荒川ゆうネットアーカイブ
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荒川ゆうネットは、平成16年から22年までに開設されていたサイトです。
内容は、掲載当時のものとなります。

三河島コリアタウン Part1 食文化編
インタビュー「近くて遠い国」と称された韓国も、今は「近くて近い国」です。
焼肉レストラン 曙苑 文 敬淑さん

三河島にはご両親の代からご縁があったと伺っていますが?

民族衣装を纏った氏
先祖の墓と供養塔を建立。伝統的な民族衣装を纏った氏

 昔からこの地域には、鞄製造を生業にしている済州島出身者が多くいました。私が生まれる前から父は縫製関係、母は紡績工場で働いており、済州島と三河島を行ったり来たりしていました。父は来日した3日めに関東大震災にも遭遇したそうです。
 両親は既に他界し、済州島で眠っています。家族や先祖を大切に敬う儒教の教えにより、毎年の法事は欠かせません。今でも私は年に2〜3回は墓参のために帰ります。父と母の法事を別々に行っていましたが、近年は頻繁にある法事や祭事も現代に見合うようにと合理化されてきていますね。


三河島に来られたのはいつ頃ですか?

飾れている民芸品
店内には故郷の済州島の写真や民芸品が飾られています

 17才の時に医者になりたいと思い、勉学のために単身で三河島に来ました。しかし近親もなく勉強が出来る環境になかったので、早く自立したいと思い鞄製造業に専念しました。来日してから今年で56年めになります。
 当時は言葉もうまく話せない中で、働きながら定時制高校に通いました。月給は2000円でしたが、月に2日間ある休日にお汁粉を食べにいくのが唯一の楽しみでしたね。
 見習いから始まり、独立して下請けが出来るようになった時に、日が昇るという縁起を担いで「曙」という屋号をつけました。朝から晩までミシンを踏み続け、段ボールに商品を入れて自転車に山と積み、三河島から横山町や馬喰町の問屋まで卸しに行きました。
 1977年まで続けた製造卸業は、多くの苦労がありましたが今では懐かしく思い出されます。その時の無理が祟ってか大病もしましたし、21才から患っている神経痛とは一生付き合うことになりそうです。


飲食店をはじめたきっかけを教えてください。

店内
くつろげる店内はテーブル席、座敷席、宴会場があります

 製造卸業に携わった後、水産業の取次なども経験しましたが、親として息子達が将来に渡り三河島で生活していく上で、どのような仕事を残したら良いかを考えました。平成元年に老朽化した自宅をビルに建て替え、一階をレストランにして息子達にまかせた次第です。また、当時では珍しいカラオケもいち早く設置したので随分話題になりましたよ。


済州島の料理をいただけるとの事ですが、おすすめの料理はありますか。

アワビのお粥写真

 「アワビのお粥」は、アワビを薄く切りごま油で軽く炒めた後、水に浸したお米をいれてお粥にします。ごま油の香りとアワビの食感が食欲をそそる一品、淡泊な中にもコクのある味が楽しめます。

モンのスープ写真

 『モン』は済州島特産の海草で、形状は日本のホンダワラに良く似ています。日本ではなかなか手に入りにくいため、家族や知人が済州島に行くときに頼んでいます。モンのスープ仕立ては済州島に住む人の大好物で健康にも大変良い料理です。

ムルフェ写真

 『ムルフェ』は味噌や酢、コチジャンを水に混ぜ、刺身や野菜の千切り入れて氷で冷やした冷たいスープです。「イカのムルフェ」「活アジのムルフェ」など時期によって様々ですが、4月〜5月頃が旬の『チャリ(スズメダイ)』を使用した『チャリムルフェ』は済州島を代表する料理のひとつです。

 済州島は、中央のハッラ山(標高1950m)を挟む豊かな地形に恵まれています。このため気候の差異により特産物も地域によって異なります。
 『チャリ』は島の南側で早い時期に捕れるのですが、寒流と暖流が混じり合う北側で捕れたものの方が味は美味しいです。また済州島で捕れる甘鯛も最高に美味ですよ。いずれも自慢の味ばかりですので、是非試してください。


三河島地域の変遷をどのようにお考えですか。

三河島駅
尾竹橋通りに面している常磐線・三河島駅

 在日コリアンの数が減り、一世も老齢化している過渡期にあると思います。
 若い人は六本木などの繁華街に出てしまい、地元では遊ばないようです。
 工場があって活気に満ちていた昔に比べると、町に人が歩いていないなぁと悲観的な気持ちになります。昨今の韓流ブームも、三河島のような下町にはあまり影響は無かったように思います。
 ただコリアンタウンとしては特色のある店が多く営業しているので、上手にアピールしていけば良いのではないでしょうか。


荒川区と済州島の交流についてご感想は?

済州島物産展写真
荒川区、「済州市友好交流写真展」会場内物産コーナーでは済州島の特産品が数多く紹介され好評を得ました。

 遅ればせながらという感はありますが、大変良いことだと思います。以前は「近くて遠い国」と称された韓国も、今は「近くて近い国」です。
 済州島への航路は成田から週4回直行便が出ていて、たった2時間半で行けます。私は今まで日韓親善に尽力してきましたが、荒川区の皆さまには身近な隣人という感覚で、済州島とより一層の友好を深めていただきたいと願っています。

平成18年2月掲載記事
問い合わせ先 荒川区管理部情報システム課
電話:03-3802-3111(内線 2151)

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