○荒川区小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム事業)実施要綱
令和2年6月25日
制定
(2荒子家第4030号)
(副区長決定)
(目的)
第1条 児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第6条の3第8項に規定する小規模住居型児童養育事業(以下「ファミリーホーム事業」という。)において行われる養育は、養育者の住居において、複数の委託児童(法第27条第1項第3号の規定によりファミリーホーム事業を行う者に委託された児童をいう。以下同じ。)が養育者の家庭を構成する一員として相互の交流を行いつつ、委託児童の自主性を尊重し、基本的な生活習慣を確立するとともに、豊かな人間性及び社会性を養い、委託児童の自立を支援することを目的として行う。
(設置・運営の主体)
第2条 ファミリーホーム事業の設置及び運営の主体は、次のいずれかに該当する者とする。
(1) 東京都(東京都及び児童相談所を設置する特別区を含む。以下同じ。)において養育家庭として経験のある家庭。ただし、事業開始届出を行う場合は、現に荒川区(以下「区」という。)の養育家庭として登録されている家庭に限る。
(2) 社会福祉法人、特定非営利活動法人等。ただし、東京都で乳児院、児童養護施設、児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)又はファミリーホーム事業を3年以上設置・運営した法人その他これらと同等の実績又は能力を有するものとして区が認めた法人に限る。
(3) 児童養護施設、乳児院、児童心理治療施設又は児童自立支援施設の職員の経験を有する者。
(職員基準)
第3条 ファミリーホーム事業者(以下「事業者」という。)は、ファミリーホーム事業を行う住居(以下「ファミリーホーム」という。)ごとに、二人の養育者及び一人以上の補助者(養育者が行う養育について養育者を補助する者をいう。以下同じ。)を置かなければならない。
2 前項に規定する二人の養育者は、一の家族を構成しているものとする。
3 前2項の定めにかかわらず、委託児童の養育にふさわしい家庭的環境が確保される場合には、当該ファミリーホームに置くべき者を、一人の養育者及び二人以上の補助者とすることができる。
4 養育者は、当該ファミリーホームに生活の本拠を置く者でなければならない。
5 養育者のうち一人は、当該ファミリーホームの養育者等(養育者及び補助者をいう。以下同じ。)及び業務の管理その他の管理を一元的に行わなければならない。
6 前項に規定する養育者は、児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号、以下「省令」という)及びこの基準の規定を遵守するとともに、当該ファミリーホームの他の養育者等に省令及びこの基準の規定を遵守させなければならない。
7 事業者は、委託児童の人数、年齢等に応じた養育体制を維持できるよう、職員の配置・活用を図ることとし、補助者については、養育者がより多く委託児童とのかかわりが取れるよう活用を図ることとする。
8 ファミリーホームを支援する職員を配置すること。ただし、前条第2項に規定するものが設置及び運営する場合に限る。
9 同条第4項に定める養育者の要件は下記のとおりとする。
(3) 前条第3項に規定する事業主体の場合は、児童養護施設、乳児院、児童心理治療施設又は児童自立支援施設における常勤職員としての3年以上の直接処遇の経験を有する者とする。
(4) 前3号以外の養育者は、省令第1条の31第1項第1号から第3号までに該当する者又は法第7条第1項の児童福祉施設(通所施設を除く。)、児童自立生活援助事業、ファミリーホーム事業又は児童相談所の一時保護所における常勤職員としての3年以上の直接処遇の経験をもつ者とする。
10 前項に規定する養育者は、荒川区の養育家庭に現に登録されている者でなければならない。
11 補助者は児童福祉事業への理解・熱意を有する者とする。
(欠格事由)
第4条 前条に規定する養育者並びに補助者は、法第34条の20第1項各号並びに精神の機能の障害により養育者又は補助者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者のいずれにも該当しない者でなければならない。
(職員研修)
第5条 養育者等は、養育を効果的に行うため、東京都が行う研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。
(設備基準)
第6条 居室及び設備の基準については次のとおりとする。
(1) 委託児童の居室、台所、浴室、洗面所、便所等委託児童が日常生活を営む上で必要な居室及び設備並びに食堂、居間等委託児童が相互に交流を図ることができる居室を有すること。
