○荒川区立図書館資料収集要綱

平成19年3月14日

18荒教南図第538号

(教育長決定)

(目的)

第1条 この要綱は、荒川区立図書館館則(平成10年荒川区教育委員会規則第2号。以下「館則」という。)第2条3号の規定に基づく図書資料及び視聴覚資料の収集(以下「収集」という。)に関し、その基本的な方針を定め、荒川区立図書館(以下「区立図書館」という。)における適切な資料の収集と充実を図ることを目的とする。

(収集する資料の範囲)

第2条 区立図書館で収集する資料の範囲は、図書、逐次刊行物、地域資料、行政資料、視聴覚資料、障がい者サービス用資料、電子資料、文書類、パンフレットその他時代の要求に合った多様な形態の資料とする。

(基本方針)

第3条 公立図書館の役割は、国民の等しく教育を受ける権利を保障し、社会教育の機会及び環境を醸成するために、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、及び保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することにあり、これを踏まえ区立図書館は、公立図書館の役割を果たし、地域の事情及び区民の希望に沿い、図書館資料を収集して、区民に提供するため、次に掲げる方針を基本として、収集を行うものとする。

(1) 収集に当たっては、区民の区立図書館に対する期待と要求に沿って行うとともに、公共財としての資料価値を判断し、区民の潜在的な要求を堀り起こして知的好奇心を刺激し、新たな世界を発見するよう努める。

(2) 収集に当たっては、社会経済情勢、制度の改廃、新しい技術、新しいテーマ、最新の流行等時代の変化に留意し、常に新鮮で魅力ある資料を選択するよう努める。

(3) 収集は、合同選択会議等による協議を経て荒川区立中央図書館(以下「中央図書館」という。)の館長(以下「中央図書館長」という。)が決定する。

(4) 収集に当たっては、あらゆる分野にわたって、生活実用目的から入門的、基本的なものから区民の調査研究に必要な専門的なものまで幅広くより多く収集し、区立図書館各館が全体で一つのシステムとして区全体の資料構成を図る。

(5) 荒川区の歴史や地域に関する資料は、網羅的に収集する。

(6) 区立図書館は、図書館の自由に基づき、資料収集の自由を有する。

 多様な対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を公平に幅広く収集する。

 著者の思想的、宗教的又は党派的な立場にとらわれて、その著作を排除することはしない。

 区立図書館職員の個人的な関心又は個人の好みによる資料選択は行わない。

 個人、組織又は団体からの圧力又は干渉によって資料収集の自由を放棄したり又は紛糾を恐れて自己規制したりはしない。

(7) 次に掲げる内容の資料は収集しない。ただし、保存や専門機関の活用、協力借受等を含む提供について慎重に対処する。

 差別を助長するおそれのあるもの

 関係者の名誉、プライバシーその他の人権を侵害することが裁判により確定し又は客観的に明らかであるもの

 刑法(明治40年法律第45号)第175条に規定するわいせつ物に該当することが裁判により確定し、又は該当するか否かについて係争中のもの

 児童売春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノに該当することが裁判により確定し、又は該当するか否かについて係争中のもの

 東京都青少年の健全な育成に関する条例(昭和39年東京都条例第181号)第9条の指定図書類

 健康法や健康食品に関する資料のうち、健康増進法(平成14年法律第103号)第32条の2の誇大表示に該当し、又は薬事法(昭和35年法律第145号)の規定に違反することが裁判により確定し、又は客観的に明らかなもの

 著作者の公表権を侵害して作成され、これを公開することが著作者の意思に反するもの

 学習参考書、受験問題集、資格試験問題集、ゲームブック等長期間個人で占有されるもの

 その他中央図書館長が決定するもの

(8) 前号の規定は、寄贈資料の受入れに当たっても適用する。

2 区立図書館は、前項の方針を、時代の変化に合わせて不断に改訂するよう努めるとともに、区民に公開して、広く区民からの意見及び協力を得るよう努める。

(一般図書)

第4条 一般図書の収集に当たっては、社会経済情勢、制度の改廃、地域活性化の課題、新しい技術、新しいテーマ、最新の流行等時代の変化とニーズに留意し、区民の知的欲求と学習意欲に応えるため、常に新鮮で魅力ある資料を収集する。

2 一般図書は、あらゆる分野にわたって、その時期話題になった作品、各界受賞作品、生活実用目的から入門的、基本的なものから区民の調査研究に必要な専門的なものまで、幅広くより多く収集するとともに、区民にさまざまな分野の図書を提供するために、区立図書館の各館で一定分野を分担して収集し、収集するタイトル数を増やすよう努めるものとする。

