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内容は、掲載当時のものとなります。
概念は「個人や家族の自由でプライバシーのある生活を基本に、複数の世帯が日常生活の一部を共同化して生活の合理化をはかり、共有の生活空間を充実させ、そのような住コミュニティを居住者自身がつくり育てていく」ことで、「コレクティブハウスかんかん森」では各世帯の独立した賃貸住宅のほかに、共有のスペース(キッチン、食堂、リビングルーム、図書コーナー、工作室、洗濯室・家事コーナー、菜園、倉庫)が有り、居住者の創意工夫と話し合いにより共有のスペースの管理運営を行い、料理や掃除などにも主体的に関わります。 写真提供:木下孝二さん 「コレクティブハウスかんかん森」に
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※コモンミール: コモンダイニングで週3回食事がいただけます。 そのうち一度調理を担当します。 |
井上:入居3年目になりますが、私たち夫婦はコレクティブハウスを最初から知っていたわけではありません。夫の定年を機に社宅を出るにあたり、住まい探しをしていました。上階にある高齢者住宅を見学に来て、この存在を知ったという経緯です。社宅を出ると、近所づきあいも含めて地域との関係が密になります。私は地域との付き合いがありますが、夫は一からのスタートという事を考えると、ここでなら近隣との関係が自然に築けると思いました。
また、夫は家事を何もしないので私は、定年を機に夫婦の家事分担の見直しや私の家事負担を軽減してほしいと思っていました。今までのようにテーブルの前に座って、指示するだけだったらたまったもんじゃないなっというのが正直なところでした。
ここではコモンミール(※)が週3回あり、1階の食堂(高齢者施設の運営)も予約さえすれば食事が出来るので助かります。
また夫もコモンミールの料理当番が効を奏してか、1人でも御飯が炊けるようになりましたし、自分の部屋の掃除も彼の担当です(笑)。
坂元:14〜5年前にスェーデンのコレクティブハウスを知る機会があり、それ以降コレクティブハウスは理想の住まいだと思い、調査・研究・啓発活動をしてきました。かつて私自身は、共働きをしながら子育てをしてとても苦労をしましたので、その頃このコレクティブハウスがあったらどんなにか良かったかしらと思っています。自分自身の体験からも、世の中においてコレクティブハウスは広がっていくべきだなと感じていますし、潜在的なニースは多いと思います。
日本女子大学教授の小谷部育子さんと共にNPO法人 コレクティブハウジング社を立ち上げ、ワークショップ、本や冊子、ビデオを作ったり、同NPOが手掛けた古民家を再生したシェアードハウスに住んだりしてきました。
やはりコレクティブハウスに住んでみないことにはと思い1年前に入居しました。
畑井:共有部分の管理を「当番制」と聞くとマイナスのイメージを抱かれる方が多いようで「わずらわしくないの?」と良く聞かれますが、コモンミールの場合、1カ月に1度食事を作る方にまわれば、週3回は皆さんが作ってくださった料理をいただけるし、共有部分の掃除も3カ月に1回ですから負担になりません(当番は一世帯ごとではなく18才以上の各個人に該当)。またそれらを差し引いても、得るものの方が大きいと思います。当番といっても体調や都合もあるので、交代したりなど住民間のコミュニケーションで融通もつきます。
また皆で住むためには利用ルールも必要ですが、ルールは絶対ではなく月に1回全員参加の定例会で話し合いながら時々に合う形で変えていく柔軟性があります。
娘は普段遊びなれている所だから落ち着くようでこのリビングがお気に入りです。血縁関係はありませんが顔見知りがいるという安心感を与えてくれています。入居者同士で子守をし合うなど、自然な「助け合い」や「思いやり」に支えられています。とかく子育ての身には頼もしい場所です。
井上:最初は、「めんどくさいんじゃないかしら、馴染めるかしら」と不安でしたが、「賃貸なので暮らしてみてダメだったら引っ越そう」くらいの軽い気持ちでスタートしたんです。私の子どもの頃は、井戸端会議や子どもを預けたり預かったりはあたりまえでしたからね。このコレクティブハウスでは、プライバシーは守るという現代人にあった考え方を取り入れている点が良いですね。
自分の子どもよりも若い世代の方たちと交流出来たり、血は繋がって無くても子ども達の成長を間近で見られたりと、活き活きした暮らしです。おかげさまで夫婦の共通の話題も増えましたね。
子守の話がありましたが、熱が急に出たときなど2時間ぐらいは気軽に見てあげれますし、長くなるときは居住者同士で子守をバトンタッチもします。
私自身のことをいえば、夫は何も出来ない人なので、食事の心配をしなくて良いので安心して出掛けられるというメリットがあります。夫も「妻がやるもの」から「自分でやること」に意識がシフトしてきたようです。
最近は、私の担当場所まで掃除をしてくれていたりと以前では考えられません。
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掲示板:月に一度居住者が全員参加する定例会で、コモンスペースの管理運営に関わるさまざまな事を話しあいます。またこの掲示板は居住者同士の意思の伝達に役立っています。 |
坂元:私はコレクティブハウスに長年関わってきましたが、実際住んでみると「やっぱりそうだった」という事が多いですね。夢みてきたことが現実になっているという感じです。
コレクティブハウスかんかん森がスタートしたときは、子どもは一人でした。現在は0才児を含めて4人、もうじき5人になる予定です。まさに子ども天国コレクティブハウスです。子どもにとって住みやすい環境は、その親にとっても安心出来る環境ですし、高齢者にとっても若い命と接することは悦びです。
反対に違和感を感じる事は、掃除の仕方が不十分な事。目に余るときはその時の掃除担当にキチンと注意しますし、言い合える関係がここにはあります。ただ喜ぶべきか悲しむべきか、住んでいるうちに私自身が妥協出来るようになってきた部分もあります(笑)。
また多世代ということもあり、世代や経済力の違いからコモンミールのメニューなどは、多少高くても良い物をいただきたいとか、安い方が良いなど意見が分かれるところですね。
坂元:物価が安いのがありがたいですね。
なるべく地域の小売店で買い物をしようと思い、荒川仲町通り商店街やジョイフル三ノ輪商店街を利用します。
また、繊維街は実質的で庶民的ですが、素敵なオリジナル服の掘り出し物があったりと楽しい場所です。区民事務所の建替えにあたり地域参加のワークショップに参加しましたが、ちょっとしたカフェや繊維街の歴史がみられるコーナーはどうだろうかなど、夢のある話しが多く活気を感じました。
畑井:かんかん森に住むために、たまたま荒川区に来たわけですが、外国人が多くて楽しい町ですね。駄菓子問屋もあるということなので、今度娘と一緒に行ってみようと思います。
井上:山の手と比べると物価がずーと安くて、商店街に活気がありますね。
特にお祭りのときは楽しいですね。ふだん顔をあわす近所のオジサンが鯔背(いなせ)なはっぴ姿になって「あのおじさんこんなカッコよかったの?」って目を見張りました。