉包子(にくまん)菜包子(野菜まん)各200円 ※包子は7/8月は販売していません。
※いずれも持ち帰り用に生もあります。
右:干豆腐サラダ
湯葉のような口当たりは一度食べるとクセになる。
左:水餃子
具に使われた海老の風味が効いている。