(児童図書)

第5条 児童図書の収集に当たっては、子どもの豊かな成長を育み、興味や知識欲に対応し、読書の喜び及び調べものの楽しさを得られるよう、様々な図書の収集に努める。

(中・高生向けの図書)

第6条 中・高生向けもしくは10代向けの図書の収集に当たっては、大人への入口世代の悩み及び関心を考慮し、読書の喜び及び知識欲を得られるよう、様々な図書の収集に努める。

(参考図書)

第7条 区民の調査研究に必要な辞典、事典、年鑑、年表、目録、書誌、白書、法令等を幅広く収集する。

(地域資料及び行政資料)

第8条 区民の「荒川を知る」ための調査研究を援助するため、区及び区内の個人団体の発行した資料並びに区の歴史、文化、民俗、地理等に関する資料を網羅的に収集するとともに、東京都又は周辺区の発行した資料及び江戸東京に関する資料を幅広く収集する。

(新聞)

第9条 日々の情報を得るために、主要全国紙を中心に、英字新聞、ハングル新聞、経済紙などを幅広く収集する。

(雑誌)

第10条 雑誌からは、図書には掲載できない速報性と多様性のある情報が得られるため、実用生活分野から専門的分野に至るまで、雑誌を幅広くより多く収集する。

(視聴覚資料)

第11条 情報メディアの多様化に対応して、視聴覚資料をできるだけ幅広く収集する。

(1) CDについては、区立図書館の各館において様々なジャンルを幅広く収集する。

(2) DVDについては、中央図書館及び荒川区立南千住図書館(以下「南千住図書館」という。)において、教養、学習、実用等目的のため、紙メディアだけではその分野を知る上で十分な情報提供にはならず、映像表現の方が優れているものを中心に著作権処理を済ませているものに限定して収集する。

(3) ビデオテープについては、南千住図書館において、前号の規定に基づき収集する。

(4) 映画フィルムについては、南千住図書館において、教養、学習、実用及び児童向け作品を中心に収集する。

(障がい者サービス資料)

第12条 主に視覚に障がいのある利用者向けに、一般の墨字資料に代わり、点字本、録音図書、大活字本等を幅広く収集するとともに、必要に応じて障がい者サービス資料を区立図書館が自ら作成する。

(電子資料)

第13条 調査研究目的に、各種電子媒体による出版物、インターネット情報、データベース等を必要に応じて収集する。

(パンフレット等)

第14条 調査研究目的に、必要に応じて収集する。

(寄贈資料)

第15条 寄贈資料の受入れについては、前各条の規定を準用する。

(未所蔵資料へのリクエスト)

第16条 未所蔵資料のリクエストについては、この要綱の規定に沿う資料についてできる限り収集することとし、収集しない場合であっても、協力借受の活用、専門機関の紹介等によりできるだけの提供をおこなうよう努めるものとする。

2 前項の規定に係らず、次に掲げる内容の未所蔵資料へのリクエストについては、提供しないものとする。

(1) 第3条第7号に掲げるもの

(2) ポルノ、官能小説等

(3) ゲームブック

(4) ギャンブル本

(5) カルト本

(6) 新興宗教の教派出版物

(7) 授業で用いる翻訳本

(8) 視聴覚資料

(9) コミック

(10) その他区立図書館の資料として収集しないと判断するもの

(資料の更新、保存及び除籍)

第17条 区立図書館は、常に適正な資料構成を維持し、不断に除架や更新を行うことにより、魅力ある新鮮な資料に発展させるよう努める。

2 区立図書館は、将来の利用に備えるため、資料価値が高い資料、区内で最後の1冊の資料、品切れ、絶版等により入手不可能な資料、絵本等の複本、研究目的で開架扱いが相応しくないもの等の資料を保存庫で保存する。

3 新聞及び雑誌については、区間の相互協力保存の一環を荒川区としても担い、貴重な資料を共同保存する。

4 区立図書館は、荒川区立図書館資料取扱規程(昭和58年教委訓令甲第2号)第4条の規定に基づく除籍を不断に行うことにより、適正な資料構成に努めるものとする。

(その他)

第18条 この要綱に定めるもののほか、収集に関して必要な事項は、中央図書館長が別に定める。

この要綱は、平成19年3月15日から施行する。

荒川区立図書館資料収集要綱

平成19年3月14日 種別なし

(平成29年3月26日施行)