○荒川区近隣まちづくり推進制度要綱
平成14年7月25日
制定
(14荒都都発第20号)
(助役決定)
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 近隣まちづくり計画の作成(第7条―第11条)
第3章 近隣まちづくり協定の締結と計画の承認(第12条―第14条)
第4章 近隣まちづくり計画の実施(第15条―第17条)
第5章 近隣まちづくり計画を実現するための支援(第18条)
第6章 委任(第19条)
荒川区は、関東大震災や戦争を経た後、道路や公園といった都市基盤の整備が追いつかないままに市街化が急速に進んだ結果、広範囲に老朽化した木造家屋の密集市街地が広がり、地震災害に対して非常に脆弱になっている。
平成7年に発生した阪神・淡路大震災においては、老朽木造家屋の倒壊や火災により数多くの尊い生命が失われた。
大地震はいつ起きても不思議ではないが、現在のところ、これを避けることはできない。
しかし、住民及び行政がそれぞれの立場で知恵を出し合い、まちづくりを進めることにより、震災による被害を最小限にすることは可能である。
この要綱は、区、区民及び事業者が協調・協働して老朽木造家屋の建替えを促進することにより、安全で快適な住環境を創出し、誰もが安心して暮らすことができる「防災安心社会」を実現するための取組を定めたものである。
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、一敷地単位では建替えが困難な地域において、区民等が主体となった向う三軒両隣程度からの協調建替え計画の作成と当該計画に基づく建築物の建替えの促進を図るために必要な事項を定めることにより、区、区民及び事業者の協働による木造密集市街地の改善を図り、もって防災安心社会の実現を図ることを目的とする。
(1) 区民等 区内に住所を有する者及び区内に存する土地又は建築物に関して権利を有する者をいう。
(2) 土地所有者等 区内に存する土地に関して権利を有する者をいう。
(3) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(4) 協調建替え 土地所有者等が、近隣まちづくり計画に基づいて各戸の敷地で行う建替えのことをいう。
(5) 近隣区域 不接道敷地(法及び関連規定による接道要件を満たさない敷地をいう。)を含む複数の敷地が連担する一定の区域をいう。
(6) 近隣まちづくり計画 近隣区域内の土地所有者等の主体的な発意と合意形成への取組みに基づく建替計画をいう。
(7) 事業者 近隣まちづくり計画に関わる事業者で設計業、建設業及び宅地建物取引業を営むものをいう。
(8) 周辺関係者 近隣まちづくり計画を作成する近隣区域の境界線から、近隣区域内に計画する建築物の高さの2倍の水平距離の範囲内に居住する者又は当該範囲内の土地若しくは建築物に関して権利を有する者
(9) 建築主等 建築主又は建築物の設計者、工事施工者若しくは工事管理者をいう。
(適用範囲)
第3条 この要綱の適用範囲は、区内にある近隣区域を対象とする。
(区の責務)
第4条 区は、区民等が木造密集市街地における建築物の建替促進(以下「建替促進」という。)を積極的に取り組むために必要な啓発活動及び情報提供を行い、並びに建替促進に関する区民等の相談に応じるとともに、近隣まちづくり計画の作成に必要な助言、指導及び支援に努めるものとする。
(区民等の責務)
第5条 区民等は、安心して住み続けられるまちを実現するための主体者であることを認識し、近隣まちづくり計画の作成及びこれに基づく建替促進を図るために、お互いに協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、社会的な責任を自覚し、区及び区民等が建替促進を積極的に取り組むために必要な情報の提供、技術的な支援等を行うように努めなければならない。
第2章 近隣まちづくり計画の作成
(近隣まちづくり計画の作成)
第7条 土地所有者等は、自らの発意及び主体的な合意形成への取組により、法第86条第2項及び第86条の2第1項の規定に基づき区長が別に定める認定基準を十分に満たした近隣まちづくり計画を作成することができる。
