○荒川区特定教育・保育施設等指導監査実施要綱

令和2年7月1日

制定

(2荒子子第917号)

(副区長決定)

(趣旨)

第1条 この要綱は、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号。以下「法」という。)第14条、第38条及び第50条の規定に基づき実施する、法第27条第1項に規定する特定教育・保育施設及び法第29条第1項に規定する特定地域型保育事業者(以下「特定教育・保育施設等」という。)に対して行う指導及び監査について、基本的事項を定める。

(指導及び監査の目的)

第2条 指導は、特定教育・保育施設等に対し、法第33条及び法第45条に定める特定教育・保育施設等の設置者・事業者(以下「設置者等」という。)の責務、「荒川区特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準等に関する条例」(平成26年荒川区条例第21号。以下「確認基準」という。)、「特定教育・保育、特別利用者保育、特別利用教育、特定地域型保育、特別利用地域型保育、特定利用地域型保育及び特例保育に要する費用の額の算定に関する基準等」(平成27年内閣府告示第49号)及び「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」(府政共生第350号・26文科初第1464号・雇児発0331第9号平成27年3月31日付け内閣府政策統括官(共生社会政策担当)・文部科学省初等中等教育局長・厚生労働省雇用均等・児童家庭局長連名通知)(以下「確認基準等」という。)に定める特定教育・保育、特別利用保育、特別利用教育、特定地域型保育、特別利用地域型保育、特定利用地域型保育及び特例保育(以下「特定教育・保育等」という。)の提供及び施設・事業所の運営に関する基準並びに施設型給付費、特例施設型給付費、地域型保育給付費及び特例地域型保育給付費等(以下「施設型給付費等」という。)の請求等に関する事項について周知徹底させるとともに過誤・不正の防止を図るために実施する。

2 監査は、特定教育・保育施設等について、法第39条、第40条、第51条及び第52条までに定める行政上の措置に相当する違反の疑いがあると認められる場合又は施設型給付費等の請求について不正若しくは著しい不当(以下「違反疑義等」という。)が疑われる場合並びに第5条(4)に基づき、監査に移行した場合において、事実関係を的確に把握し、公正かつ適切な措置を採ることを目的として実施する。

(指導及び監査の対象)

第3条 この要綱に基づく指導及び監査の対象は次に掲げる特定教育・保育施設等とする。

(1) 特定教育・保育施設

 幼保連携型認定こども園

 幼稚園型認定こども園

 保育所型認定こども園

 地方裁量型認定こども園

 幼稚園(新制度移行園)

 保育所

(2) 特定地域型保育事業者

 家庭的保育事業

 小規模保育事業

 事業所内保育事業

 居宅訪問型保育事業

(指導基準)

第4条 区は、確認基準、関係法令等を集約した基準を別に定め、その基準における評価区分は、別紙「評価区分」に沿って定める。

(指導について)

第5条

(1) 指導形態等

 集団指導

集団指導は、特定教育・保育施設等に対して、確認基準等の遵守に関して周知徹底等を図る必要があると認める場合に、その内容に応じ、特定教育・保育施設等の設置者等を一定の場所に集めて講習等の方法により行う。

 実地指導

実地指導は、特定教育・保育施設等に対して、質問等を行うとともに、必要と認める場合、確認基準等の遵守に関して、各種指導等を行う。

(2) 指導対象の選定基準

指導は第3条に定める全ての特定教育・保育施設等を対象とし、重点的かつ効率的に実施する観点から、指導形態に応じて、次の基準に基づいて対象の選定を行う。

 集団指導

(ア) 新たに確認を受けた特定教育・保育施設等については、概ね1年以内に全てを対象として実施する。

(イ) (ア)の集団指導を受けた特定教育・保育施設等については、その後の制度の改正、施設型給付費等の請求の実態、過去の指導事例等に基づき必要と考えられる内容が生じたときに、当該指導すべき内容に応じて、対象となる特定教育・保育施設等を選定して実施する。

 実地指導

(ア) 全ての特定教育・保育施設等を対象に定期的かつ計画的に実施する。実施頻度については、特定教育・保育施設等の確認基準等の遵守状況、集団指導の状況、区が行う認可等に関する事務の状況等を勘案して決定する。

