○荒川区職員等公益通報実施要綱

平成17年9月28日

制定

17荒総職第919号

(助役決定)

(目的)

第1条 この要綱は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号)に定めるもののほか、区職員等の法令違反等に関する公益通報について必要な事項を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、区政運営の公正の確保と透明性の向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱において使用する用語の意義は、次に掲げるところによる。

(1) 区職員等 次の各号のいずれかに該当する者をいい、これらの者であった者を含む。

 区職員

 区の出資する団体で区長が別に指定するものの役員又は職員

 区から事務事業を受託し、又は請け負った事業者の役員又は従業員

 区施設の指定管理者の役員又は従業員

(2) 区の事務事業等

次の各号のいずれかに該当する事業をいう。

 区の事務事業

 区が出資する団体の出資目的に係る事務事業

 区から事務事業を受託し、又は請け負った事業者における当該事務事業

 区施設の指定管理者における当該施設の管理運営

(3) 公益通報 区政の適正かつ公正な執行を期することを目的に、区職員等により行われる通報をいう。

(4) 通報者 区職員等で公益通報を行う者をいう。

(5) 公益通報相談員 公益通報を受け、通報に係る事案を調査する等、公益通報制度を適切に運用するため、この要綱に定める職務を行う者をいう。

(6) 通報対応責任者 総務企画部総務企画課長をいう。

(7) 公益通報相談窓口 総務企画部総務企画課をいい、通報対応責任者が指名する者が職務を行う。

(公益通報)

第3条 区職員等は、区の事務事業等に関し、次の各号のいずれかに該当する事実があると考えるときは、適宜の方法により、公益通報相談員又は公益通報相談窓口に公益通報をすることができる。

(1) 法令並びに条例、規則及び訓令に違反し、又は違反するおそれのある事実

(2) 人の生命、健康、財産若しくは生活環境を害し、又はこれらに重大な影響を与えるおそれのある事実

(3) 前各号のほか、区の事務事業等に関する不当な行為の事実

(通報者の責務)

第4条 通報者は、公益通報に当たっては、関係資料等により正確に事実を確認し、誠実に行うよう努めなければならない。

2 通報者は、他人に損害を与える目的その他不正な目的又は人事上の処遇、その他自らの私的利益を得る目的で公益通報をすることはできない。

3 公益通報に際しては、通報者は、原則として実名によるものとする。ただし、通報事実を具体的かつ客観的に指摘している場合その他公益通報相談員又は公益通報相談窓口がやむを得ないと認める場合は、匿名によることができる。

(不利益取扱いの禁止)

第5条 通報者は、正当な公益通報をしたことによって、いかなる不利益な取扱いも受けない。

2 公益通報相談員は、正当な公益通報により通報者が不利益な取扱いを受けたと認めるときは、区長に対し、当該取扱いをした者に原状回復その他の改善をさせるよう勧告することができる。

(区長の責務)

第6条 区長は、通報者が正当な公益通報をしたことによって、不利益な取扱いを受けたとき又は受けるおそれがあると認めるときは、その改善又は防止のために必要な措置を講ずるものとする。

2 区長は、前条第2項の勧告を受けたときは、その内容を尊重しなくてはならない。

3 区長は、通報者が公益通報に係る事実に関与した者であるときは、当該事実に基づき関係者の懲戒処分等を行う場合において、通報者の処分を軽減することができる。

4 区長は、公益通報に係る事実がないことが判明した場合に、当該公益通報により名誉を害された者があると認めるときは、その名誉を回復するため適切な措置を講ずるものとする。

(公益通報相談員)

第7条 区長は、弁護士資格を有し、公益通報制度の適切な実施にふさわしい者を公益通報相談員に委嘱する。

2 公益通報相談員は、その職務を行うに際して、荒川区不正防止委員会設置要綱(平成17年2月17日付け16荒総経第553号助役決定)に基づき設置された荒川区不正防止委員会(以下「不正防止委員会」という。)の意見を聴くことができる。

(公益通報の受付)

第8条 公益通報相談員又は公益通報相談窓口は、公益通報があったときは、その内容を聴取し、通報の趣旨の確認に努めるものとする。

2 公益通報相談窓口は公益通報の受付後、その内容を速やかに公益通報相談員に通知するものとする。

3 公益通報相談員又は公益通報相談窓口は、公益通報を受け付けたときは、次に掲げる事項について通報者に確認するものとする。

(1) 通報者の氏名、所属及び連絡先

(2) 被通報者の氏名及び所属

(3) 通報者と被通報者との関係

(4) 通報の内容となる具体的かつ客観的な事実及び関係する法令等

(5) 前号の事実を裏付ける資料等の有無及びその名称等

(6) その他必要と認められる事項

4 公益通報相談員又は公益通報相談窓口は、公益通報を受け付けたときは、次に掲げる事項を通報者に説明するものとする。ただし、通報者が説明を望まない場合はこの限りでない。

(1) 通報に関する秘密が保持されること。

(2) 通報者の氏名、所属、連絡先その他の個人が特定される情報が保護されること。

(3) 通報をしたことを理由として不利益な取扱いを受けないこと。

(4) 通報受付後の手続に関すること。

(5) その他必要と認められる事項

(受理の決定)

第9条 公益通報相談員は、受理又は不受理を決定し、決定結果を通報者に遅滞なく通知する。

2 公益通報相談員は、次のいずれかに該当する場合は、通報者に理由を説明の上、公益通報を受理しないことができる。

(1) 第4条第2項に掲げる目的であることが明らかなとき。

(2) 通報内容が具体性を伴わず、不分明なとき。

(3) 通報内容が虚偽であることが明らかなとき。

(4) 単なる風聞に基づく等、通報内容を肯認するに足りないとき。

(5) 第3条各号のいずれにも該当しないことが明らかなとき。

3 公益通報相談員は、公益通報を受理したときは、その概要(通報者の氏名及び所属を除く。)及び公益通報相談員の対応方針を区長及び不正防止委員会に通知するものとする。

