○荒川区立学校等における医療的ケア実施要綱
令和5年4月1日
制定
(5荒教セ第216号)
(教育長決定)
(目的)
第1条 この要綱は、荒川区立幼稚園、小学校、中学校(以下「学校等」という。)において、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である幼児、児童又は生徒(以下「対象児」という。)に対し、安全かつ適切に医療的ケアを実施するために必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第2条 この要綱において「医療的ケア」とは、医師の指導のもと保護者や看護師等が日常的・応急的に行う、治療を目的としない医療行為をいう。
(医療的ケアの内容)
第3条 この要綱に基づいて行うことができる医療的ケアは、次に掲げるものとする。
(1) 喀痰吸引
(2) 人工呼吸器による呼吸管理
(3) 気管切開部の管理
(4) 経管栄養
(5) 導尿
(6) 人工肛門(ストーマ)の管理
(7) 血糖値測定・インスリン注射
(8) その他主治医の指示の範囲で、対象児に医療行為を行うことに支障がないと荒川区教育委員会(以下「教育委員会」という。)が認めたもの
(医療的ケアの実施条件)
第4条 医療的ケアは、次の各号のいずれにも該当する場合に実施できるものとする。
(1) 学校(園)生活と同様の時間帯に、保護者、看護師等が日常的に行っている医療的ケアであること。
(2) 主治医による医療的ケア実施指示書があること。
(3) 就学相談委員会(医療的ケア児相談部会)での検討を経ること。
(4) 個別対応プランについて、対象児の保護者、主治医及び指導医の合意があること。
(5) 対象児への看護職員の配置が決定していること。
(看護職員の配置)
第5条 医療的ケアは、看護職員が主治医の指示のもと行う。
2 原則として、対象児1人つき、看護職員を1人配置する。ただし、同一又は隣接する学校等に複数の対象児が在籍している場合は、複数の対象児に1人の看護職員を配置する等、医療的ケアの内容、頻度等に応じて、看護職員の配置の適正化を図るものとする。
3 看護職員は、保健師、助産師、看護師又は准看護士でなければならない。
4 看護職員の職務は、次に掲げる事項とする。
(1) 主治医による医療的ケア実施指示書に基づく医療的ケアの実施(第3条に規定する医療的ケアに限る。)
(2) 対象児の日常生活及び学習活動支援
(3) 対象児の健康状態に関する保護者との情報共有
(4) 医療的ケアの実施記録作成
(5) 器具等の管理
(6) 校内医療的ケア安全委員会又は園内医療的ケア安全委員会(以下「校内医療的ケア安全委員会」という。)への出席
(7) 幼稚園の園長又は学校長(以下「校長等」という。)、学級担任、養護教諭その他の関係教職員との情報共有及び連携
(指導医の委嘱)
第6条 指導医は、教育委員会が委嘱する。
2 指導医の職務は、次に掲げる事項とする。
(1) 学校等で実施する医療的ケア全般に関する指導及び助言
(2) 看護職員への指導、研修及び助言
(3) 就学相談委員会(医療的ケア児相談部会)への出席
(4) 校内医療的ケア安全委員会への出席
(学校等の役割)
第7条 校長等は校内医療的ケア安全委員会を設置し、次に掲げる事項を協議の上、医療的ケアの実施体制を整備する。
(1) 学校等における医療的ケアの実施体制に関すること。
(2) 対象児の状況を把握すること。
(3) 対象児の保護者及び関係者との連携に関すること。
(4) その他医療的ケア実施に関すること。
2 学校等の職員は、対象児以外の幼児、児童及び生徒並びにその保護者が医療的ケアの実施に関する理解を深めるよう、啓発を行うものとする。
(対象児の保護者の役割)
第8条 対象児の保護者は、医療的ケアの実施において、次に掲げる事項を行わなければならない。
(1) 対象児の体調を把握し、学校等へ報告すること。
(2) 緊急事態に備え、常時連絡の取れる体制を整えること。
(3) 教育委員会及び学校等から要請があった場合に、対象児の医療的ケアに関する情報提供等に応じること。
(4) 医療的ケアに要する医療器材・消耗品を用意し、定期的に点検、整備等を行うこと。
(5) 定期的に対象児を医療機関に受診させること。
(6) 医療的ケアを安全に実施するため、校長等からの要請に協力すること。
2 教育委員会は、前項の書類が提出されたときは、荒川区立小中学校就学相談委員会設置要綱に基づき、就学相談委員会(医療的ケア児相談部会)を開催し、次に掲げる事項を検討しなければならない。
(1) 対象児の状況、その保護者の要望、学校等の状況等を踏まえた医療的ケアの実施内容
(2) 医療的ケア実施に伴う学校(園)生活上の配慮事項
3 教育委員会は、医療的ケアの実施が適当であると認めるときは、医療的ケアの実施内容及び実施期間について決定し、医療的ケア実施通知書(第4号様式)により、対象児の保護者に通知するものとする。
5 校長等は、緊急の場合に備えるため、対象児の保護者、主治医及び指導医と協議し、次に掲げる事項について、個別対応プラン(第5号様式)にあらかじめ定めておかなければならない。
(1) 想定される症状及び状態
(2) 前号の事態に対応できる応急処置の内容及び方法
(3) 緊急連絡先
(4) 緊急搬送先
(5) 前各号のほか、学校等の中で可能な範囲の対応方法
6 教育委員会及び学校等は、医療的ケアの実施に向け、必要となる人員の配置及び必要な環境整備を行うものとする。
(医療的ケアの実施等)
第10条 看護職員は医療的ケア実施記録簿(第6号様式)に実施内容を記録しなければならない。
2 看護職員は、医療的ケアに必要な器具等について、医療的ケア器具等管理簿(第7号様式)に数量を記載し、適切に管理する。
3 校長等は医療的ケアの実施状況や対象児の様子を、定期的又は随時、看護職員から報告を受け、関係教職員と情報共有を行う。
4 校長等は適宜、教育委員会、主治医及び指導医に対象児の医療的ケアについて情報提供するとともに、助言を受ける等、適切な医療的ケア実施のための連携を図るものとする。
(変更手続)
第11条 対象児の保護者は、医療的ケアの内容を変更したい場合及び対象児の状況に変更を生じた場合は、速やかに第9条1項に規定する申請を行わなければならない。
(継続手続)
第12条 翌年度も引き続き医療的ケアを受けようとする対象児の保護者は、毎年度、第9条第1項に規定する書類を教育委員会に提出しなければならない。
2 教育委員会は、前項の規定により書類が提出されたときは、荒川区立小中学校就学相談委員会設置要綱に基づき、就学相談委員会(医療的ケア児相談部会)を開催し、第9条第2項に掲げる事項を検討しなければならない。
(医療的ケアの中止又は終了)
第13条 次に掲げる事項に該当するときは、医療的ケアを中止又は終了する。
(1) 主治医から中止又は終了の指示があったとき。
(2) 保護者から中止又は終了の申し出があったとき。
2 次に掲げる事項に該当するときは、医療的ケアを中止する。
(1) 対象児の体調不良等により医療的ケアの実施が不適当であると校長等が判断したとき。
(2) やむを得ない事情により看護職員の配置が難しいとき。
3 対象児が自ら医療的ケアを行えるようになったときは、医療的ケアを終了する。
4 対象児の保護者が前条第1項の手続を行わないときは、年度末をもって医療的ケアを終了する。
(その他)
第14条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、教育部長が別に定める。