(イ) その他特に実地による指導を要すると認める特定教育・保育設等を対象に随時実施する。

(ウ) の実施指導について、児童福祉法に基づく一般指導検査と同時に実地指導を行う場合は、原則として同検査の実施周期に合わせるものとする。

(3) 方法等

 集団指導

(ア) 指導通知

区は、指導対象となる特定教育・保育施設等を決定したときは、あらかじめ集団指導の日時、場所、予定される指導内容等を文書により当該特定教育・保育施設等の設置者等に通知する。

(イ) 指導方法

集団指導は、特定教育・保育等の提供及び施設の運営に関する基準、施設型給付費等の請求の方法、制度改正の内容及び過去の指導事例等について講習等の方式で行う。

なお、やむを得ない事情により集団指導に欠席した特定教育・保育施設等には、当日使用した必要書類を送付する等、必要な情報提供に努めるとともに、直近の機会に改めて集団指導の対象に選定する。

 実地指導

(ア) 指導通知

区は、指導対象となる特定教育・保育施設等を決定したときは、あらかじめ次に掲げる事項を文書により当該特定教育・保育施設等に通知する。ただし、必要と認める場合には、検査の開始時に文書を交付することによって行うことができる。

なお、日時については、施設側の教育・保育の計画的な実施に支障が生じないよう調整を行う。

a 実地指導の根拠規定及び目的

b 実地指導の日時及び場所

c 実地指導を行う区の担当者

d 準備すべき書類等

(イ) 指導方法

実地指導は、確認基準等の遵守状況を確認するために必要となる関係書類の閲覧、関係者との面談等により行う。

(ウ) 指導結果の通知等

実地指導の結果、改善を要すると認められた事項については、軽微なもの等を除き、後日、文書によって指導内容の通知を行うものとする。

(エ) 改善報告書の提出

区は、当該特定教育・保育施設等に対し、原則として、文書で指摘した事項に係る改善報告書の提出を求めるものとする。

(4) 監査への変更

実地指導中に以下に該当する状況を確認した場合は、直ちに監査を行うこととする。

 著しい確認基準違反が確認され、当該特定教育・保育施設等を利用する小学校就学前子どもの生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあると判断した場合

 施設型給付費等の請求に不正又は著しい不当が認められる場合

(監査について)

第6条

(1) 監査対象となる特定教育・保育施設等の選定基準

監査は、下記に示す情報を踏まえて、違反疑義等の確認について特に必要があると認める場合に行うものとする。

 要確認情報

(ア) 通報・苦情・相談等に基づく情報(具体的な違反疑義等が把握でき、又は違反が疑われる蓋然性がある場合に限る。)

(イ) 施設型給付費等の請求データ等の分析から特異傾向を示す事業者に係る情報

 実地指導において確認した情報

法第14条第1項の規定に基づき実地指導を行った特定教育・保育施設等について確認した違反疑義等に関する情報

 重大事故に関する情報

死亡事故等の重大事故の発生又は児童の生命・心身・財産への重大な被害が生じるおそれに関する情報

なお、死亡事故等の重大事故が発生した場合又は児童の生命・心身・財産に重大な被害が生じるおそれが認められる場合等、実施する指導検査の目的に照らして、必要に応じて指導検査の開始時に文書を提示するなどの方法により行うことができる。

 意図的な隠ぺい等の悪質な不正が疑われる情報

(2) 監査方法等

 報告等

区長は、違反疑義等の確認について必要があると認めるときは、法第38条及び第50条に基づき、特定教育・保育施設等に対し、報告若しくは帳簿書類その他の物件の提出若しくは提示を命じ、出頭を求め、又は関係者に対して質問し、若しくは特定教育・保育施設等その他特定教育・保育施設等の運営に関係のある場所に立ち入り、その設備若しくは帳簿書類その他の物件の検査を行うものとする。

 監査結果の通知等

監査の結果、法に定める行政上の措置に至らない軽微な改善を要すると認められた事項については、当該特定教育・保育施設等に対して、後日、文書によって指導内容の通知を行うとともに、原則として、文書で指導した事項に係る改善報告書の提出を求めるものとする。