(2) 建物について、4室24畳以上の居室を有すること。委託児童の居室において、児童一人当たり面積として3畳以上が望ましいが、最低の基準として3.3m2(2畳)以上となること。個室の場合は少なくとも3畳以上を確保すること。
また、同居人の人数も踏まえ、適切に委託児童の養育を行うことができるものであること。
(3) 委託児童の年齢等に応じ、男女の居室を別にすること。
(4) 居室、設備について委託児童の保健衛生に関する事項及び安全について十分考慮されていること。
(養育基準)
第7条 ファミリーホーム事業の養育基準は次のとおりとする。
(1) ファミリーホームの委託児童の定員は、5人又は6人とする。
(2) ファミリーホームにおいて同時に養育する委託児童の人数は、委託児童の定員を超えることができない。ただし、災害その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。
2 事業者は、委託児童に対し、常時適切な養育を行うことができる体制を確保しなければならない。
(児童の権利擁護)
第8条 養育者等は、委託児童に対し、自らの子若しくは他の児童と比して、又は委託児童の国籍、信条若しくは社会的身分によって、差別的取扱いをしてはならない。
2 養育者等は、委託児童に対し、法第33条の10各号に掲げる行為その他委託児童の心身に有害な影響を与える行為をしてはならない。
(安全計画)
第8条の2 事業者は、委託児童等の安全の確保を図るため、事業を行う住居ごとに、当該住居の設備の安全点検、養育者等、委託児童等に対する住居外での活動、取組等を含めた住居での生活その他の日常生活における安全に関する指導、養育者等の研修及び訓練その他住居における安全に関する事項についての計画(以下「安全計画」という。)を策定し、当該安全計画に従い必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 事業者は、養育者等に対し、安全計画について周知するとともに、前項の研修及び訓練を定期的に実施するよう努めなければならない。
3 事業者は、定期的に安全計画の見直しを行い、必要に応じて安全計画の変更を行うよう努めなければならない。
(業務継続計画)
第8条の3 事業者は、事業を行う住居ごとに、感染症及び非常災害の発生時において、委託児童等に対する養育を継続的に行うため、及び非常時の体制で早期の業務の再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 事業者は、養育者等に対し、業務継続計画について周知するとともに、研修及び訓練を定期的に実施するよう努めなければならない。
3 事業者は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うよう努めなければならない。
(非常災害対策)
第9条 事業者は、軽便消火器等の消火用具、非常口その他非常災害に必要な設備を設けるとともに、非常災害に対する具体的計画を立て、これに対する不断の注意と訓練をするように努めなければならない。
(教育を受けさせる義務)
第10条 養育者は、委託児童に対し、学校教育法(昭和22年法律第26号)の規定に基づく義務教育のほか、必要な教育を受けさせるよう努めなければならない。
(衛生管理)
第11条 事業者は、委託児童の使用する食器その他の設備又は飲用する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じなければならない。
2 養育者は、常に委託児童の健康の状況に注意し、必要に応じて健康保持のための適切な措置を採らなければならない。
(食事の提供)
第12条 委託児童への食事の提供は、当該委託児童について、その栄養の改善及び健康の増進を図るとともに、その日常生活における食事についての正しい理解と望ましい習慣を養うことを目的として行わなければならない。
(自立支援計画)
第13条 養育者は、児童相談所長があらかじめ当該養育者並びにその養育する委託児童及びその保護者の意見を聴いて当該委託児童ごとに作成する自立支援計画に従って、当該委託児童を養育しなければならない。
(管理運営基準)
第14条 ファミリーホーム事業の管理運営基準は次のとおりとする。
(1) 事業者は、ファミリーホームごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する運営規程を定めておかなければならない。
ア 事業の目的及び運営の方針
イ 養育者等の職種、員数及び職務の内容
ウ 委託児童の定員
エ 養育の内容
オ 緊急時等における対応方法
カ 非常災害対策
キ 委託児童の人権の擁護、虐待の防止等のための措置に関する事項