(公益通報相談員の調査)

第10条 公益通報相談員は、受理を決定した公益通報について、調査の必要があると認めるときは、直ちに調査を開始するものとする。

2 公益通報相談員の調査に当たっては、区及び区職員等は、誠実に事情聴取に応じ、また、求められた必要な資料を提出するなど、誠意を持ってこれに協力しなければならない。

3 公益通報相談員は、調査の実施に当たり、通報者の秘密を守るため、通報者が特定されないよう十分配慮しなければならない。

4 公益通報相談員は、調査等が適正かつ円滑に行われるよう公益通報相談窓口の職員にその職務を補助させることができる。この場合においては、前項の規定を準用する。

5 公益通報相談員は、適正な調査の実施及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がある場合を除き、調査の進捗状況について、通報者に対し、適宜通知するものとする。

(特定の事件についての調査の制限と不正防止委員会の職務代行)

第11条 公益通報相談員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、調査することができない。

2 前項に該当する場合には、公益通報相談員は、その旨を通報者及び不正防止委員会委員長に説明し、以後当該事案の処理に関与しないものとする。この場合、以後の当該事案の処理に当たって公益通報相談員が行うべき事務は、不正防止委員会委員長が指定する同委員会委員が代行する。

3 前項後段の場合、第4条第3項第5条第2項第7条第2項第8条第9条前条次条及び第13条中「公益通報相談員」とあるのは、「不正防止委員会委員長が指定する委員」と読み替えて適用する。

4 第2項後段の規定により公益通報相談員の職務を代行する不正防止委員会委員長が指定する委員で、当該事案について第1項に規定する場合と同様の関係にある者は、その処理に関与できない。

(調査結果の通知等)

第12条 公益通報相談員は、調査の結果、当該公益通報に係る区の事務事業等に関し、第3条各号のいずれかに該当する事実が存在すると認めたときはその内容を、存在すると認められなかったときはその旨を、区長に通知するものとする。

2 公益通報相談員は、調査の結果、当該公益通報に係る区の事務事業等に関し、第3条各号のいずれかに該当する事実が存在すると認めるには至らない場合においても、当該区の事務事業等の執行について改善する必要があると認めるとき、又は区において更に調査を継続する必要があると認めるときは、理由を付して区長に通知するものとする。

3 前2項の場合において、通報者の氏名及び所属は、原則としてこれを通知しないものとする。

4 区長は、公益通報相談員から第3条各号のいずれかに該当する事実が存在するとの通知を受けたとき及び公益通報相談員から本条第2項に規定する事務事業等の改善又は調査の継続をする必要があるとの通知を受けたときは、内部調査委員会等を設置するなどして、更に調査を行うものとする。なお、調査に当たっては公益通報相談員の調査の経過及び結果を尊重するものとする。

5 区長は、前項に規定する調査の結果、必要と認めるときは告発するほか、再発防止のための必要な措置をとらなければならない。事案が他の機関に関するものであるときは、区長は当該機関にその旨を通知し、速やかに調査して必要な措置を講ずるよう求めるものとする。なお、区長は告発その他必要な措置を講ずる場合において、不正防止委員会の意見を聴くことができる。

6 区長は、第4項に規定する調査を行った場合は、その結果及び前項に規定する区の措置等の内容を公益通報相談員及び不正防止委員会に報告するものとする。なお、第3条各号のいずれかに該当する事実が存在すると認められなかった場合においても、その旨を報告するものとする。

7 公益通報相談員は、区長又は第5項の規定により区長から通知を受けた機関が、同項に定める必要な措置をとらないときは、これを自ら公表する等相応の措置をとることができる。

8 公益通報相談員は、自ら行った調査の結果及びこれに基づく区の措置等の内容を通報者に通知するものとする。

(秘密保持及び個人情報保護)

第13条 公益通報相談員、公益通報相談窓口の職員その他の公益通報の対応に関与した区職員等は、公益通報に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。また、知り得た個人情報について、みだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。その職を退いた後も同様とする。

(区職員等以外の者からの申立ての取扱い)

第14条 区職員等以外の者から、第3条各号のいずれかに該当し、かつ、区政運営の公正の確保と透明性の向上の観点から対応が必要と認められる申立てがあった場合は、区は、この要綱の趣旨を踏まえて、調査その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。ただし、当該申立てが第9条第2項各号に該当する場合は、この限りでない。

2 前項の規定による対応は、公益通報相談窓口と協議の上、当該事案の主管課長がこれを行うものとする。

(研修等)

第15条 区は、この要綱に基づく公益通報に対し的確な対応ができるよう、研修を行うものとする。

2 区は、公益通報の事案への対応に係る記録及び関係資料について、秘密保持及び個人情報の保護に留意し、適切な方法で管理するものとする。

(運用上の注意)

第16条 この要綱の運用に当たっては、関係者の人権が不当に侵害されないように配慮するものとする。

(その他)

第17条 この要綱に定めるもののほか、公益通報に関し必要な事項は別に定める。

この要綱は、平成17年10月1日から施行する。

この要綱は、平成31年4月1日から施行する。

この要綱は、令和4年6月1日から施行する。

荒川区職員等公益通報実施要綱

平成17年9月28日 種別なし

(令和4年6月1日施行)