○荒川区子どもの権利条例

令和5年3月2日

条例第1号

子どもは、生まれた時から一人の人間として大切にされ、未来への大きな可能性をもつ、かけがえのない存在である。

子どもは、あらゆる場面において尊重され、権利の主体として誰もが等しく、命が守られ、医療や教育、生活への支援等を受け、持って生まれた能力を十分に伸ばして育つことができ、暴力や虐待、搾取や有害な労働等から守られ、自由に意見を表現し、仲間を作ることができる権利を持っている。

荒川区には「下町」の深い絆で結ばれた地域力がある。あらかわ遊園やゆいの森あらかわなど、区民に親しまれている施設がある。

子どもを守り健やかにはぐくむ荒川区として、これからも将来にわたり、私たち大人が協力し合って、様々な問題を解決し、子どもとともに明るい未来を創っていかなければならない。

子どもの夢や希望をはぐくみ、笑顔に満ちあふれた荒川区の実現を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、子どもの権利を保障し、保護者、区民、育ち学ぶ施設の関係者及び区の役割を定めることにより、子どもの夢や希望をはぐくみ、笑顔に満ちあふれた荒川区の実現を目指し、荒川区全体で子どもの健やかな成長を支えていくことを目的とする。

(言葉の意味)

第2条 この条例で使う言葉の意味は、それぞれ次のとおりとする。

(1) 「子ども」は、荒川区に住んだり、荒川区で学んだり、遊んだり、働いたりする18歳未満の者をいう。ただし、これらの者と同じく、権利を認めることがふさわしい者も含むものとする。

(2) 「保護者」は、親、親に代わって養育をする里親、児童養護施設の施設長等のことをいう。

(3) 「区民」は、荒川区に住んだり、荒川区で学んだり、働いたりする等、荒川区内で生活し、又は活動する者、団体及び事業者のことをいう。

(4) 「育ち学ぶ施設」は、保育所、幼稚園、学校等の、子どもが育ち、遊び、学んだり、活動したりするために利用する施設のことをいう。

(基本理念)

第3条 子どもの権利の保障は、次に定める考え方を基本理念とする。

(1) 子どもの最善の利益を優先して考えること。

(2) 全ての子どもが、差別や偏見を受けず、権利の主体として尊重されること。

(3) 子どもの成長と発達に配慮した支援が行われること。

(4) 子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、大人はその意見を発達に応じて十分に考慮すること。

(子どもの権利)

第4条 子どもは、児童の権利に関する条約の考えに基づき、あらゆる場面で、特に次に定める権利が大切に守られるものとする。

(1) 健康に生き、適切な医療が受けられ、命が守られること。

(2) 適切な保育と教育、生活への支援等を受け、持って生まれた能力を十分に伸ばして育つことができること。

(3) 暴力、虐待並びに搾取及び有害な労働等から守られること。

(4) 自由に意見を表現し、仲間を作ることができること。

2 子どもは、自分の権利が大切にされるのと同じように、自分以外の者の権利を大切にするものとする。

(保護者の役割)

第5条 保護者は、子育てについて責任を持つものとして、必要な支援を受けながら、子どもの権利を守り、子どもが健やかに育つように努めるものとする。

(区民の役割)

第6条 区民は、地域全体で子どもを育てていくことを理解し、子どもの健やかな育ちのために協力し、子どもの権利が守られるように努めるものとする。

2 区民は、地域で子どもを見守り、必要な支援を受けながら、子どもが安全に安心して過ごすことができるまちづくりに努めるものとする。

(育ち学ぶ施設の役割)

第7条 育ち学ぶ施設の関係者は、育ち学ぶ施設が子どもの健やかな成長のために重要な役割を持っていることを理解し、子どもが自分で考え、遊び、学び、活動することができるよう支援を行い、必要な支援を受けながら、子どもの権利が大切に守られるように努めるものとする。

2 育ち学ぶ施設の関係者は、虐待、貧困、いじめ等を早期に発見し、区その他関係機関と協力して対応するものとする。

3 育ち学ぶ施設の関係者は、保護者及び区民に対して、育ち学ぶ施設の運営等に関する情報の提供を行い、相互に協力しながら施設を運営するように努めるものとする。

(区の役割)

第8条 区は、様々な取組により子どもの権利を保障し、子どもが安心して暮らすことのできるまちづくりを推進するものとする。

2 区は、子どもの権利について、子ども、保護者及び区民に理解してもらうように努めるものとする。

3 区は、育ち学ぶ施設、家庭、地域等で、子どもが権利について学び、自分と自分以外の者の権利を大切にしあうことができるよう必要な支援を行うものとする。

4 区は、全ての子どもの権利が保障されるよう、子ども、区民、育ち学ぶ施設及び関係機関等と協力して、子どもに関する取組を推進するものとし、そのための体制を整備するものとする。

5 区は、子どもに関する取組が推進されるよう、必要な財政上の措置を行うよう努めるものとする。

(子どもの意見等の表明および参加)

第9条 区民、育ち学ぶ施設及び区は、子どもの意見等の表明と参加をうながすため、子どもがその意味や方法について学び、必要な情報を得ることができるよう努めるものとする。

2 区は、子どもが自分の意見等を表明し、参加する機会を確保するために必要な制度を設けるよう努めるものとする。

(子どもの権利を守るための取組)

第10条 区は、子どもが権利を侵害され、又は不利益を受けた場合には、適切かつ速やかに子どもを助けるため、子どもの権利を守るための体制づくりその他の必要な取組を行うこととする。

(委任)

第11条 この条例に定めるもののほか必要なことは、区長が別に定めるものとする。

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

荒川区子どもの権利条例

令和5年3月2日 条例第1号

(令和5年4月1日施行)