ク 省令第1条の28に規定する評価の実施状況等児童自立生活援助の質の向上のために図る措置の内容
ケ その他運営に関する重要事項
(委託児童に係る金銭の管理)
第15条 事業者は、委託児童に係るこども家庭庁長官が定める給付金(以下「給付金」という)の支給を受けたときは、給付金として支払を受けた金銭を次に掲げるところにより管理しなければならない。
(1) 当該委託児童に係る当該金銭及びこれに準ずるもの(これらの運用により生じた収益を含む。以下「委託児童に係る金銭」という。)をその他の財産と区分すること。
(2) 委託児童に係る金銭を給付金の支給の趣旨に従って用いること。
(3) 委託児童に係る金銭の収支の状況を明らかにする帳簿を整備すること。
(4) 当該委託児童の委託が解除された場合には、速やかに、委託児童に係る金銭を当該委託児童に取得させること。
(守秘義務及び個人情報管理)
第16条 守秘義務及び個人情報管理については次のとおりとする。
(1) 養育者等は、正当な理由がなく、その業務上知り得た委託児童又はその家族の秘密を漏らしてはならない。
(2) 事業者は、養育者等であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た委託児童又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。
(3) ファミリーホーム事業に従事する養育者等は、委託児童等に係る個人情報を適正に管理しなければならない。
(帳簿の整備)
第17条 ファミリーホームには、養育者等、財産、収支及び委託児童の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備し、運営の透明性を確保しなければならない。
2 財産及び収支に関する帳簿に関しては、年度単位で作成するものとし、人件費等の事務費と児童の生活に係る費用の事業費とは、区分を明確にして記帳すること。
(苦情対応)
第18条 養育者は、その行った養育に関する委託児童又はその保護者等からの苦情その他の意思表示に対し、迅速かつ適切に対応しなければならない。
2 事業者は、前項の意思表示への対応のうち特に苦情の解決に係るものについては、その公正な解決を図るために、苦情の解決に当たって養育者等以外の者を関与させなければならない。
(サービス評価・改善)
第19条 事業者は、自らその行う養育の質の評価を行うとともに、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない。
(都道府県等及び児童相談所の調査)
第20条 事業者は、荒川区長又は児童相談所長からの求めに応じ、委託児童の状況及び運営状況について、調査を受けなければならない。
(関係機関との連携)
第21条 事業者は、緊急時の対応等を含め、委託児童の状況に応じた適切な養育を行うことができるよう、児童の通学する学校、児童相談所、児童福祉施設、子供家庭支援センター、児童委員、公共職業安定所、警察等の関係機関との連携その他の適切な支援体制を確保しなければならない。
(事業開始の手続)
第22条 ファミリーホーム事業を行う者は、事業を開始する2か月前までに、荒川区児童福祉法施行細則(以下「細則」という)別記様式第51号の29様式により、次に掲げる添付資料を添えて、荒川区長(以下「区長」という)宛届出を行うものとする。
(1) 法人にあっては、定款その他の規約
(2) 運営規程
(3) 建物平面図
(4) 職員の名簿、履歴書及び資格証明書並びに同居人の氏名・状況
(5) 事業計画書
(6) 収支予算書
(7) 決算書(既に他の事業を行っている場合)
(8) 土地・建物の所有等の状況が確認できる書類(登記簿謄本等、賃貸契約書等)
2 届出の提出を受けた際、東京都は、事前に現地調査等を実施し、届出内容の確認を行う。
(届出内容の変更)
第23条 前条により届け出た事項について変更を生じたときは、変更の日から1か月以内に、細則別記様式第51号の30様式により、必要な書類を添えて区長宛に届け出るものとする。
(事業の廃止又は休止の手続)
第24条 事業者は、事業を廃止又は休止しようとするときは、その2か月前までに、細則別記様式第51号の31様式により届け出るものとする。
(運営費)
第25条 本事業に関する経費は、荒川区里親等措置費支弁基準により算定するものとし、事業者は、細則第37条第3項により月ごとに計算書を添えて区長宛請求書を提出し、支弁を受けるものとする。
2 支援員を配置している場合については、別途ファミリーホームの設置促進に係る要綱に基づき支援員の配置に必要な経費を補助する。
附則
この要綱は、令和2年7月1日から施行する。
附則
第9条及び第10条の改正は、令和5年4月1日から施行する。