○荒川区補助金等交付規則の施行について(依命通達)

昭和62年4月24日

62荒総予発第6号

荒川区補助金等交付規則は、昭和六十二年四月一日に昭和六十二年荒川区規則第二十七号をもつて公布、即日施行された。

この規則は、補助金等の交付の申請及び決定、補助事業等の遂行、補助金等の返還等補助金等に係る予算の執行に関する共通的・基本的事項を規定することにより、補助行政を統一的、効率的に処理し、もつて補助金等に係る予算の執行の適正化を図ることを目的とするものである。

ついては、この規則制定の趣旨に従い、その施行に当たつては、下記の点に十分留意して遺憾なきを期せられたい。

この旨、命により通達する。

なお、昭和四十五年五月七日四五荒総財発第六十二号総務部長依命通達「東京都荒川区補助金等交付要綱の制定について」は廃止する。

第1 総則

1 この規則の性格

この規則は地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)第百七十三条の二の規定に基づく区の財務に関する規則であるので、補助事業者等を直接に規制するものではなく、内部的に補助金等に関する予算の執行に当たる職員を規制するものであること。したがつて、補助事業者等を規制するためには、規則に規定している事項を補助金等の交付の決定に当たり補助条件として付さなければならないものであること。

2 この規則と他の規則との関係

ある補助金制度を定める規則の規定が第四条にいう「特別の定め」として適用されるのは、この規則が補助行政に関する共通的・基本的事項を規定している点からして、当該規定が当該補助制度の特別の必要に基づくものである場合に限られるものであること。

3 補助金等の定義

この規則の適用を受ける補助金等とは、第二条に規定しているとおり、区が公益上の必要により、区以外の者に対して交付する補助金、負担金、利子補給金その他の給付金で、相当の反対給付を受けないものであること。したがつて、名称がたとえ分担金、助成金、奨励金等であつても、相当の反対給付を受けない給付金であれば、この補助金として、この規則の適用を受けるものであること。

この場合、「相当の反対給付」とは、通常の取引関係のそれであり、交付される補助金等と直接対価関係にある役務又は物の給付をいうものであること。したがつて、補助金等の対象となる事務又は事業が公益性を持つものであつてもその利益が直接区に帰属しないものは、区に相当の反対給付をなすものとはいえないものであること。これに反し、各種の協議会の分担金、会費等は、相当の反対給付を伴うものであるから、この補助金等には当たらないものであること。

4 事務担当職員の責務

(1) 事務担当職員は、補助金等に係る予算の執行に当たつては、補助金等が区民から徴収された税金その他貴重な財源で賄われるものであることに留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従つて、公正かつ有効に使用されるように努めなければならないこと。

(2) 事務担当職員は、補助金等の交付に関する一切の事務を不当に遅延させ、又は補助金等の交付の目的を達成するために必要な限度を超えて、不当に補助事業者等に対し干渉してはならないものであること。

第2 補助金等の交付の申請及び決定

1 補助金等の交付の申請

補助金等の交付をする場合は、必ず補助金等の交付を希望する者から、申請書を提出させなければならないものであり、申請書の提出のない相手方に対しては、補助金等を交付する必要もないし、また交付してはならないこと。

また、申請書の記載事項及び添付書類について、第五条第三項の規定を適用して省略しようとする場合は、補助事業等の性質、補助金等の交付の相手方等をよく検討のうえ、慎重に行うこと。

2 補助金等の交付の決定

補助金等の交付の決定に当たつては、第六条に規定する審査の方法及び審査の基準により慎重に審査するとともに、第一の四に規定するところに従つて遺憾のないようにすること。

3 補助金等の交付の修正決定

補助金等の交付の申請が第六条に規定する審査の基準に照らして不満足である場合でも、当該申請の内容を一部修正すれば十分期待する効果をあげられるようなときは、申請の内容を一部修正し、補助金等の交付の修正決定ができるものとしたこと。

4 補助金等の交付の申請の取下げ

補助金等の交付の決定の内容又は付された条件について、申請者に不服があり、補助事業等を遂行する意思をなくした場合は、補助制度の趣旨からして、申請の取下げを認めるほかないので、この規定を設けたものであること。しかし、補助金等に係る予算の適正な執行のためにはいつまでも申請者の一部に態度不明の者がいることは適当ではないので、取下げに期限を付すこととしたこと。この期限は、原則として、交付決定の日から十四日以内とすること。

第3 補助条件

この規則で規定する事項は、補助金等に係る予算の適正な執行のため必要な当該予算の執行についての共通的・基本的事項であるので、補助金等の交付の決定に当たつては、補助金等の交付の申請及び決定の手続等に関するものを除き、補助条件として付さなければならないものであること。ただし、補助金等の交付の目的、補助事業等の内容、法令の規定等から、補助条件とすることが適当でないもの、重複して付することになるもの等については、補助条件として付さなくてもよいこと。

また、この規則で規定している事項以外の事項でも、個々の補助事業等についてその適正な遂行のために必要なものは、補助条件として付さなければならないものであること。

なお、個々の補助条件について注意すべきことは、次のとおりであること。

1 事情変更による交付決定の内容の変更

補助金等の交付決定後、交付決定の際の客観的条件が変化し、補助事業等の能率的、効果的遂行のため決定の内容を変更する必要がある場合は、補助事業者等の申請による内容の変更の手続によらず、一方的に決定の内容の変更を行うことができるものであること。

2 承認事項

承認を要する事項は、第十一条に規定してあるとおりであるが、同条ただし書に規定する「軽微なもの」とは、補助金等の交付の目的、補助事業等の内容等から、当該補助事業等に実質的に影響のない事項に限られるものであること。

