荒川ゆうネットアーカイブ
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荒川ゆうネットは、平成16年から22年までに開設されていたサイトです。
内容は、掲載当時のものとなります。

読書の秋特集「本の中の荒川区」
荒川区は、新旧とわず多くの書籍の舞台になっています。今回の特集は、その中でも選りすぐりの数冊を本文の抜粋とともに紹介します。
住み慣れた地域でも作家の目を通し作品に生まれ変わると、新たな発見に気がつくことでしょう。
読書の秋にちなみ、本の中の荒川区を探索してみてはいかがでしょうか?

「波のうえの魔術師」

著者:石田衣良 発行:文春文庫

表紙
区民名曲コンサート第九
町屋駅前。町屋は電車が3路線も乗り入れ駅ビルや商店など賑わいと活気に満ちています。

 「波のうえの魔術師」は、石田衣良氏のサスペンス経済小説です。町屋の尾竹橋通りのパチンコ屋で朝から晩まで打ち続けるニート青年の前に、不思議な老人が現れたところから物語が始まります。青年は老人の秘書となり、町屋3丁目の秘密のディーリングルームで老人からマーケット(証券業界)を直伝されていきます。
 それは老人が仕掛ける預金量第3位の都市銀行、まつば銀行町屋支店へのある復讐のためでした。
 うだつのあがらない青年が、熾烈なマネーゲームに手を染め成り上がっていく様に、思い当たるニュースもあると思います。株の知識がない読者でも、主人公が老人からの手ほどきで相場観を身につけていく過程で、共に学んでいくことができるでしょう。
本作は「ビッグマネー」というタイトルでドラマ化され、長瀬智也さんが主人公を、植木等さんが老人役を演じ話題になりました。


「夜間中学校の青春」

著者:文・見城慶和 写真・小林チヒロ 発行:大月書店

表紙
区民名曲コンサート第九
荒川区立第九中学校。夜間部は5時45分の鐘の音とともにスタートします。

「夜間中学校の青春」は、東尾久にある荒川区立第九中学校夜間学級(以下、九中二部)の教員、見城慶和氏(文章)とアマチュアカメラマン小林チヒロ氏(写真)の合作です。小林氏は、見城氏の講演を聞いたのがきっかけで、年齢や国籍、境遇の異なる生徒たちが通う九中二部の存在に興味を抱き、足掛け16年に渡って撮影を続けてきました。
 義務教育であるはずの中学校にどうして夜間部があるのか、どんな人が通っているのか、なぜ通うようになったのかなど、ページを読み進むうちに見えてくる社会の現実があります。
 人間味溢れる教育現場を作ってきた見城氏の文章と詩や作文に書かれた生徒の生の声は、読者の胸をうつことでしょう。 九中二部は山田洋次監督により「学校」として映画化され、荒川九中や近隣地区がロケ地になりました。

●荒川九中夜間学級ホームページ: http://www.aen.arakawa.tokyo.jp/ARAKAWA-9-J/yakan/yakantop.htm


「こちら葛飾区亀有公園前派出所」

著者:秋本治 発行:集英社

表紙
区民名曲コンサート第九
素盞雄神社、天王祭での町御輿の様子。二天棒での御輿ぶりが有名です。

 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」略して「こち亀」は秋本治氏作の人気シリーズ。亀有公園前派出所勤務の両さんこと両津勘吉が下町を舞台に話題をふりまくギャグ漫画です。
 1976年からはじまった『週刊少年ジャンプ』の連載は今年30周年を迎え、記念イベントでお馴染みキャラクターがデザインされた都電が区内を走りました。
 荒川区を舞台にした巻では、14巻 バイク男本田!!の巻/79巻 白髭橋の思い出の巻/第82巻 光の球場の巻/89巻 素盞雄神社祭の巻など多数。
 原則1話完結で気軽に読める上、背景描写が細かいのが特徴で、描かれた場所を推測するのも楽しみのひとつです。150冊を超えるコミックスから荒川区が描かれた場所を探してみるのはいかがでしょうか。


「東京の下町」

著者:吉村昭 繪・永田力 発行:文春文庫

表紙
区民名曲コンサート第九
日暮里の富士見坂。都内にある富士見坂と名のつく坂で、未だ富士が見られるのはこの坂だけ。

 「東京の下町」は昭和2年生まれの吉村昭氏が幼少期を過ごした日暮里を回想したエッセイです。
 「オール讀物」の連載をまとめた本書は、戦前の下町の暮らしを鮮やかに描き出し、当時を知る人には懐かしく若い人にも現在の生活と対比して興味深く読めることでしょう。今でも残る地名や建物などもあり、区民には馴染み深い内容です。
 また諏方神社の夏祭り、文士や噺家の邸宅、当時の遊びや食べ物、町の事件などランダムに取り上げられた内容が日暮里という町の独特の輪郭を浮かび上がらせています。

※吉村氏の生家のすぐ近くにある、日暮里図書館には「荒川区区民栄誉賞」受賞を記念して吉村昭コーナー設けられ、寄贈を受けた生原稿や色紙、愛用の万年筆等が展示されています。
寄贈のいきさつは、エッセイ「師走の小旅行」に書かれています。


■その他のオススメ本

タイトル 著者/発行
日暮しの岡 東に筑波、西に富士-里の語りべ 平塚春造 著者:平塚春造 発行:谷根千工房
私の汐入界隈 著者:千田俊夫 発行:東銀座出版社
浄閑寺と荷風先生 発行:浄閑寺
夢軌道。都電荒川線 著者:高松吉太郎 発行:木馬書館
理由 著者:宮部みゆき 発行:文春文庫

他にも荒川区を舞台にした作品は数多くあります。区内図書館や、荒川ふるさと文化館にも関連本のコーナーが設置されていますので立ち寄ってみてください。

※取材記事は平成18年10月現在のものです。

 
平成18年10月掲載記事
問い合わせ先 荒川区管理部情報システム課
電話:03-3802-3111(内線 2151)

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