荒川ゆうネットアーカイブ
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荒川区の銘菓 羽二重団子

羽二重団子 本店
所在地:〒116-0014 東京都荒川区東日暮里5−54−3
TEL:03−3891−2924 FAX:03−3806−8210
定休日:年中無休
営業時間:9:00〜17:00

HABUTAE1819
所在地:〒116-0014 東京都荒川区東日暮里6−60−6
TEL:03−5850−3451 FAX:03−5850−3453
定休日:年中無休(12/30〜1/1を除く)
営業時間:10:00〜19:00

ホームページ:http://www.habutae.jp/

花より団子ですが、花も見てくださいね。
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今年もお花見の季節がめぐってきました。
眩い春の日差しの中に、今を盛りに咲き誇る桜を愛でるのは心弾むものですが「わたしは花より団子」という方も多いのでは?
「団子」といえば、荒川区民の自慢の老舗は日暮里の「羽二重団子」。
創業以来、頑ななまでにその製法と商いをまもる「羽二重団子」の人気の秘密を、澤野修一社長にお聞きしました。

羽二重団子の歴史

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本店の庭
初代が庭師とだけあって小粋な日本庭園がしつらえてあります

創業は文政二(1819)年で、初代は加賀藩出入りの庭師でした。目の前が王子に繋がる王子街道で、ここに茶屋を出し、往来する人々を相手に商ったところ団子が羽二重(上質の絹)のように肌理(きめ)が細かいと賞され「羽二重団子」と呼ばれるようになりました。
当時この辺りは「日暮しの里」「呉竹の根岸の里」とよばれ、近くに音無川の清流、遠くに荒川を行き交う白帆を臨む、のどかで風光明媚な田園地帯だったようです。今では考えられませんが、その面影は明治大正の頃まで残っており、妾宅を置いたり隠棲するにふさわしい郊外の住宅地として愛されてきました。
そのような土地柄でしたから文人墨客にも好まれ、当店も夏目漱石、正岡子規、田山花袋など多くの文豪にご贔屓いただき、小説や俳句の中にもたびたび登場しています。

夏目漱石「我が輩は猫である」より

「行きませう。上野にしますか。芋坂へ行って團子を食いましょうか。先生あすこの團子を食ったことがありますか。奥さん一辺行って食って御覧。柔らかくて安いです。酒も飲ませます。」と例によって秩序のない駄辯を揮っているうちに主人はもう帽子を被って沓脱へ下りる。
吾輩は又少々休養を要する。主人と多々良君が上野公園でどんな真似をして、芋坂で團子を幾皿食ったかその辺の逸事は探偵の必要もなし、又尾行する勇気もないからずっと略してその間休養せんければ成らん。

老舗の跡目

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明治22年から昭和7年までの店舗

一般の方はあまりご存知ないと思いますが、菓子屋にも襲名というものがあります。当店は代々「澤野庄五郎」の名を継いでおりまして、父が六代目庄五郎になります。先代が亡くなると後継が家庭裁判所へ赴いて改名手続きを行いますが、戸籍からの書換えになるので、膨大な資料の提出が求められる大仕事です。
これは当店に限ったことではなく、老舗が集まる「東都のれん会」では、吉徳の「山田徳兵衞」、榮太樓總本鋪の「細田安兵衛」、越後屋の「永井甚右衛門」など由緒のある名が多く見られます。

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現在の本店

「日持ちがしない団子二種類のみで、よく何代も商売が続きますね」と言われることがあります。(※焼き団子(生醤油)、餡団子(こし餡)ともに賞味期限1日)
日持ちを延ばすには、保存料を使わなくても生地に砂糖を加えるだけで随分違いますし、みたらしのようにコーティングしてしまえば更に持つのですが、当店の焼き団子は「酒を呑みながらでも食べられる焼き団子」で甘くないのが身上です。お客様のご愛顧を裏切り、まずいものを売っても仕方がないじゃないですか。1日限りの命も江戸っ子の美学で快しと思ってくださるお客様にご贔屓いただければ充分です。
また「日持ちのしない商品で大きく商売しようとしてもべらぼうに売れるものではない。だから着実にやれ。」という消極的な家訓めいたものがありまして…(笑)、代々の主人は地道に細々と商いをしてきたわけです。ですから私も真面目に味をまもっていく所存です。

