○荒川区環境基本条例

平成20年12月17日

条例第22号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境基本計画の策定等(第7条・第8条)

第3章 環境の保全に関する施策(第9条―第19条)

第4章 荒川区環境審議会(第20条)

第5章 雑則(第21条)

附則

近年、社会経済活動や一人一人の生活行動がもたらす環境への影響により、地球温暖化が進行し、異常気象、生態系の変化、海面の上昇など、身近なことから地球規模のことに至るまで様々な問題が起きており、今、私たちは、2015年9月25日の国際連合総会において採択された持続可能な開発目標が掲げる、気候変動への具体的な対策を求められている。

加えて、プラスチック廃棄物による海洋の汚染や各種製品の原材料となる資源の枯渇は世界的な問題となっており、私たちは、今一度生活全般を見直し、循環型社会の実現に向けた取組を更に推進する必要がある。

私たちのふるさと荒川区は、諏訪台や道灌山、隅田川の恵みを受け、たくみの技が息づくものづくりのまちとして、伝統と文化に育まれながら発展し、清潔で心豊かな地域社会を築いてきた。

先人から受け継いだ私たちのふるさと荒川区、そして地球は、私たちが未来の区民、未来の人類と共有していく財産である。

このため、私たちは、環境先進都市の実現を区民、事業者及び区の共通の目標として掲げ、私たちが愛する荒川区、さらには、かけがえのない地球の環境を、より良いものとして未来に引き継ぐことを目的として、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全について基本理念を定め、区民、事業者及び区の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本的な事項を定めることにより、その施策を総合的、計画的かつ効果的に推進し、もって現在及び将来の区民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要とする良好な環境を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境の保全 良好な環境を維持し、回復し、及び創造することをいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(3) 事業者 区の区域内において事業活動を行う全てのものをいう。

(4) 地球温暖化 人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表、大気及び海水の温度が追加的に上昇する現象をいう。

(5) 温室効果ガス 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号。以下「法」という。)第2条第3項に規定する温室効果ガスをいう。

(6) 温室効果ガスの排出 法第2条第4項に規定する温室効果ガスの排出をいう。

(7) 脱炭素社会 法第2条の2に規定する脱炭素社会をいう。

(8) 循環型社会 循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)第2条第1項に規定する循環型社会をいう。

(一部改正〔令和3年条例26号〕)

(基本理念)

第3条 環境の保全は、区民が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保し、これを将来の世代へ継承していくことを目的として行われなければならない。

2 環境の保全は、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な都市を構築することを目的として、全ての者の積極的な取組によって行われなければならない。

3 環境の保全は、全ての事業活動及び日常生活において推進されなければならない。

4 環境の保全は、区民、事業者及び区が、互いに協働し、及び配慮し合うことにより推進されなければならない。

(一部改正〔令和3年条例26号〕)

(区の責務)

第4条 区は、環境の保全を図るため、次に掲げる事項について、基本的かつ総合的な施策を策定し、効果的に実施する責務を有する。

(1) 公害の防止に関すること。

(2) 資源の循環的な利用等に関すること。

(3) 大気、水、土壌、動植物等からなる自然環境の保全等に関すること。

(4) 地球温暖化の防止及びヒートアイランド対策に関すること。

(5) まちの環境美化、良好な都市環境の保全等に関すること。

(6) 前各号に掲げるもののほか、環境への負荷の低減に関すること。

2 区は、区民、事業者その他関係機関と協働して、前項の施策を推進するものとする。

(区民の責務)

第5条 区民は、日常生活において環境への負荷の低減を図る等自ら環境の保全に積極的に取り組む責務を有する。

2 区民は、区が実施する環境の保全に関する施策に協力するとともに、事業者及び区と協働して環境の保全に取り組む責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、環境への負荷の低減を図るために必要な措置を講ずる等自ら環境の保全に積極的に取り組む責務を有する。

2 事業者は、その事業活動に関し、環境の保全に関する情報の提供に努めるものとする。

3 事業者は、区が実施する環境の保全に関する施策に協力するとともに、区民及び区と協働して環境の保全に取り組む責務を有する。

第2章 環境基本計画の策定等

(環境基本計画)

第7条 区長は、区の環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。

2 環境基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 環境の保全に関する目標

(2) 環境の保全に関する施策の体系

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全に関する重要な事項

3 区長は、環境基本計画の策定に当たっては、あらかじめ第20条第1項の荒川区環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 区長は、環境基本計画の策定に当たっては、区民及び事業者(以下「区民等」という。)の意見が反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。

5 区長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第8条 区は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るものとする。

第3章 環境の保全に関する施策

(持続可能な脱炭素社会及び循環型社会の実現)

第9条 区は、持続可能な脱炭素社会の実現を目指し、温室効果ガスの排出の量の削減、再生可能エネルギーその他の環境に配慮したエネルギーの活用等が促進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。

2 区は、循環型社会の実現を目指し、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。

(一部改正〔令和3年条例26号〕)

(交通に関する環境配慮)

第10条 区は、環境への負荷を低減させるため、環境に配慮した交通環境の整備に努めるものとする。

(区民等の意見の反映)

第11条 区は、環境の保全に関する施策に、区民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

(環境情報の提供)

第12条 区は、環境の保全に資する情報を積極的に区民等に提供するよう努めるものとする。

(環境学習の推進)

第13条 区は、区民等が環境の保全について理解を深めるとともに、区民等による環境の保全に関する自発的な活動が促進されるよう、環境の保全に関する学習の推進を図るものとする。

(区民等の参加及びコミュニティの育成)

第14条 区は、環境の保全に関する施策への区民等の参加及び当該参加者間の連携を促進することにより、環境の保全のために活動する区民等を構成員としたコミュニティの育成に努めるものとする。

(区民等への支援)

第15条 区は、区民等が行う環境の保全に関する活動に対し、必要な支援を行うことができるものとする。

(施設整備に関する環境配慮)

第16条 区は、公共施設の整備に当たっては、環境の保全に資する必要な措置を講ずるものとする。

(調査及び研究の充実)

第17条 区は、環境の保全に関する施策を科学的知見に基づき実施するため、環境の保全に関する情報の収集及び分析並びに他の研究機関との交流及び連携を行うことにより、必要な調査及び研究の充実に努めるものとする。

(環境報告書)

第18条 区長は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進に資するため、区の環境の状況、環境の保全に関する施策の実施状況等を明らかにした環境報告書を作成し、公表するものとする。

(国及び東京都等との協力)

第19条 区は、環境の保全を図るために広域的な取組を必要とする施策について、国及び東京都その他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

第4章 荒川区環境審議会

第20条 区の環境の保全に関し、基本的事項を調査審議するため、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、区長の附属機関として、荒川区環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、区長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する重要な事項

3 審議会は、環境の保全に関する重要な事項について、区長に意見を述べることができる。

4 審議会は、環境の保全について学識経験を有する者、区議会議員、区民、事業者等のうちから、区長が委嘱し、又は任命する委員16人以内をもって組織する。

5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 前2項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、荒川区規則(以下「規則」という。)で定める。

第5章 雑則

(委任)

第21条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

1 この条例は、平成21年1月1日から施行する。

2 この条例の施行の際、現に存する荒川区環境基本計画は、第7条第1項の規定により策定された環境基本計画とみなす。

(次のよう略)

(令和3年10月25日条例第26号)

この条例は、公布の日から施行する。

荒川区環境基本条例

平成20年12月17日 条例第22号

(令和3年10月25日施行)