3 状況報告

状況報告は、補助事業等の進ちよく状況を的確に把握するためのものであるので、書面により行わせなければならないものであること。

4 補助事業等の遂行命令及び一時停止命令

これらの命令は、八及び九に規定する補助金等の交付決定の取消し及び補助金等の返還命令とともに、補助事業者等からの報告又は自らの調査、検査等により補助事業等が補助金等の交付の決定の内容又は条件のとおり行われていないと認められるときに、補助金等の効率的使用のためにとるべき措置であるが、補助制度の目的からして、この措置により期待される是正がなされる見込みがある場合は、十分活用されたいこと。

これらの命令は、第十四条に規定してあるとおり、補助事業等の遂行命令と補助事業者等が当該命令に従わないときの補助事業等の一時停止命令とであるが、後者の命令は補助事業者等に指定した一時停止期間内に補助事業等を補助金等の交付の決定の内容及び条件に適合して遂行する措置をとらせるものであるので、そのような措置をとらなかつた場合は、交付の決定の全部又は一部を取り消す旨を明らかにしておかなければならないものであること。

5 実績報告書の提出

実績報告書は、補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及び条件に適合したかどうかを審査し、補助金等の清算による補助事業等の終了又は是正措置のいずれかをとるかを判断するために提出させるものであるから、個々の補助制度について的確な判断ができるように様式及び提出時期を定めておくこと。

なお、実績報告書のみでは判断の資料として不十分な場合は、必要な書類を添付させるものとすること。

6 補助金等の額の確定

実績報告書を受理した場合において、第十六条に規定する方法による調査の結果、補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及び条件に適合すると認めるときは、交付すべき補助金等の額の確定をするものであること。

この場合、「適合する」とは、補助事業等の成果が、事業の内容、それに要する経費の見積り及び負担割合等を決める決定の内容に完全に一致しなくても満足すべきものと認められることをいうものであること。したがつて、適合すると認めた場合は、補助金等の交付に関する意思表示を変更する必要があるかどうか、変更するとすればどのような変更を加える意思かを明らかにしなければならないのであり、これが確定という行為の意味であり、その内容として、当初の交付決定を変更しない旨の意思表示、補助金等の追加交付をする旨の意思表示及び補助金等の一部を取り消す旨の意思表示とがあること。

なお、補助金等の追加交付の意思表示としての確定は、交付決定の補助金額を最高限度とし、それ以上は増額しない旨の意思表示である打切補助については行えないものであること。

7 是正のための措置

実績報告書等による調査の結果、補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及び条件に適合しないと認めるときは、適合させるための措置をとることを補助事業者等に命ずべきものであること。

この場合において、是正の措置をとることが無意味な場合は、八及び九に規定する補助金等の交付決定の取消し又は補助金等の返還命令をなすべきものであること。

なお、是正の措置をとつた場合は、その結果を報告させるものであること。

8 交付決定の取消し

(1) 事情変更による交付決定の取消し

補助金等の交付決定後、天災地変その他の事情の変更により、補助事業等を継続する必要がなくなつた場合においては、補助金等の交付の決定の取消しを行うことができるものであること。

この場合、「事情変更」とは、天災地変等の自然的条件の変化に限らず、補助的事業等が他の事業と重複することになる等の変更もあること。

なお、この取消しにより特に必要となつた事務、事業については、補助金等の交付ができるものであること。

(2) 補助事業者等の義務違反に基づく交付決定の取消し

補助事業者等が、補助金等を他の用途に使用した場合その他交付の決定の内容及び条件等に違反した場合においては、補助金等の交付の決定の取消しを行うことができるものであること。

なお、この取消しは、補助金等の額の確定後においても行えるものであること。

9 補助金等の返還

補助金等の交付の決定を取り消した場合において、当該取消しに係る部分に関し補助金等が交付されているとき又は補助金等の額を確定した場合において、その額を超えて補助金等が交付されているときは、期限を定めて、その返還を命じなければならないこと。

10 他の補助金等の一時停止等

補助事業者等が補助金等の返還を行わなかつた場合には、同種の事務又は事業についての補助金等の交付の一時停止又は当該補助金等との相殺ができるものであること。

11 財産処分の制限

財産処分の制限は、補助事業等の完了後における補助金等の交付の目的の達成のために課するものであるので、その解除は、処分の制限の規定からして慎重に行うべきこと。

第4 その他

1 第二条第一項の規定に基づきこの規則の適用除外について区長の指定を受けようとする場合は、あらかじめ年度当初において、総務部長を経て区長に申請すること。

2 次に揚げる場合においては、それぞれの事案に応じ、区長又は助役決定事案については総務部長に、部長又は課長決定事案については予算課長に協議すること。

(1) 第十条の規定に基づく措置をとるとき。

(2) 第十一条の規定により承認をするとき。

(3) 第十二条第二項の規定による指示をするとき。

(4) 第十四条の規定に基づく措置をとるとき。

(5) 第十八条の規定に基づき補助金等の交付の決定を取り消すとき。

(6) 第十九条の規定により補助金等の返還を命ずるとき。

(7) 第二十条の規定による措置をとるとき。

(8) 第二十一条の規定により承認をするとき。

荒川区補助金等交付規則の施行について(依命通達)

昭和62年4月24日 荒総予発第6号

(昭和62年4月24日施行)

体系情報
第8編 務/第6章 補助金
沿革情報
昭和62年4月24日 荒総予発第6号