○荒川区手話言語条例

平成30年7月17日

条例第25号

手話は、独自の文法に基づき、手、指、体等の動きや表情を使って視覚的に表現する言語である。ろう者にとっての手話は、第一の言語であり、コミュニケーションの手段であると同時に、アイデンティティであり、命である。

しかし、ろう者は、これまで手話が言語として認められず、手話を使用することができる環境が整えられてこなかったこと等により、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。

こうした状況の中で、手話は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法において言語として位置付けられ、手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備に取り組むことが求められている。

荒川区は、手話は言語であるとの認識の下に、手話に関する施策を推進し、全ての区民が相互に尊重し、心豊かな生活を営むことができる地域社会の実現を目指して、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話は言語であるとの認識の下に、手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備について基本理念を定め、荒川区(以下「区」という。)、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、手話に関する施策を推進するための基本的な事項を定めることにより、全ての区民が相互に尊重し、心豊かな生活を営むことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備は、ろう者が安心して日常生活を営み、地域において社会参加をし、全ての区民が相互に尊重し、心豊かな生活を営むことができる地域社会の実現を目的として行われるものとする。

2 手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備は、手話は言語であるとの認識の下に、積極的に推進されるものとする。

(区の責務)

第3条 区は、手話に関する理解を促進し、手話を普及し、及び手話を使用しやすい環境を整備するために効果的な施策を講ずるものとする。

(区民の責務)

第4条 区民は、手話に関する理解を深めるよう努めるものとする。

2 区民は、区が実施する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供するとともに、働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

2 事業者は、区が実施する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(施策の策定等)

第6条 区は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する市町村障害者計画において、次に掲げる施策を策定し、これを総合的かつ計画的に実施するものとする。

(1) 手話に関する理解の促進及び手話の普及に関する施策

(2) 手話により情報を取得し、及び共有する機会の拡大に関する施策

(3) ろう者の社会参加の促進に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、区長が必要と認める施策

(災害が発生したときの支援)

第7条 区は、災害が発生したときは、ろう者に対し、手話により情報を取得し、及び共有するための支援を行うよう努めるものとする。

(委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、荒川区規則で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

荒川区手話言語条例

平成30年7月17日 条例第25号

(平成30年7月17日施行)