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荒川区ニューウェーブ 多文化共生センター東京

多文化共生センター東京は日本で生活する外国にルーツを持つ人たちに生活情報提供、教育支援、育児支援を行うNPO団体です。
現在、スタッフ5人、先生15人、ボランティア約50人で運営しています。
これまでの活動が評価され、2006年には地域に根ざした国際交流活動を行い先駆的なモデルとなる団体・個人に贈られる国際交流基金の「地球市民賞」を受賞しました。
代表の王さんと、事務局長の関口さんにお話を伺いました。

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多文化共生センターの設立の経緯を教えてください。

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さわやかな雰囲気の事務局

多文化共生センターとしての、そもそものきっかけは1995年1月17日の阪神・淡路大震災まで遡ります。
約8万人の外国人被災者の中には言葉や習慣、制度の違いなどから、日本人とはまた異なる困難に直面した方が数多くいました。ボランティアで「外国人地震情報センター」を設置し多言語での電話相談やニュースレターの発行などで、外国人被災者への支援を行ったのが活動のはじまりです。
災害弱者としての外国人をサポートするうちに見えてきた現実は、日常生活においてもマイノリティ(少数派)に情報が伝わり難い日本社会の構図です。震災後も勤務先が倒産したり、ビザ申請が困難になったりなど、地震情報だけではサポートしきれない様々な問題に継続的に対応していく必要性を認識しました。
その中で「多文化共生社会」をめざし、1995年10月より民間ボランティア団体「多文化共生センター」の活動がスタートしました。そして東京、京都、大阪、兵庫、広島の5つの地域に活動の輪が広がりました。現在は、NPO法人多文化共生センター東京として活動しています。

多文化共生センター東京について教えてください。

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廃校になった旧真土小学校の新たな役目がはじまった

「多文化共生センター」の東京事務所として2001年に開設後、2006年3月に多文化共生センター東京として独立し、同年5月にNPO法人となりました。教育事業、子育て支援事業、人材育成事業、情報提供事業、調査事業など様々な活動を展開しています。
2005年に西日暮里のマンションの2DKを借りて事務所と活動場所にしました。ここで外国籍の子どもたちに日本語の指導および教科指導を行う「たぶんかフリースクール」をはじめましたが、かなり手狭で、多い時には教師と生徒の30名がひしめく有様で時間帯を区切ったり机の配置を工夫したりなど大変でした。
2007年4月、荒川区から旧真土小学校の教室3つ分を借ることが出来たので、こちらに移転しより多くの生徒を受け入れることが出来るようになりました。

教育事業について教えてください。

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丁寧な指導に真剣に耳を傾ける子ども達

 多文化共生センター東京の発足時から4年間で、日本語・教科の学習支援、多言語進路ガイダンス、教育相談など、外国籍の子どもたちの支援を行ってきました。しかし、それまでの活動ではどうしてもサポートしきれない子どもたちがいることも同時に見えてきました。
学齢期の子どもでさえ、適切な教育の情報提供がされない事もあり、日本に来る外国籍の保護者や子どもたちとの間に認識のズレが生じることが多いのです。
小中学校でのギャップもいろいろあり、12才から15才で来日した子どもは、日本語の修得もままならない内に高校受験に挑むことになります。受検問題は日本語ですから問題を解く以前に言語の壁があり、高校進学もままならない状況があります。小学生で来日した子どもは、日本の環境、学校や日本語に順応しやすいのですが次第に母語を忘れ、親とコミュニケーションがとれなくなるため日本語を話せない親を恥ずかしく感じる傾向もあるようです。また日本語が理解できないために授業の内容がわからず基礎学力がつかないまま、学年を重ね勉強がわからなくなるケースも多いのです。
そのような子ども達の現状を踏まえ、彼らに学習機会と居場所を提供するため「たぶんかフリースクール」を立ち上げました。