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HABUTAE1819

ただ、日暮里まで来るのは大変というお客様に対しては、せめて出向いていこうという発想で、駅や百貨店などに積極的に出店をしています。また本店は敷居が高い印象で入りずらいというお客様に対しては、日暮里の駅前に「HABUTAE1819」というカフェスタイルの店を構えていますので、ぜひお立ち寄りいただければと存じます。

団子の特徴

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良く搗くのは羽二重団子の身上。のれんにも臼と杵があしらわれています

当店の団子は、餅米ではなく粳(うるち)米です。粳米は普段みなさんが召し上がっているごはんのお米のことです。材料屋から上新粉を仕入れるのではなく、米屋から庄内米を取り寄せ、工場で製粉し蒸練した後に臼と杵で搗きます。「良い団子は手間をかければ出来る。よそが300搗くなら、うちは600搗け。」という先祖からの教え通り、良く搗くことで舌触りをなめらかにし、粳米とは思えない「粘り」と餅米には無い「こしと歯切れ」が生まれまれるのです。
焼き団子に使う醤油はキッコーマンの濃い口を昔から使っているのですが、贔屓のお客様から「お宅の団子は辛くなくなった」と言われ「代々同じ醤油を使っているのに変ですね」とキッコーマンに聞いてみると、戦後は健康志向で塩分が減少傾向にあるそうです(笑)。シンプルな材料だけに敏感にわかるお客様がいらっしゃるのですね。

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扁平な形が特徴。一度食べるとクセになる羽二重団子

団子の形が扁平なのは二種類の説があります。まず実用的な説としては、扁平にすることで火の通りが良くなり、さらに食べやすいこと。逸話的な説としては、そもそも団子は奈良時代に神仏への供え物として唐から伝来したもので、神仏が召し上がるものをそのまま庶民が口にするのは懼れ多いということで潰したそうです。この形は他ではみられないので羽二重団子の特徴といってよいでしょうね。

地域との関わり

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震災、戦災も免れた羽二重団子本店には、古くからの資料が展示されています

「だんご寄席」は創業180周年を記念して10年前に顧客サービスのひとつとしてはじめました。年三回の開催でちょうど30回を越えたところです。六代目庄五郎による昔語りが30分、海老名香葉子さんにご紹介いただいた若手落語家の噺が30分でお団子付きです。(平成21年にて終了)
申し訳ないほどの出演料と団子代を引くと運営はギリギリの収支ですね。人が集まらなくなったら止めようと思っているのですが、毎回50名近いお客様にお越しいただいているので悩ましいところです(笑)。

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庭の敷石には、かつて使用されていた石臼がいくつも配されています

地域との関わりとしては二年前まで諏方神社の氏子として神輿係長を務めさせていただきました。これからは後進の育成が課題です。
また、まちづくり実行委員会の「日暮里中央町会」「日暮里駅前開発研究会」「日暮里中央商業会」に籍をおいて、どうしたら日暮里が更に魅力的に発展していくかを皆さんと検討しています。日暮里繊維街も全国的に知名度があがっていますし、地方から訪れた方に楽しく街を回遊していただく仕掛けを地元と協力しながら作っているところです。

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落ち着いた雰囲気の本店は散策途中の休憩処としてもおすすめです

わたくしどもの社是は『「原点回帰」と「未来進化」のらせん的発展』です。この心は「歴史や、伝統的な教え」をないがしろにする事なく、「新しい考えや、若い感性」も取り入れながら、さらに新しいステージへとあがっていくということです。
商売にも街づくりにも通じると思いますが、いかがでしょうか。

※取材記事は平成21年4月現在のものです。


 
平成21年4月掲載記事
問い合わせ先 荒川区管理部情報システム課
電話:03-3802-3111(内線 2151)

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