2 近隣まちづくり計画には、名称及び対象となる区域を定めるほか、当該区域における次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 建築物の整備の方針及び計画
(2) 道路及び通路の整備の方針及び計画
(3) 防災性を向上させるための方針
(4) 魅力ある居住環境を創出するための方針
(5) 周辺環境への配慮方針
(6) 前各号に掲げるもののほか、安全で快適な居住環境を創出するために必要な事項
(計画案の縦覧)
第10条 区長は、作成者から計画案の提出があったときは、その旨を公告するとともに、当該公告の日から起算して28日間、計画案を縦覧に供するものとする。
(周辺関係者への説明会等)
第11条 作成者は、前条の公告の日から起算して14日以内に、周辺関係者に対し、計画案の内容に関する説明会を開催するものとする。
2 作成者は、前項の説明会を開催しようとするときは、あらかじめ周辺関係者に対し、当該説明会の開催日時、場所その他説明会の開催に必要な事項を周知するものとする。
4 計画案に係る周辺関係者は、説明会の開催の日から起算して14日以内に、計画案について、区長に意見書を提出することができる。
第3章 近隣まちづくり協定の締結と計画の承認
(1) 近隣まちづくり計画で定める事項
(2) 対象区域における建築物及び道路、通路等の適正な維持管理に関する事項
(3) 前号の維持管理に係る管理者の選任及び維持管理状況の報告に関する事項
(4) 近隣まちづくり計画書の保管に関する事項
(5) その他区長が必要と認める事項
2 作成者は、前項の規定により近隣まちづくり協定を締結したときは、その写しを区長に提出するとともに、対象区域のすべての土地所有者等がこれを保有するものとする。
(近隣まちづくり計画の承認及び公告)
第13条 区長は、前条の規定により近隣まちづくり協定が締結されたことを確認の上、近隣まちづくり計画の承認をするものとする。
3 区長は、第1項の規定により近隣まちづくり計画を承認したときは、その旨を作成者に通知するとともに公告するものとする。
第4章 近隣まちづくり計画の実施
(承認計画の遵守等)
第15条 承認計画の対象となる区域(以下「承認計画区域」という)の土地所有者等及び建築主等は承認計画を遵守するとともに、承認計画区域内の土地及び建築物を、将来にわたり法及び承認計画に従って適正に維持管理するものとする。
(建築行為等の事前の届出及び勧告)
第16条 承認計画区域内において、次の各号のいずれかに該当する行為を行おうとする者は、あらかじめ、その内容を区長に届け出るものとする。ただし、軽易な行為等区長が特に認めるものについては、この限りでない。
(1) 建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は用途の変更
(2) 土地の区画形質の変更
(3) 道路及び通路の整備等の行為
(4) 前3号に掲げるもののほか、承認計画に影響を及ぼすおそれがあると区長が認める行為
2 区長は、前項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為(以下「届出行為」という。)が承認計画に適合しないと認めるときは、届出者に対し、届出行為の変更等を勧告することができる。
第5章 近隣まちづくり計画を実現するための支援
第18条 区長は、現行のまちづくり制度を活用し、補助制度を運用すること等により、土地所有者等による近隣まちづくり計画の作成及び実現の促進を支援するよう努めるものとする。
第6章 委任
第19条 この要綱の施行について必要な事項は、区長が別に定める。
附則
この要綱は、平成14年8月1日から施行する。
附則(平成15年9月24日一部改正)
1 この要綱は、平成15年10月1日から施行する。
2 この要綱の施行の日(以下「施行日」という。)前にこの要綱による改正前の荒川区近隣まちづくり推進制度要綱第3条の規定により同要綱の適用範囲とされた近隣区域については、施行日以後においても、この要綱による改正後の荒川区近隣まちづくり推進制度要綱第3条の規定にかかわらず、同要綱の適用範囲とする。
附則(平成19年3月30日一部改正)
この要綱は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成26年3月31日一部改正)
この要綱は、平成26年4月1日から施行する。