 行政上の措置等

違反疑義等が認められた場合には、次のとおり、法第39条及び第51条(勧告、命令等)、法第40条及び第52条(確認の取消し等)の規定に基づき行政上の措置等を機動的に行うものとする。

(ア) 勧告

特定教育・保育施設等の設置者等に法第39条第1項及び第51条第1項に定める確認基準等の違反等が認められた場合、当該特定教育・保育施設等の設置者等に対し、期限を定めて、文書により基準の遵守等を行うべきことを勧告することができる。当該特定・保育施設等の設置者等は、勧告を受けた場合は、期限内に文書により改善報告書を提出するものとする。

(イ) 命令

特定教育・保育施設等の設置者等が正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該特定教育・保育施設等の設置者等に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命令することができる。

命令をしたときは、その旨を公示しなければならない。

当該特定教育・保育施設等の設置者等は、命令を受けた場合は、期限内に文書により改善報告書を提出するものとする。

(ウ) 確認の取消し等

確認基準違反等の内容が、第40条第1項各号及び第52条第1項各号のいずれかに該当する場合においては、当該特定教育・保育施設等に係る確認を取り消し、又は期間を定めてその確認の全部若しくは一部の効力を停止すること(以下「確認の取消し等」という。)ができる。

確認の取消し等をしたときは、これを公示しなければならない。

 聴聞・弁明の機会の付与

監査の結果、当該特定教育・保育施設等の設置者等に対して命令又は確認の取消し等の処分(以下「取消処分等」という。)を行おうとする場合は、監査後、取消処分等の予定者に対して、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項各号の規定に基づき聴聞又は弁明の機会の付与を行わなければならない(同条第2項各号のいずれかに該当する場合を除く。)

 不正利得の徴収

(ア) 勧告、命令又は確認の取消し等を行った場合において、当該取消し等の基礎となった事実が法第12条に定める偽りその他不正の手段により施設型給付費等を受けた場合に該当すると認めるときは、施設型給付費等の全部又は一部について、同条第1項の規定に基づく不正利得の徴収(返還金)として徴収を行う。

(イ) (ア)に加え、命令又は確認の取消し等を行った特定教育・保育施設等について不正利得の徴収として返還金の徴収を求める際には、原則として、法第12条第2項の規定により、当該特定教育・保育施設等に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に100分の40を乗じて得た額を支払わせるようにする。

(3) 関係機関への情報提供

 区は、監査の結果、事案の性質に応じ、同一法人が有する特定教育・保育施設等が所在する市区町村及び法人本部が所在する都道府県に適切に情報提供を行う。

 国及び東京都が所轄庁である社会福祉法人が運営する特定教育・保育施設等に対する監査の実施に当たっては、国及び東京都と必要な連携及び情報提供を行う。

(4) 死亡事故等の重大事故が発生した特定教育・保育施設等に係る留意点

区は、死亡事故等の重大事故が発生し、重大事故に係る検証が実施された場合には、検証結果を踏まえた再発防止策についての対応状況等を確認するとともに、検証結果を今後の指導監督に反映する。

この要綱は、令和2年7月1日から施行する。

【別紙 評価区分】

評価区分

指導形態

C

文書指摘

福祉関係法令及び福祉関係通達等に違反する場合(軽微な違反の場合は除く。)は、原則として「文書指摘」とする。ただし、改善中の場合、特別な事情により改善が遅延している場合等は、「口頭指導」とすることができる。

B

口頭指導

福祉関係法令及び福祉関係通達等以外の関係法令又はその他の通達等に違反する場合は、原則として「口頭指導」とする。ただし、管理運営上支障が大きいと認められる場合又は正当な理由なく改善を怠っている場合は、「文書指摘」とする。なお、福祉関係法令及び福祉関係通達等に違反する場合であっても、軽微な違反に限り、「口頭指導」とすることができる。

A

助言指導

法令及び通達等のいずれにも適合する場合は、水準向上のための「助言指導」を行う。

荒川区特定教育・保育施設等指導監査実施要綱

令和2年7月1日 種別なし

(令和2年7月1日施行)