○地方自治法第百八十条第一項の規定に基づく議会の委任による専決処分の指定事項の処理について(依命通達)

昭和52年11月1日

52荒総総発第238号

事務処理の能率的、合理的な運営を図るため、昭和五十二年第三回定例会において議会の委任による専決処分事項の指定の議決(別紙)がなされた旨区議会議長より通知があつたので、事務処理に当たつては、下記事項につき充分留意し、遺憾のないよう配慮されたい。

この旨命により通達する。

第一 専決処分の指定事項

一 区が当事者である和解で、その目的の価額が百万円以下のもの

地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第九十六条第一項第十二号に掲げる区が当事者となる和解をするには個々に議会の議決を要するのであるが、この和解について、その目的の価額が百万円以下のものについては、区長が専決処分することができることとされた。

この和解には、民法上の和解(民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百九十五条)、訴訟上の和解(民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第八十九条)及び訴訟提起前の和解(民事訴訟法第二百七十五条)のすべての和解が含まれるものである。

目的の価額とは、和解により確定する法律関係に基づき区が有することとなる直接的、財産的利益・不利益を貨幣単位で評価した金額をいうものである。

一般に示談と称されているものであつても、それが法律的にみて民法上の和解に当たる場合には、委任された限度額の範囲内であれば、専決処分の対象となるので注意すること。また、示談は、争いを早急に解決するのに簡便かつ安易な方法であり、法律関係も確定することができる利点があることなどから慎重な配慮をしないで取り決められるおそれがあるので、取り決めに当たつては、充分配慮すること。

二 法律上区の義務に属する損害賠償額の決定で、その額が百万円以下のもの

地方自治法第九十六条第一項第十三号に掲げる法律上区の義務に属する損害賠償の額の決定は、個々具体的に議会の議決を要するのであるが、これについても百万円以下のものについては、区長が専決処分することができることとされた。

法律上区の義務に属するとは、区が国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)の規定により損害賠償の義務を負うような場合又は私法上の関係において民法上の損害賠償責任を負うような場合をいうものである。

損害賠償の額とは、実質的に損害を補てんするため支出されるものをいい、財産的損害はもとより非財産的損害(慰謝料等)も含まれるものである。見舞金等の名目で支給される金銭については、その金銭の支出が社会通念上儀礼的、社交的な範囲のものを除き、区が実質的に損害賠償の義務の履行として支給する場合には、一般的に賠償金又はその内払金的な性格を有するものとして、賠償金の予納とみなされる。また、被害者等の応急の救済、援助、交通などの利便を提供し、その経費を負担することも賠償の一部に当たる。これらの場合についても、専決処分の対象であるので注意すること。

第二 その他

指定事項を専決処分したときは、地方自治法第百八十条第二項の規定により、議会に報告しなければならない。この報告は、次の定例会又は臨時会において行うこととなる。

別紙

和解及び損害賠償額の決定に関する区長の専決処分について

地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百八十条第一項の規定に基づき、区長において専決処分することができる事項を次のとおり指定する。

一 区が当事者である和解で、その目的の価額が百万円以下のもの

二 法律上区の義務に属する損害賠償額の決定で、その額が百万円以下のもの

地方自治法第百八十条第一項の規定に基づく議会の委任による専決処分の指定事項の処理について…

昭和52年11月1日 荒総総発第238号

(昭和52年11月1日施行)

体系情報
第5編 行政通則/第3章
沿革情報
昭和52年11月1日 荒総総発第238号