○荒川区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例

昭和53年12月7日

条例第34号

(目的)

第1条 この条例は、中高層建築物の建築に係る計画の事前公開並びに紛争のあっせん及び調停に関し必要な事項を定めることにより、良好な近隣関係を保持し、もって地域における健全な生活環境の維持及び向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 中高層建築物 高さが10メートルを超える建築物(都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に掲げる第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域にあっては、軒の高さが7メートルを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物)をいう。

(2) 紛争 中高層建築物の建築に伴って生ずる日照、通風及び採光の阻害、風害、電波障害等並びに工事中の騒音、振動等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主との間の紛争をいう。

(3) 建築主 中高層建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。

(4) 近隣関係住民 次の又はに掲げる者をいう。

 中高層建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者

 中高層建築物による電波障害の影響を明らかに受けると認められる者

(区長の責務)

第3条 区長は、紛争を未然に防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整するよう努めなければならない。

(当事者の責務)

第4条 建築主は、紛争を未然に防止するため、中高層建築物の建築を計画するに当たっては、周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。

2 建築主及び近隣関係住民は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもって、自主的に解決するよう努めなければならない。

(標識の設置等)

第5条 建築主は、中高層建築物を建築しようとするときは、近隣関係住民に建築に係る計画の周知を図るため、当該建築敷地の見やすい場所に、荒川区規則(以下「規則」という。)で定めるところにより標識を設置しなければならない。

2 建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。

(説明会の開催等)

第6条 建築主は、中高層建築物を建築しようとする場合において、近隣関係住民からの申出があったときは、建築に係る計画の内容について、説明会の開催その他の方法により、近隣関係住民に説明を行わなければならない。この場合において、建築主は、説明会の開催の申出が近隣関係住民からあったときは、説明会を開催する方法により、説明を行わなければならない。

2 前項の規定により説明会を開催する場合においては、建築主(法人にあっては、その代表者又は従業者とする。第15条第3号において同じ。)は、当該説明会に出席しなければならない。

3 区長は、必要があると認めるときは、建築主に対し、第1項の規定により行った説明の内容について報告を求めることができるものとし、建築主は、これに応じなければならない。

(あっせん)

第7条 区長は、建築主と近隣関係住民双方から紛争の調整の申出があったときは、あっせんを行う。

2 区長は、前項の規定にかかわらず、建築主又は近隣関係住民の一方から調整の申出があった場合において、相当な理由があると認めるときは、あっせんを行うことができる。

3 区長は、当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、紛争が解決されるよう努めなければならない。

(あっせんの打切り)

第8条 区長は、当該紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。

(調停)

第9条 区長は、前条の規定によりあっせんを打ち切った場合において、必要があると認めるときは、当事者に対し、調停に移行するよう勧告することができる。

2 区長は、前項に規定する勧告をした場合において、当事者の双方がその勧告を受諾したときは、調停を行う。

3 区長は、前項の規定にかかわらず、当事者の一方が第1項に規定する勧告を受諾した場合において、相当な理由があると認めるときは、調停を行うことができる。

4 区長は、調停を行うに当たって必要があると認めるときは、調停案を作成し、当事者に対し、期間を定めてその受諾を勧告することができる。

5 区長は、調停を行うに当たっては、荒川区建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)の意見を聴かなければならない。

(調停の打切り)

第10条 区長は、当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。

2 前条第4項の規定による勧告が行われた場合において、定められた期間内に当事者の双方から受諾する旨の申出がないときは、当該調停は打ち切られたものとみなす。

(調停委員会)

第11条 区長の附属機関として、調停委員会を置く。

2 調停委員会は、第9条第5項の規定による区長の意見の求めに応じ、必要な調査審議を行い意見を述べるとともに、区長の諮問に応じて、紛争の予防と調整に関する重要事項について調査審議する。

3 調停委員会は、法律、建築又は環境等の分野に関し優れた知識及び経験を有する者のうちから区長が委嘱する委員6人以内をもって組織する。

4 委員の任期は、2年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 調停委員会に会長を置き、委員の互選によって定める。

6 会長は、調停委員会を代表し、会務を総理する。

7 会長に事故があるときは、あらかじめ会長の指名する委員がその職務を代理する。

8 調停委員会は、区長が招集する。

9 調停委員会は、半数以上の委員の出席がなければ、会議を開くことができない。

10 調停委員会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

11 前2項の規定にかかわらず、第9条第5項の規定による調停委員会の意見は、会長が事案ごとに指名する3人以上の委員の合意によることができる。

(出頭)

第12条 区長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。

(関係図書の提出)

第13条 区長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者に対し、関係図書の提出を求めることができる。

(工事着手の延期等の要請)

第14条 区長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、建築主に対して、期間を定めて工事の着手の延期又は工事の停止を要請することができる。

(公表)

第15条 区長は、次の各号のいずれかに該当するときは、その旨を公表することができる。

(1) 建築主が、第5条第1項の規定による標識の設置又は同条第2項の規定による届出を行わないとき。

(2) 建築主が、第6条第1項の規定による説明を行わないとき。

(3) 建築主が、第6条第1項の規定により開催した説明会に出席しないとき。

(4) 建築主が、第6条第3項の規定による報告を行わないとき。

(5) 第12条の規定による出頭の求めを受けた者が、正当な理由がなくその求めに従わないとき。

(6) 第13条の規定による関係図書の提出の求めを受けた者が、正当な理由がなくその求めに従わないとき。

(7) 前条の規定による工事の着手の延期又は工事の停止の要請を受けた者が、正当な理由がなくその要請に従わないとき。

(委任)

第16条 この条例に規定するものを除くほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

1 この条例は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。

(昭和54年規則第4号で昭和54年3月1日から施行)

2 次の各号に掲げる中高層建築物については、この条例は適用しない。

(1) 中高層建築物で、その新築、改築又は増築に関して、法律並びにこれに基づく命令及び東京都条例の規定により東京都知事の許可を必要とするもの

(2) 中高層建築物で延べ面積が1万平方メートルを超えるもの

(平成8年7月4日条例第26号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成11年12月20日条例第41号)

この条例は、平成12年4月1日から施行する。

(平成19年9月27日条例第33号)

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 改正後の第6条及び第15条の規定は、この条例の施行の日以後に標識を設置することとなる中高層建築物について適用し、同日前に標識を設置した中高層建築物については、なお従前の例による。

荒川区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例

昭和53年12月7日 条例第34号

(平成19年9月27日施行)