○荒川区豊かな心を育む読書のまちづくり条例

令和5年3月22日

条例第4号

我がまち荒川区は、温かみのある下町らしい文化を受け継ぎ、古くからの歴史及び伝統を随所に残しつつ、新しさを幾重にも織り込んだ文化を形成し、発展してきた。

そうした中で、先人の知恵を学び、発展させ、次世代へ継承していくため、絵本の普及啓発、あらゆる世代を対象とした蔵書の充実、中央図書館の開館、学校図書館の整備等、様々な取組を展開してきた。その後、こうした取組及び精神を未来につなげていくために、「読書を愛するまち・あらかわ」宣言を行った。

この「読書を愛するまち・あらかわ」宣言を踏まえ、誰もが読書を楽しむとともに多世代が交流することができる図書館づくり、本に親しむきっかけとなる事業の充実等、読書活動に関する取組を進め、これにより、読書の意義及び重要性について、区民等の関心及び理解が着実に深まりつつある。

荒川区は、今後、これらの取組について更に発展及び充実をさせ、「読書を愛するまち・あらかわ」宣言の理念をより一層深めるとともに、区民等及び事業者の読書活動に関する取組を促進し、地域が一体となって、あらゆる世代の区民等が生涯にわたり豊かな心を育む読書のまちづくりを推進していくため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、読書活動について基本理念を定め、区の責務並びに区民等及び事業者の役割を明らかにするとともに、読書活動に関する取組の基本的な事項を定めることにより、あらゆる世代の区民等が生涯にわたり豊かな心を育む読書のまちづくりを推進し、幸福を実感することができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 区民等 区の区域内(以下「区内」という。)に住所を有する者、区内の事務所若しくは事業所に勤務する者又は幼稚園、保育所等若しくは学校等に在籍する者をいう。

(2) 事業者 区内において事業活動を行う全てのものをいう。

(3) 幼稚園、保育所等 区内の幼稚園(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する幼稚園をいう。以下同じ。)、保育所(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所をいう。)その他これらに類する施設等をいう。

(4) 学校等 区内の学校(学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園を除く。)をいう。)、専修学校(同法第124条に規定する専修学校をいう。)、各種学校(同法第134条第1項に規定する各種学校をいう。)その他これらに類する施設をいう。

(5) 読書活動 読書、読書の支援その他読書に関するあらゆる活動をいう。

(基本理念)

第3条 読書活動は、読書が豊かな心を育むとともに、知識、教養、コミュニケーションの能力等を高め、人生を充実させる上で大切な役割を担うものであることに鑑み、地域が一体となって、誰もが読書に親しみ、学び、心豊かに暮らすことのできるまちを目指し、読書活動を推進するものとする。

(区の責務)

第4条 区は、前条に定める基本理念にのっとり、区民等が様々な機会において身近な場所で読書に親しむことができる環境の整備その他の区民等及び事業者の読書活動に資する施策を実施するものとする。

2 区は、前項の施策の実施に当たっては、区民等及び事業者と連携するとともに、区民等及び事業者の相互の連携を促進するものとする。

(区民等の役割)

第5条 区民等は、日常生活において読書に親しみ、生涯にわたり学び続けるとともに、読書活動への参加及び協力を通じて相互に交流するよう努めるものとする。

2 区民等は、家庭において、本との出会いを大切にし、読書に親しみ、読書活動を通じて家族との一層のコミュニケーションを図り、読書の楽しさを共有するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、その従業者、その事業の利用者等が日常生活において読書に親しみ、生涯にわたり学び続けるとともに、読書活動への参加及び協力を通じて相互に交流することができるよう、その事業の特性に応じて、その従業者、その事業の利用者等の読書活動の質の向上及び読書に親しむことができる環境の充実に努めるものとする。

2 事業者は、区民等、他の事業者及び区と連携し、地域が一体となって読書活動に関する取組を推進することができるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(幼稚園、保育所等における取組)

第7条 幼稚園、保育所等の運営等をする者は、その運営等に係る幼稚園、保育所等において、子どもの個性及び発達段階に応じ、絵本の読み聞かせ等を通じて子どもが本に親しむきっかけを作り、子どもの想像力及び感性が豊かになるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 幼稚園、保育所等の運営等をする者は、その運営等に係る幼稚園、保育所等において、保護者等に対し、絵本の読み聞かせ等を通じた家庭における家族とのコミュニケーションの大切さ等について周知するよう努めるものとする。

(学校等における取組)

第8条 学校等の運営等をする者は、その運営等に係る学校等において、児童、生徒、学生等(以下「児童等」という。)の個性及び発達段階に応じ、児童等が日常生活及びその授業等の中で読書活動に取り組むきっかけを作り、児童等が読書活動に取り組む意欲を高めることができるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 学校等の運営等をする者は、その運営等に係る学校等の教育活動において、児童等が主体的な読書活動を行い、豊かな心を育み、知識、教養、コミュニケーションの能力等を高め、生きる力及び人生を切りひらいていく力を身に付けることができるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(荒川区立図書館等における取組)

第9条 区は、荒川区立図書館(荒川区立図書館条例(昭和25年荒川区条例第17号)第1条に規定する荒川区立図書館をいう。以下同じ。)において、区民等が生涯にわたり読書活動に取り組むきっかけを作り、その読書活動の課題の解決を支援するため、図書その他の必要な資料の収集、読書に関わる人材の育成等を行うとともに、文化活動の拠点として、荒川区立図書館におけるサービスの充実を図り、多様な事業の展開に取り組むものとする。

2 事業者及び区は、地域において相互に連携し、荒川区立図書館その他の施設におけるそれぞれの読書活動に関する取組の質の向上及び読書に親しむことができる環境の充実に努めるものとする。

(障害等を有する区民等への支援)

第10条 区は、視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害等の有無にかかわらず、全ての区民等が日常生活において等しく読書に親しむことができるよう、必要な支援を行うものとする。

(読書活動推進月間)

第11条 区民等の間に広く読書活動についての関心及び理解を深めるとともに、区民等が積極的に読書活動に取り組む意欲を高めるため、読書活動推進月間を設ける。

2 読書活動推進月間は、11月とする。

3 区は、読書活動推進月間において、その趣旨にふさわしい事業を実施するものとする。

(委任)

第12条 この条例の施行について必要な事項は、荒川区教育委員会が別に定める。

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

荒川区豊かな心を育む読書のまちづくり条例

令和5年3月22日 条例第4号

(令和5年4月1日施行)