○荒川区里親制度実施要綱

令和2年6月30日

制定

(2荒子家第575号)

(副区長決定)

(目的)

第1条 この要綱は、児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)、里親が行う養育に関する最低基準(平成14年厚生労働省令第116号)等の関係法令及び荒川区児童福祉法施行細則(平成15年荒川区規則第28号)の規定に基づき、家庭での養育に欠ける児童等を、その人格の完全かつ調和のとれた発達のための温かい愛情と正しい知識を持った家庭で養育することにより、愛着関係の形成等、児童の健全な育成を図ることを目的とする里親制度について、必要な事項を定める。

(里親の種類)

第2条 この要綱において里親とは、法に定める里親であって、次の各号に規定する者とする。

(1) 養育家庭 保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童(以下「要保護児童」という。)を一定期間、養育する里親として、区長の認定を受けた者

(2) 専門養育家庭 前号の養育家庭のうち、一定の専門的ケアを必要とする児童を一定期間養育する専門性を備えた里親として、区長の認定を受けた者

(3) 養子縁組里親 要保護児童を養育すること及び養子縁組を目的として養育する里親として、区長の認定を受けた者

(4) 親族里親 要保護児童の扶養義務者(民法(明治29年法律第89号)に定める扶養義務者をいう。)及びその配偶者である親族であり、一定の要件を満たす要保護児童を養育する里親として、区長の認定を受けた者

(委託対象児童)

第3条 里親への委託対象児童は、その生育歴、性格、年齢及び実親の状況等を勘案して、家庭で養育することが望ましい児童とする。

2 里親への委託対象児童は、18歳未満の年齢の児童とする。ただし、区長が必要と認める場合、満20歳の年齢に達するまで引き続き委託を継続する措置をとることができる。

3 専門養育家庭への委託対象児童は、要保護児童のうち、次の各号のいずれかの要件を満たし、家庭及び地域社会での生活が可能な児童とする。

(1) 児童虐待等の行為により心身に有害な影響を受けた児童

(2) 非行があり、又は非行に結び付くおそれのある行動をする児童

(3) 身体障害、知的障害又は精神障害がある児童のうち、区長がその養育に関し特に支援が必要と認めた児童

4 親族里親への委託対象児童は、要保護児童のうち、次の各号の要件をすべて満たす児童とする。

(1) 両親その他児童を現に監護する保護者が死亡、行方不明又は拘禁若しくは疾病による入院等の状態になったことにより、これらの者により養育することが期待できない児童

(2) 里親申込者へその養育を委託しなければ、児童養護施設に入所させて保護しなければならない状況にある児童

(里親の登録及び認定等)

第4条 里親の認定等の手続は次の各号のとおりとする。

(1) 里親となることを希望する者(以下「里親希望者」という。)は、区長に申請書を提出する。

(2) 区長は、里親希望者から、前号の申請書の提出を受けたときは、区が指定する研修の修了及び法第34条の20第1項の里親の欠格事由に該当しないことを確認した上で、家庭調査を行い、その適否を明らかにする書類を作成して、里親の認定又は不認定の決定を行わなければならない。

(3) 区長は、前号に規定する里親の認定又は不認定の決定に際しては、荒川区児童福祉審議会(荒川区児童福祉審議会条例(令和2年荒川区条例第3号)第1条の規定に基づき設置されたものをいう。)の意見を聴かなければならない。

(4) 第1号の認定を行ったときは、里親登録簿に登録しなければならない。

(5) 区長は、第2号の認定を決定したときは、遅滞なく、その旨を当該里親希望者に通知しなければならない。

2 区長が里親を認定する基準については、別に定めるところによるものとする。

3 里親希望者は、里親の認定前に区が指定する研修を受けなければならない。

4 里親希望者については、第2条各号に定める里親を重複して認定することができる。

(認定の取消し)

第5条 区長は、里親が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該里親の認定を取り消すことができる。

(1) 前条第2項の基準を満たさなくなったとき。

(2) 不正な手段により認定を受けたとき。

(3) 里親から認定の取消しの申し出があったとき。

(4) 前条第1項第4号の規定による登録(以下「登録」という。)が取り消されたとき。

(5) 児童を措置した都及び区の児童相談所長並びに子ども家庭総合センター所長(以下「各児童相談所長」という。)により、児童の委託が解除されたとき(親族による養育家庭及び親族里親に限る。)

(6) 里親又はその同居人から第8条第1項第2号から第4号までの事項を確認するための同意が得られないとき。

(7) その他区長にすべき届出をしなかったとき又は虚偽の届出をしたとき。

2 区長は、前項の認定を取り消す場合においては、必要に応じて荒川区児童福祉審議会の意見を求めることができる。

(登録の更新)

