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更新日:2025年3月27日
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この作品は令和6年度東京藝術大学卒業・修了制作作品で第19回荒川区長賞を受賞した作品です。制作者は久保歩美氏です。
制作者の作品説明
この度の作品制作にあたり、「人との関わり合いの中で生まれた心の実り」をテーマに、10組11名の方にインタビューを行い、それぞれのエピソードを果実の形として想像しながら制作を進めました。お寄せいただいたエピソードは多岐にわたり、厳しい環境の中で育った果実のように困難を乗り越えて実った心の実りや、愛情に包まれて大切に育まれた心の実りなど、様々な姿を垣間見ることができました。人々が果実を食して体を作るように、それぞれの心に実った果実が人生の糧となっていることに、私は神秘的な美しさを感じました。
造形には金属と立体七宝を融合し、伝統的な彫金技法を基に制作しました。彫金は手作業の積み重ねによって形を作るため、感情の蓄積を表現するのに適した技法だと感じています。さらに、有線七宝や描画七宝を用い、多層的な模様を描くことで、繊細で複雑な表情を追求しました。手間と時間を要する技法ですが、より豊かな表現ができたと思います。
1作品目
危ない道。見通しの悪い道。
行くのが億劫な所は、そもそも行く計画すらしない。
そんな一人だったら行かない所を二人だったら進んでいける。
K.K.さん 43歳
2作品目
ある歌詞や詩に励まされている若者たちの声を聞いたとき。その歌詞や詩があるから困難を乗り越えて今にたどり着いた救われる人、救っている人。人と人の影響を知った時に、感動が大きく、豊かな心になれる気がします。その才能を世に出してくれて、たくさんの人の心を支えたり、救ってくれてありがとう。その子を育ててくれた親達にありがとう。
この人が世に出て来れるチャンスがあったことにありがとう。その歌詞や詩を自分と重ねて咀嚼して、前向きになったり踏ん張って生きてくれた君、ありがとう。どちらも知らない人であっても、ありがとうという気持ちで、胸が熱くなります。
M.Y.さん 51歳
3作品目
私は3人兄弟なのですが、父の方針で3人とも幼稚園入園前から水泳を習っていました。
「多くの習い事の中でなぜ水泳だったの?」と聞いたことがありました。ある海難事故で泳げる子供だけが助かったことがあり、父は自分の子供には、自ら命を守れること、その一つとして水泳を習わせようと思ったと話してくれました。年頃になって、失恋したときには「自分の実力以上には幸せになれないよ」と。父はわかっていたんです。ちょっと条件の良い人だったので、わたしがそれに乗って生きていこうとおもっていたことを。その言葉で少し生き方が変わりました。父は、常に鼓舞するわけでなく、「やらなきゃ、やらないだけの人」と節目に声をかけてくれた。それが自分の芯のかたちをつくっている父は4年前に他界したけれど、寂しくないとそうとおもうのは心の中で生きているから。
Y.U.さん 59歳
4作品目
私は1〜2才時分に祖母宅で育った時期がある。私の子どもが生まれたばかりの頃、深夜に授乳する際に、寝かしつけのためによく子守唄を歌っていた。ある日、祖母が歌っていた記憶のある子守唄を、うろ覚えながら歌っていたら、突然、祖母が添え乳しながら添い寝してくれているビジュアルや祖母の匂いがありありと蘇ってきた。その記憶は全くなかったのに、深夜に暗い寝室で子どもを抱いて子守唄を歌う状況がトリガーになったのか、あまりに鮮明な記憶として蘇ってびっくりした。赤ちゃんの頃の記憶は忘れてしまうと言われるが、脳の何処かに記憶はそっと仕舞われているのかもしれない。私が覚えていなかった、乳幼児期に祖母が注いでくれた愛を感じられたことが嬉しく、またその愛は私から子どもへ巡っていくのだなと、時空を超えた繋がりを感じた。私の子どもも、赤ちゃん時分のことはすっかり忘れてしまっても、いつか我が子を胸に抱いた時に、ある日突然、記憶が蘇るのかもしれない。
H.K.さん 46歳
所在地 |
荒川2-50-1 ゆいの森あらかわ(3階) |
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制作者 |
久保歩美 |
彫刻材料 |
銅、真鍮、銀、金、七宝釉薬 |
サイズ(mm) |
H170xW200xD119、他3点 |
お問い合わせ
地域文化スポーツ部文化交流推進課
〒116-8501荒川区荒川二丁目2番3号
電話番号:03-3802-3111(代表)
ファクス:03-3802-4769
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