具体的にはどのような活動なのでしょうか。

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難しいけど仲間と一緒に学べるのは楽しい

「たぶんかフリースクール」は週4日(月17回)で一回の授業は3時間あります。日本語教師や元教員など非常勤もあわせて15名の教師がローテーションで指導にあたります。
日本と母国の学校制度の違いにより、日本の中学校も高校も入る事ができず、学ぶ場のない外国籍の子どものために日本語の指導および教科指導を行う「昼クラス」と、日本の学校に入る事ができても、不十分な日本語指導のために学校の授業について行く事ができない子どもが集中的に日本語を学べる「日本語・夜クラス」のほか、両クラスに通う子どもと親に対して高校進学への情報提供、進路相談、面接練習など、高校進学にむけてのサービスを行っています。進学については昨年18名が高校受検合格を果たしました。
月謝は30,000円ですが、経済的など諸問題で通学が困難な子ども達にも、毎週土曜日の午後2:30〜4:30まで無料でボランティアスタッフによる居場所作りと学習支援を行っています。

居場所作りとはどのような意味ですか。

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一人一人理解できるまでゆっくり教える

来日当初は子ども達は外国人ということで注目されますが、日本語がおぼつかないなかで段々と周囲から相手にされず孤立していきます。多感な時期に来日し、将来への不安や自らのアイデンティに悩む彼らに、自分を取り戻せる場所を提供したいと考えています。
中国、韓国、フィリピン、タイ、ミャンマー、コンゴ、チリ…と出身地や文化背景は様々ですが、幼くして日本という異文化で生きていかざるを得ない同じ境遇と試練を抱えた子ども達同士です。仲間や信頼できる教師との出会いの場所が彼らの心の支えにもなると願っています。


(生徒の作文より抜粋)
高校受験を終えて
私は一年半前に日本に来ました。その時私は日本語がぜんぜんわからなくてどの高校を受けるかもわからなかったです。本当につらいと思いました。友達はいないし、本当に帰りたかったです。でもその後、わたしは『多文化共生センター』を知りました。最初は日本語だけ勉強する気持ちで来ました。でも私は多文化で勉強すると同時に、たくさんの友達を作りました。私はどんどん寂しくなくなってきました。これから日本の高校に入りたいという目標を持ちました。
-中略-
私がわからないところは先生が辛抱強く、丁寧に教えてくれました。私の試験前には先生はいつも「落ち着いて」と言ってくれました。そして私は高校に入りました。
今思い出すと感謝の気持ちを持っています。先生、ほんとうにありがとう。多文化は外国人にとって本当に一番良い勉強をする所だと思います。

子育て支援事業について教えてください。

当初は、某区の保健所の子どもの定期検診の情報が外国人の親に伝わりにくいという課題についてサポートしたり、子育て世代の親子の居場所作りを行っていました。しかしながら多文化共生センター東京で何もかも行うには無理や限界があると気付き、今は外国人親子に現場で関わる機会のある保育士、保健士、児童館職員などのネットワーク作りを行っています。
国際結婚が10組に1組の東京で、二つ以上の国の背景を持つ子どもをどう育てていくのかなど、子育てを通して様々な問題の解決にむけて、研修会、メーリングリスト、ウェブなどで共有しあっています。

ボランティアについて教えてください。

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明るいスタッフとボランティアたち

現在は社会人や学生など約50名がボランティア登録しています。活動にご興味のある方を対象に毎月ボランティア講座を開き活動内容や理念、背景などを良く知っていただいてからボランティア参加してもらっています。
ボランティアとして多くの方に参加していただきたいのですが、ボランティア活動は余暇活動ではありません。来ていただいてもなかなか思うようには続かないもので「暇だからボランティアをやってみよう。」という考えではなく、はっきりとした目的を持ち、時間や約束は守って多くの方にボランティアとして参加していただきたいと思います。
現在、全国に200万人以上の外国人登録者数があります。少子化傾向の日本ではますます増えていくことでしょう。今、日本社会を共に築いていく隣人として、どのように接していくかが問われています。

多文化共生センター東京ホームページ
http://www.tabunka.jp/tokyo/

 
平成19年7月掲載記事
問い合わせ先 荒川区管理部情報システム課
電話:03-3802-3111(内線 2151)

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