荒川ゆうネットアーカイブ
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 荒川区の地域ポータルサイト「荒川ゆうネット」の
 過去ログです。
トップページ > 特集 > 読書の秋特集2007年「本の中の荒川区」
荒川ゆうネットは、平成16年から22年までに開設されていたサイトです。
内容は、掲載当時のものとなります。

様々なジャンルの本から「荒川区」にちなんだ数冊を本文の抜粋とともに紹介します。読書は世界を広げ心を豊かにしてくれます。とくに住み慣れた町を描いた著書は、よりリアルにその言葉が伝わってくることでしょう。知的好奇心と探求心をもって、本の舞台に出かけてみるのも一興かもしれません。

「東京の戦争」

著者:吉村昭 発行:ちくま文庫

表紙
「目で見る荒川区50年のあゆみ」
発行:東京都荒川区空襲の記録が写真で見られます。

「東京の戦争」は日暮里を故郷として育った吉村昭さんの戦前、戦中、戦後の追想記です。
ぎりぎりで兵役を免れた年代の吉村さんは、出征することもなく、また地方疎開することもなかったため、度重なる空襲を区内で体験し町と生家を焼かれました。
平時と異なる戦時下にあっても、吉村青年のみずみずしい観察眼は衰えることなく、庶民の生活の機微を率直に見つめていました。
徹底的に事実にこだわり、その調査は妥協を許さなかったという吉村作品の数々を思うとき、この「東京の戦争」で描かれた当時の日本、ひいては荒川区の様子がいかにリアルかお分かりいただけると思います。

荒川区出身の吉村昭さんは昨年(平成18年7月)逝去しました。日本文学界に残した功績は大きく、荒川区では、区内に文学館を設立する構想があります。
本年、夫人であり芥川賞受賞作家でもある津村節子さんのご好意により、膨大な吉村昭氏の旧蔵資料が荒川区に寄託されました。



「隅田川のほとりによみがった自然」

著者:野村圭佑 発行:プリオシン

表紙
現在の尾久の原公園

 旭電化尾久工場跡地を利用した尾久の原公園は、隅田川の岸辺に位置し、湿地やくぼ地などの形状を残した荒川区で二番目に広い都立公園で、都内でも緑の少ない荒川区に住む区民にとっては憩いの場です。
  この本は一度自然が失われた場所にどのようにして自然が取り戻されていったのかが、身近な生き物との出会いの楽しみも含めて多くの図版や写真とともに興味深い切り口で綴られています。
  自然保護と開発の問題、地域住民への周知、ルールづくりなどは現在も様々な地域で起こっている懸案で、尾久の原公園の例はモデルケースとして参考になるのではないでしょうか。
  また「第六章 荒川区の自然の歴史」では荒川区内の自然の移り変わりを紹介しており、かつてサクラソウの名所として賑わっていた風靡な土地柄であったことがわかります。


「下町の民俗学」

著者:加太こうじ 発行:PHP

表紙

 加太こうじは「東京の下町生まれ、下町育ち、徳川幕府開府以来の江戸っ子の子孫」と本人がいうように大正7年浅草に生まれ、震災後は西尾久で育ちました。14歳から42歳まで紙芝居の作画で活躍し、その後は評論などの文筆業に転向しました。
  本書は主に大正・昭和初期のさまざまな下町風俗に関する私的エッセイとなっています。
  「紙芝居」「サーカス」「花火」「活動写真」「チンドン屋」「看板」「流行歌・演歌」など、貧しくも人間臭かった時代のノスタルジーを伝える珠玉の随想集です。


■その他のオススメ本

タイトル 著者/発行
都電荒川線殺人事件 著者:西村京太郎 発行:読売新聞社
江戸・東京の下水道のはなし 著者:東京下水道史探訪会編 発行:技報堂出版
詩集 隅田川の堤 著者:浅見洋子 発行:けやき書房
隅田川と江戸庶民の生活 著者:高柳金芳 発行:日本鉄道厚生事業協会
東京街角のアート探訪 4 城北編 著者:佐藤曠一 発行:日貿出版社

他にも荒川区を舞台にした作品は数多くあります。区内図書館や、荒川ふるさと文化館にも関連本のコーナーが設置されていますので立ち寄ってみてください。

荒川区立図書館ホームページ http://www.library.city.arakawa.tokyo.jp/

※取材記事は平成19年10月現在のものです。

 
平成19年10月掲載記事
問い合わせ先 荒川区管理部情報システム課
電話:03-3802-3111(内線 2151)

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