第6条 里親の登録の更新については、次の各号のとおりとする。

(1) 登録の有効期間は2年とする。

(2) 里親継続の意思のある者は、区が指定した研修を受けなければならない。

2 登録の更新の手続は、次の各号のとおりとする。

(1) 里親継続の意思のある者は、登録の有効期間の満了の日までに、区長に登録の更新の申出をする。

(2) 登録の更新の申出があった場合において、登録の有効期間の満了の日までに更新が行われないときは、従前の登録は、登録の満了の日後も更新がされるまでの間は、なお効力を有する。

(3) 前号の場合において、登録の更新が行われたときは、その登録の有効期間は、従前の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

(4) 子ども家庭総合センター所長(以下「所長」という。)は、里親継続の意思のある者から登録の更新の申出があった場合、区が指定した研修の修了を確認した上で、家庭調査を行う。

(5) 区長は、登録の更新内容を審査し、適当と認めるときは、更新の登録を行い、その旨を荒川区児童福祉審議会に報告する。ただし、第4条第2項の基準に照らし、更新の登録が不適当であると認める者については、荒川区児童福祉審議会の意見を聴いて、更新の登録の可否を決定する。

3 第1項各号及び前項各号の規定は、親族里親には適用しない。

(届出)

第7条 里親が次の各号に該当することになったときには、30日以内に区長に届け出なければならない。

(1) 死亡したとき。

(2) 禁錮以上の刑に処せられたとき。

(3) 法、及び児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)の規定により、罰金以上の刑に処せられたとき。

(4) 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待を行ったこと、その他児童の福祉に関し、著しく不適当な行為をしたとき。

(5) 「経済的に困窮していない者」とする要件に該当しなくなった場合

2 里親は、次の各号のいずれかに該当するときには、遅滞なくその旨を区長の届け出なくてはならない。

(1) 登録事項について変更が生じたとき。

(2) 病気その他やむを得ない理由により、当該委託児童の養育を継続することが困難になったとき。

(3) 里親の認定又は登録の取消しを希望するとき。

(登録の取消し)

第8条 区長は、里親が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該里親の登録を取り消さなければならない。

(1) 登録の取消しの申出を行ったとき。

(2) 前条第1項の届出があったとき。

(3) 前条第1項の規定による届出がない場合で、前条第1項各号のいずれかに該当する事実が判明したとき。

(4) 不正の手段により登録を受けたとき。

2 区長は、里親が次の各号のいずれかに該当するときは、当該里親の登録を取り消すことができる。

(1) 最低基準の規定に違反したとき又は学校教育法に規定する保護者に準じる委託中の児童の就学を怠ったとき。

(2) 区長により求められた報告を怠ったとき又は虚偽の報告をしたとき。

(3) 登録の有効期間が満了したとき。

(4) 認定が取り消されたとき。

(5) 指定した研修を受講しないとき。

(委託)

第9条 所長は、法27条第1項第3号の措置又は措置の変更をしようとするときは、乳児院及び児童養護施設等の長、里親支援機関、児童又はその保護者等の意見を十分に聴き、里親制度の活用を図るよう努めるものとする。

2 所長は、里親に児童を委託する場合、里親支援機関等と連携し、児童のアセスメントや里親と児童の調整を十分にした上で、当該児童に最も適する里親に委託するよう努めるものとする。

3 所長は、委託中の里親が区外に転居した場合、当該児童の福祉を確保する上で望ましいと判断したときは、当該児童に限り、委託を継続することができる。

4 所長は、里親への委託措置が不適当と判断した児童について、一時保護を行う等により、児童の状況を十分に把握した上で、必要な措置をとることができる。

5 その他里親への委託措置については、別紙「里親委託措置指針」のほか、子ども家庭部長が定める。

(自立支援計画)

第10条 児童の委託に当たり、次の各号のとおり児童相談所は自立支援計画を作成し、実行する。

(1) 里親並びにその養育する委託児童及びその保護者の意見を聴いて、委託児童ごとに自立支援計画を作成する。

(2) 所長は、自立支援計画を里親に提示するにあたっては、里親に対し、自立支援計画の内容を十分に説明し、共通認識を得なければならない。

(3) 里親は、自立支援計画に従って受託児童の養育を行わなければならない。

(児童の養育)

第11条 里親が行う児童の養育は、次の各号に定めた内容により行う。

(1) 最低基準、前条に定める自立支援計画のほか、各児童相談所長並びに里親支援機関の指導、助言等に従い、誠実に行うこと。

(2) 里親は、各児童相談所長及び里親支援機関から養育に必要な情報の提供を受け、又は指導、助言等を求めることにより、受託児童の養育内容の向上に努めること。

(3) 里親は、児童の養育について、研修を積極的に受講するなどにより、養育の質の向上に努めること。

(4) 里親は、受託児童の養育の状況に関する記録を整備しておくこと。

(里親への支援)

第12条 区長は、里親が行う養育の内容が常に維持、向上されるよう、次の各号のとおり、里親への必要な支援を行う。

(1) 里親に関する普及啓発を行うこと。

(2) 区内に居住する里親や当該里親に委託された児童についての相談に応じ、必要な情報の提供、助言、研修その他の援助を行うこと。

(3) 里親からの相談に対応できる体制の整備に努め、里親からの相談や支援を求められた場合、その他必要に応じ速やかに対応を図ること。

(4) 児童を措置した児童相談所、児童養護施設及び乳児院に配置される里親支援専門相談員等と連携して、里親への必要な支援を行うこと。

(5) 区内の里親同士の相互交流を促進するよう、定期的に交流会を行うこと。

(6) 里親会と緊密な連絡を保ち、その取組に協力すること。

(里親への指導、助言)

第13条 所長は、児童福祉司、里親支援機関等の定期的な家庭訪問などにより、児童の養育に必要な情報を提供し、また適宜必要な助言及び指導を行う。

2 所長は、委託児童が児童相談所に相談しやすいよう、連絡先の教示等、体制の整備に努めるものとする。

(里親への研修)

第14条 区長は、里親の資質と養育内容の向上を図るため、体系的に研修を行う。

(制度の周知)

第15条 里親制度に関する広報活動は、区報、ホームページ等での広報のほか、里親会その他関係団体などを通じて、区が里親希望者に対し、情報提供及び広報活動を行う。

(他の児童相談所設置自治体との協働)

第16条 区長は、他の児童相談所設置地方公共団体(以下「他地方公共団体」という。)に居住する里親に児童を委託しようとする場合又は他地方公共団体から区内に居住する里親への児童の委託を依頼された場合には、当該児童の福祉を最優先して、他地方公共団体と協働して適切に対応する。

(経費)

第17条 区は里親に対し、この制度の実施に必要な経費を、荒川区里親等措置費支弁基準(令和2年6月30日付け2荒子家第777号)に基づき支出する。

(損害賠償)

第18条 受託児童にかかる事故について、里親が民法(明治29年法律第89号)第709条及び第714条に基づく損害賠償責任を負う場合は、区が里親に代わってその責に任ずる。ただし、里親の故意または重大な過失による場合はこの限りではない。

(その他)

第19条 この要綱に定めるもののほか必要な事項は、子ども家庭部長が別に定める。

この要綱は、令和2年7月1日から施行する。

(別紙)

里親委託措置指針

1 所長は、児童の委託に当たって、次の点に留意し、当該児童に最もふさわしい里親の選定に努めなければならない。

(1) 委託しようとする児童の性別、年齢その他児童を取り巻く環境について、事前に確認し、里親と児童との調整を行った上で、当該児童の養育を適切に養育できると認められる里親に委託すること。

(2) 共働きの家庭又は就労中のひとり親家庭等を選択する場合は、特に面会、宿泊等による児童との交流が十分可能であること及び当該児童の生活時間に十分対応できる「養育時間」を確保できることを確認すること。

(3) 児童がこれまで育んできた人間関係や育った環境などの連続性を大切にし、可能な限り、その連続性を保障できる里親を選定すること。

(4) 乳児の委託は、その健康状態を十分に勘案の上行うこと。

(5) 虚弱な児童、身体障害の児童、知的障害の児童、被虐待の児童等については、知識、経験を有し、適切に養育できると認められる里親を選定すること。

(6) 里親希望者が児童の扶養義務者及びその配偶者である親族の場合には、親族里親として、扶養義務のない親族の場合には養育家庭(親族)として、当該里親希望者に対して委託すること。

(7) 区長は、児童が兄弟姉妹である等必要と認められる場合には、同時の措置によって、1の里親に対して、2人以上の児童を委託することができること。

(8) 現に児童を委託している里親に、更に他の児童を委託する場合には、現に里親が養育している児童を委託した児童相談所の児童福祉司等の意見を聴いて、児童を委託すること。

(9) 将来的に健全な家庭生活を体験しがたいと思われる児童については、長期委託のほか短期等有期の方法による委託も考慮すること。

2 児童の援助方針の策定あるいは見直しの際には、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援することを最優先とした上で、家庭における養育が困難又は不適当である場合には、原則として里親委託を検討する。里親委託の検討は、児童にとって最善の利益を図る観点から行う。

なお、父母による監護が著しく困難又は不適当で、他に養育できる親族等がいない児童については、恒久的な養育環境を保証する観点から、養子縁組制度の活用を検討する。

3 里親委託に当たっては、児童の年齢や発達状況を考慮しながら、児童の意向を確認する。

4 2の規定にかかわらず、日常生活若しくは社会生活が著しく困難になる持病や行動があり、心身ないし情緒の障害に対し、特に専門的な対応又は治療が必要な児童については、委託を見合わせることが望ましい。

また、養育家庭委託については、実親等の状況(里親への攻撃や児童の連れ戻しのリスクがあるなど)から、里親委託が困難な児童についても同様とする。

荒川区里親制度実施要綱

令和2年6月30日 種別なし

(令和2年7月1日施行)